眠れない夜に
地上から輝く美しい星の瞬きを二人で眺めていた。公園の中心はまるでスポットライトを浴びた僕らの舞台みたいだ。辺りには芝生が植わっている。
「この間のニュース見た?」と僕は言う。
「なんのニュース?」
なんのニュースだろう。君が僕を愛してくれたおかげで、本当は君が好きじゃなかった。でも本当の自分に気づいた。
「トランプが出てるやつ」
「ああ、見たよ」
僕は楽観的に空を見上げる。君には嘘ばかりついてきたね。申し訳ないんじゃない。言いたいことなんか何一つない。
「ねえ」と僕は言う。
「何?」
「深刻さと楽観は正しいの? 僕が隠していることは隠すことなの? いや、わかっている。君が幸せならそれでいいんだ」
「何?」
わけのわからないことを口にしたと僕は思う。僕は死んだ人間だ。ぼんやりとした闇が脳内を駆け巡る。
「トランプの政策はひどいよな」
君だって隠していることがあるんだろ。僕にはそれが何か見当もつかないけれど、一生懸命生きているよ。心の中で笑顔を作りながら。
「私には難しくてよくわからない」
「そう。保護政策についてだよ」
僕にもトランプが何を考えているかわからない。大人になったらわかるのかもしれない。誰かに影響を与えてしまうかもしれないな。それとも俺が誰かに救われているのかな。それも皮肉だな。ああ、全部が皮肉に聞こえて見えてしまう。そのことに気づいているのかな。
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