序章 第1話 はじまりの森
─────さあ、
×××
「いってぇ……いつもいつも雑に振り落としやがって……」
今回の時空の歪みは地上から高さ7mほどの場所へ出現した。
歪みからの落下後の、この着地が上手くいった試しが今までにないと、小言を吐きながら
脱臼した左肩を涙目で元に戻し
そして向かうべき道のりを何となく風向きや近くの環境から感じ取ろうとしているこの男こそ、この物語の主人公。
「おっと、急がないとな。またあのうるせぇクソガキに
まずは街を目指すこと
これはどの世界に渡航しても同じことだ
目的達成のためには、その世界のことを知り違和感なく
この森が明らかに人里から離れている様子は、周りの
移動にはそれなりの時間を要するため気が
人の目につかないというだけで、活動のしやすさが格段に上がる…と胸をなで下ろした直後の事だった。
「チッ……そう簡単には行かせねぇってか」
鳴き声と思しき
それぞれの体長は3~5mほどで、ある世界で出会ったオオカミという生物に
あっという間に
「一応確認だけど、言葉が理解出来る知的生命体であれば話し合いという平和的解決……」
「ギグァルルルルガルッッッ」
「まあ……知ってたけどさ…」
その言葉尻に、一斉に、それでいて着実に連携が取れた動きで主人公に向かい飛びかかる
退路という退路を
あくまで勘だが、コイツらはこの森の生態系の高位に位置するであろうという予感が、その気配や
手加減は出来ない相手だった。
「俺ルールその①
そう自分にだけ聞こえる声で言い放ち、構える。
「このルール、自分で決めておいてなんだけど、こういう時にはすげぇ不便なんだよなぁ」
その瞬間。一条の研ぎ澄まされた針のような
光は主人公のすぐ
飛び散った複数の閃光がまるでホーミングレーザーのように追従しその場にいた十数匹の獣をほぼ同時に
すぐさま矢らしきものが
「さっそく見つけちゃったかな…最初の標的。」
×××
ある世界に存在する、月といわれる空に浮かぶ星は
夜間その世界を淡い光で照らしてくれる。
そんな月と同様の天体がこの世界にもあった
そのおかげで、こんな見通しの悪い森の中であっても目を
それほどまでに、この世界は『地球』といわれる私の故郷に造りが似ていた。
だからこその
飛ばされた先が、これほどに生きやすい環境であれば
まずは存在すると仮定されている、人類の文明レベルの調査を行う必要がある
そのために街を目指して行動を起こさねばならない。
より先のものを見通すため
ひいては、
「EXスキル:
そう小さく
目に映るあらゆる物体、物質はホログラフ化され、距離や高度、空気圧や生体反応の
任意の倍率に合わせ不要な情報はフィルターにかけることが出来る機能を利用し、生体反応を探ると
ここから数kmの位置に、
1人の人間が、複数の巨大な野犬めいたものに追い詰められていた。
「人が…襲われている…!?」
現地で得られる貴重な
先程の要領で、もう一度唱えた。
「EXスキル:
照準を定め差し出した右手へ、周辺の地脈などから吸い上げたエネルギーを素早く収束させ光の
想定と誤差のない速度と角度を保ったまま目標へ
「よし……ひとまずはあの人の所へ……」
全てを言い終える前に、
自身の近くにも、危険極まる野生生物が
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