GOLD CRASH
下園 悠莉
大切なもの
「 げっほ・・・ッ!、ごほッ! 」
コンクリート一面に、彼の舌の奥底から漏れた血が
びちゃびちゃと音を立てて叩きつけられる。
打撲や切り傷でボロボロになった体が
硬い地面に倒れ込むその瞬間。
アルバート・J・ゴールデンは
アルバートは
その男は
その人間は
立ち止まってなど居られなかった。
立ち止まる理由など、無かったから。
走らずに、言い訳をする事は幾らだって出来たかもしれないけど
理由は、無かったから。
助けたかったから。
己の体で受け止め。
抱き締める。
涙を流しながら。
温かい涙を流しながら。
号泣して、抱き締める。
「 ごめん・・・・、ごめん・・・・・! 」
「 なんで・・・、君が謝るんだよ。 」
「 だって・・・、幾らだって
立ち上がれたはずなのに。
遅くて・・・、お前の事
こんなボロボロにしちまって・・・ 」
「 ごめん・・・、本当に・・・ごめん・・・ 」
俺は、お前を
金でも、技術でも、医療でも
権力でも、知識でもない。
”俺の意思”で救うよ。
絶対に、救って見せる。
金では絶対に買えないもの その1
「 ”お金でも買えないもの”を知っている人 」
GOLD CRASH 下園 悠莉 @Yuri_Simozono_2017
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