その四
「にげて、ルナ!」
ようやく思い出が消えて頭からいたみがしなくなったリーンは立ちあがりさけびます。たすけなくちゃとガイルとうなずき合うと、ガイルは翼を広げ、リーンは走りだしました。
けれどルナは言います。
「来ちゃダメ!」
その言葉にまずガイルが翼を止めました。リーンだけがルナの所に向かいます。すると止まっていたガイルはどういうわけかリーンに向けてとんで行き始めます。
あと少しでルナに手がとどく。ルナの手をつかむまで、あと一歩です。ですがそのあと一歩の所でリーンは体をガイルに抱きしめられ、いっしょにとびあがってしまいました。リーンののばした手はルナをつかまえることができませんでした。
ガイルはリーンをつれてルナからはなれてしまいます。行ったらだめだとガイルはリーンに言いますが、どうしてなのかリーンには分かりません。
見てみると、ルナはリーンとガイルを見つめたまま、その後ろの化石のドラゴンは大きな口を、とがったきばを見せつけながらひらきました。
「ルナが食べられちゃう!」
そう思ったリーンはガイルの手を振りほどいてまた走ろうとします。その時でした。ルナと化石のドラゴンのそっくりなツノが両方とも光り始めます。するとその光につつまれたルナの体はまたたくまに変わって行き、そしてむらさき色をした石、宝石になってしまったのです。
おどろくリーンとガイルでしたが、もんだいはここからでした。ひらいたままの化石のドラゴンの口から光があふれ出して、まず宝石になってしまったルナを吸いこんでしまいます。それだけではありません、うずまいたその光はあらゆるものを吸いこみ始めたのです。
地面にへばりついてリーンとガイルはそれにたえます。ただ空どうをてらしていたほのおがぜんぶ吸いこまれてしまいました。いっきに空どうにくらがりが戻ってきました。
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