ドナルド・トランプ
結局、物事の行き先なんかわからなかった。俺はただ退屈な日常を過ごしていた。大学受験の講師として日々生活している。大卒の初任給くらいは夜に働くくらいで稼げた。
それが唯一の救いとなっているかもしれない。そもそも人生に定義などないのだ。刑務所にでもいかない限り。
憂鬱を心に抱え込み、刑務所にいる友人に会いにいくことになったのは偶然かもしれない。
俺はそいつと親友だったので、そいつの居場所をネットの情報で突き止め面会までこぎつけた。
「あの時はどうかしていたんだ」
彼はそう言って俺に対して心を開くことはなかった。そもそも人間というものは心を開くことはないのかもしれない。
心の開き方なんて当の昔に忘れた。いったい何が心なのかわからない。心を持っていない。それなら俺はロボットか。いや間違いなく人間である。
そんなことを考えながら俺は夢想にふける。夢の中で、俺は友達が台の上に乗ってぐるぐる回転しているのを想像する。それが俺のせいか、誰のせいか区別できなくなることがある。
結局俺なんか狂っている。しかし、その狂いを上手くいかして、予備校では飛び切りわかりやすい授業をしている。なぜなら俺は狂っているからだ。
言えないことは山ほどある。そしてそんなことを言っても仕方ないのだとドナルド・トランプの演説を聞いて知る。
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