第34話 皆々紅白戦!?
試合終了間際のちょっとした疑問を聞いてみた。
「そういえば、なんで私がシュート打とうとしたとき、みんなでゴレイロを目隠ししてくれたの?」
不思議がニヤけながら教えてくれた。
「ハーフタイムの時、カナヅチの看病でトイレに行っただろ? そのあと私が様子を見に行ったんだ。そうしたら二人で作戦会議しているのを聞いちゃったわけ」
だからトイレから出たらみんなで輪になっていたのか……。
「すいません麗人先輩。なんか勝手なことしちゃって……」
チームプレイだからね。
ここはキャプテンである麗人先輩に素直に謝っておこう。
「謝ることはないよ。私の作戦だけではいつかジリ貧になるのは目に見えていたからね。むしろ感謝してもしたりないくらいさ」
さすが麗人先輩。お心が広い。
そんな麗人先輩をマッサージしているおしとやかは、なぜか頬を赤らめているけど……。
「私だって、まぐれでもいいから入ってくれってお願いしたんだぞ」
は、疲労を回復しようとラムネとブロック型栄養委補助食品をかじったあと、スポーツドリンクで流し込んでいるワイルド談
よい子のみんなは真似しちゃダメだよ。
「まぁ味方を騙すには敵からで、その敵を騙すにはまずネエチャンからってこっちゃ! ギャハハハハハ!」
なんだかんだコイツ、あのナンチャラトルネードシュートを打つために、私を踏み台にしたってことか?
「作戦は二手三手先まで考えるもんやで~。まぁワイの体力も超能力も限界やったからな。最後の最後の賭けやったけど、まさか蹴る瞬間超能力が切れてもうた時は、ホンマに焦ったわ~。結果良ければすべてよしやけどなぁ~」
そうこうしているうちに休憩時間も終わりに近づいていった。
「いくぞ! ワイルド!」
「ハイ! 麗人先輩!」
試合前より気合いが入っている二人。
そうだよね。将来の日本代表とタイマン張るんだからね。
「あらぁ~いい顔ねぇ~。それじゃ私も……ちょっと失礼するわねぇ~」
佐々木さんがジャージを脱ぎ始めたぞ!
まさかの生着替えぇぇぇぇ!?
おじさまたちはてっきりスマホで写真を撮ると思いきや、頬を染めて目をそらしている。
「ああいうのを『訓練された下僕』と呼ぶのだ」
は不思議談。
ジャージの下から現れたのは、赤いシャツに赤いハーフパンツ。
黒いレギンスに包まれた二本のおみ足。
そして背中に燦然と輝く『SASAKI』の文字と『37』の背番号!
……37?
佐々木さんエースだよね?
野球のエースなら一番とか、サッカーなら十番ってのは聞いたことあるけど?
「佐々木さんのお名前は『
は、麗人先輩談。
てかそんなんで背番号決めていいのか?
ある意味佐々木さんらしいけど。
さらに、胸元には竜の刺繍が。
「おお、あれこそが『大京大学レッドドラゴンズ』の証!」
これはおじさま談。
なんかファンタジーゲームに出てくる長老みたいだな。
不思議がなにやら頭を抱えながら叫び始めた。
「しまったぁ! ウチのチームもなんか名前を考えておくべきだったぁ!」
いやいやアンタ、サブカル同好会だろ?
よそ様のチームの名前を勝手に決めるんじゃない!
そういえば大京大二軍チームにも名前はなかったな。
そして今度は、おじさまたちが叫び始めた。
「てめぇら! 準備はできたかぁ!? ちゃんとシューズを履き替えたかぁ〜!?」
あの人がキャプテンなのかな?
『うおおおおっ!』
なんかかっこいい。
てかすごいな、ちゃんと芝用とフローリング用のシューズを揃えているなんて。
「チーム『ブルードラゴン』と、チーム『スワローアタック』の合同チーム!
『サーティーセブンラヴァーズ』
ここに出陣するぜぇ!」
『うおおおおおおぉぉ!!』
前言撤回。
こっちにはあっさりチーム名を捨ててる人たちがいるし……。
新しいチーム名はどう考えても佐々木さんラブな意味だけど、元のチーム名はプロ野球チームのファンの集まりだよね?
……佐々木さんとは関係ないよね?
「それでははじめましょうか?」
佐々木さんの一言でみんながピッチへ。
おっと、お嬢先輩とおしとやか、不思議に私とコイツは応援兼サポート要員だ。
ハーフウェイラインには佐々木さんの赤いユニフォーム+おじさま達の青と水色のユニフォーム。
対するは、二軍の白いユニフォーム+麗人先輩とワイルド。
なんか壮観だ。
ちなみに審判はおじさま達が続けてやるみたい。
「言うまでもないが、セクハラ行為はレッドカード出す以前に胸ぐら掴んでピッチの外へ引きずり出してやるぞ!」
「テメェらこそ、イヤラシい目で佐々木様をガン見するんじゃねぇぞ!」
「せいぜい背中に気をつけるんだな!」
「覚えときな。試合中の怪我はたとえ審判でも事故として扱われるんだぞ」
大丈夫かな? 審判とおじさまたちで乱闘にならなければいいけど……。
「それでは紅組、『佐々木様とその他大勢チーム』VS白組、『大京大学二軍と海東学院大学合同チーム』での紅白戦を開始します!」
『『よろしくお願いします!』』
新チーム名は早くも雲散霧消した……。
挨拶の後、麗人先輩とワイルドはピッチの外へ。
外様だから仕方ないか。
『ピーーー!』
合同チームボールでキックオフ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます