第5話 バリバリお食事

 ある日の夕食。

 今日は塩サンマの丸焼きなのだ。


 気のせいか、コイツが来てからの夕食は、魚や肉関係が増えた気がする。

 う~ん。着実に肉食女子へと進化している私。

 おっと、「系」を付けるのを忘れてた。


「ネェチャン、頭と骨としっぽ、かたづけるで~」

「うん、おねがい」

 サンマのしっぽをつまんで、頭を揺らしながら口の中へ放り投げる。


「ほい!」

「よっと! (バリバリ……)」


 器用に浮かんで骨に食らいついた。

 いっそ芸を仕込んでみようかな?


 コイツのおかげで生ゴミが減ったような気がする。

 玉子の殻やフライドチキンの骨もバリバリかじるし。


「そういえば、アンタに言われてベッドのタオルをただの水にしたけど、体は大丈夫?」

「大丈夫やで。このサンマのように、塩気のある食べもんやったら、後は水でええんや」


「こっちとしても助かるわ。部屋中に塩が吹きそうだったからね」

「ネェチャンの潮吹きまでは面倒みきれ……」

”ゴン!”

「食事中の下ネタはやめぃ!」


     ※

『ちょっ! おまっ! それはないやろ!』

「ギャハハハ!」


 コイツはいつも通り、テレビのバラエティー番組見ながら大笑いしている。

 いい身分だ……。

 私も洗い物が終わって、一息つく。


 今まで少し……ほんのちょっとサボっていた家事も、コイツの目があるからマメに行うようになった。

 う~んしゅうとめ、いや、雄だからしゅうと……。

 そもそも私より年上なのか? でなければ小舅こじゅうと


”♪~♪”

 おっと、ワイルド系からSNSの着信だ。どれどれ~。


《シュモクザメ君の歓迎会したいけど、いつ空いてる?》


 おっと、忘れていた。

 わざと忘れていた訳じゃないぞ。


《ちょっと待って。その前に家に呼んでいいか聞いてみる》


「ねぇ、近々友達が家に……」

「オッケーやで!!」

「……即答かよ」


《オッケーって叫んでる》

《やった~。バイト空いている日教えてね》

《りょ~か~い。明日シフト確認するね》

 

「この部屋、男っ気ないからな。どうせネェチャンの女友達やろ? むしろ大歓迎や!」

 ん~なんかむかつく。


「いいの? いじられるかもしれないよ?」

「色男は女にいじられてなんぼやで!」


 イケメンといわない辺り、まだ身の程を知っているのかな。

 おっと、私も人のこといえないけど。


「……ん? なに、じっと見て?」

「ちなみに……どんなべっぴんさんなんやぁ~?」

「あ~ハイハイ、わかりましたよ。スマホの写真だけど……」

 私を入れた四人写った写真をコイツに見せる。


「ふむふむ……ワイルド系におしとやか系、この子は……不思議ちゃん系かな?」

「おおっ! するどい!」

「へっへっへ! 伊達に長年、女見てまへんで」

 コイツ……一体何歳なんだ?


「ほんで最後が……ガサツ系やな」

”ゴンッ!”

 しまった。これじゃあ認めるようなもんだ。


「イテテテ……ただな、一つ条件があるんや」

「なに? やっぱり、世の中に知られたくないとか?」

「いやいや、実はな……」


 ――翌日、大学の食堂にて。

 ワイルド系は

「おっけ~。一度、勝負下着を着てみたかったんだぁ~!」


 おしとやか系は

「では私はミニスカートを。思い切って買ったのですが、なかなか着る機会がなくて……」


 不思議系は

「ちょいエロコスプレでも……いい?」


 アイツが友達を家に呼んでいい条件。それは……。


『なるべくエロイ格好をすること!』


「ねぇ、ちなみにアンタは何を着るの?」

 毎日着替えや裸を見られているのに、今更何を着るんだよ~。

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