もっと身軽になれないものだろうか。人間関係はもちろん、自宅の家具や衣類ですら鬱陶しくなってきた。着の身着のまま、風の吹くままに過ごせたらと願うばかりである。ふらっと旅に出て、そのまま何年もその地で暮らす、こういうことが気軽に出来たらどんなに良いか。

 私だって子供の頃は友達がいたし、お菓子や玩具が増えることに喜びを感じていた。物や人に対する執着が人並みにあったのだ。それが今ではどうだ。偉大なる時の流れによって、私の人格はすっかり変わってしまった。こうなってくると、十年後の私もまた、今とは別人であるかもしれない。私とは一体何処にあるのだろうか。

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