第2話:追憶
教室を出ると廊下はすごく静かだった。誰もいなくてまるであたしだけが取り残されている気分だ。
雨が降ってるせいなのか少し暗くて気味が悪かった。
早く帰ろう…
そんな気持ちで早歩きをする。
階段を降りると不意に顔を上げ目の前にはさっき女子2人が話しをしていた鏡が掛けられていた。
所々欠けていて今でも割れそうだった。
確か、血鏡様…だっけ?呪文を唱えて願いを叶えると同時に幸福な世界に連れて行ってくれるって…そんな旨い話あるのかな…
…もし本当なら、試してみる価値はあるかもしれない
恐怖よりも好奇心が勝ってスマホを取り出し時間を確認した。
4時44分…やるなら今だ。
あたしは両手を合わして握り祈るように呪文を唱えた。
「血鏡様、血鏡様、もしいらっしゃいましたら出てください」
これを3回唱えた。
これでいいのかな…?
しかし待ってみたが何も変化がなかった。
「やっぱりただの噂だったんだ…
やめたやめた、帰ろう」
2階の踊り場を立ち去ろうとしたその時
––みぃーつけた––
声が聞こえたと同時にガシッと手首を掴まれた感覚があった
「え?」
再び鏡を見るとさっきまでは何もなかったのに鏡に映った自分…
いや、正確には…鏡に映っていたもう一人の自分があたしの手首を掴んでいた。
「ちょうだい…ちょうだい…」
「い、いやあああああああ‼︎‼︎」
すると勢いよく引っ張られ向かう先は鏡だった。
すると手が鏡の中に入っていく。
「いやだ!離して、離してよ!」
抵抗して見るも全く歯が立たなくあたしは鏡の中に引きずり込まれてしまった。
「思い出した…あたしもう一人のあたしに鏡の中に引きずり込まれて気を失っていたんだ…てことはここはあたしの通っている学校だっていうことはわかったけど何か雰囲気が違う…」
壁とか階段とか…ボロボロで、昔の学校みたい…
それに、所々についている赤い液体…血じゃないと信じたいけど…
「ここで座ってても何も変わらないからとりあえず探索しよう。ここ…余り長居は出来ないし…」
あたしは立って階段を上がり廊下を見ると人らしきものが目に入った。
「人?」
とりあえず近づいてみよう…
あたしは人らしきものに近づいてみると人…というより黒い影?に縁が赤く光っていて佇んでいた。
「あのー、すみません」
声をかけてみると急に振り向き顔はわからないが目が赤く光っている。
『貴方も願いを叶えにきたの?』
『ここは幸福な世界、何でも出来て何でも欲しいものが手に入る』
『何も持てなかった才能も手に入れることも出来るよ』
するとたくさんシルエットがぞろぞろと出てきた。
「あ、あの…」
『貴方も一緒に、幸福な世界に堕ちましょう…』
するとたくさんの黒い影が斧や包丁、鈍器のようなものを持ち目の瞳孔が開きじりじりとあたしに近づいてきた。
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