かつて「スカイボード」のトップ選手だった少年・慧は、競技中の事故で友人を死なせて以来、空を飛べなくなってしまう。
これは、慧と彼を取り巻く人々の間にある、罪の意識と大切な絆の物語です。
「また誰かを傷付けるのが怖い」
罪悪感に苛まれ、弱い自分を茶化し、大好きだったスカイボードに背を向ける慧。
周囲の人から復帰を望まれても、心に負った深い傷のせいで自分自身と向き合うことができません。
章ごとに語り手が交代し、五人の少年少女の視点で「飛べなくなった慧」への感情が紡がれていきます。
話を追っていくうちに、さまざまな事情が複雑に絡み合っていることが分かってきます。
ゆっくりと紐解かれていく、それぞれの「罪の意識」。
決して展開を急ぐことなく語られていく物語は、じんわり心に沁み入ります。
「誰かを傷付けるのが怖い」という感情の奥に隠された本当の気持ち。
真の意味で自分自身に向き合えたら、少年は再び飛翔できるのでしょうか。
丁寧に綴られる青春物語、おすすめです!