その三
その先は大きな空どうでした。大きな大きな。そしてリーンにはこれに見覚えがありました。ある気がしてしかたがありませんでした。
「やっぱり、知ってる気がする」
「リーンも?」
どうやらガイルもリーンと同じで、この空間に見覚えがある。らしいのです。
リーンとガイルの二人はそろって上を見ます。つられてルナも見あげました。高いてんじょうがあり、てんじょうには大きな赤っぽい石がくっついています。
思い当たる何かがあるのに、どうしてもしっかりそれを思い出すことができない二人はそろってうーんとうなり声を上げて、こてんと小首をかしげるとごつんと頭をぶつけてしまいました。
リーンとガイルがそんなことをしている間、ルナは一人、空どうを見わたしました。ここには何もありません。食べものもおもちゃも何も。あるのは石でできた四角い台のようなものだけでした。何となくその台のことが気になったルナはふらふらとちかよって行きます。
そして何か、まるでドラゴンのような形がほられたその台の上へとルナが手を乗せました。
「!!」
すると何かが台からルナへと伝わり、そしてルナからその何かが空どうぜんぶに伝わって行きます。
「なんだ、ろ」
ガイルとなやんでいたリーンにもそれが伝わります。思い出しそうだったことがとつぜんリーンの頭の中にあふれ返りました。ただあまりにもいっぺんにそれがおしよせたのでリーンは頭がいたくなりその場にしゃがみ込んでしまいます。しかもいっしゅんのできごとだったので、けっきょくは思い出をぜんぶ覚えることができません。
そしてこんどはガイルがこの空どうについてのことを少し思い出します。ガイルは息をすい、天井に向けてほのおを吹きました。立ちのぼったほのおは天井の赤っぽい石にめいちゅうし、するとほのおは大きな音を立ててばくはつをおこしました。
ほのおは広がって空どう中に明かりをともして行きます。そして一番大きな明かりをともしたのは天井の石でした。それによってくらかった空どうが明るくなります。
「これ、なに?」
ルナはみんなとはちがう所を見ていました。空どうが明るくなったからでしょうか、けれどドラゴンの目であればくらがりなんてなんてことないはずです。であれば今ルナが見ているのは明るくなったことでとつぜんあらわれたことになります。
ルナの顔がおどろきにかわって行きます。ルナはなにを見たのでしょう。空どうの高いところにあるかべをルナは見つめつづけていました。そこにあるのはかべに埋まった、それはドラゴンの化石でした。とてもこわい顔をしたドラゴンの化石。その化石のドラゴンには、まるでルナのツノと同じ形をしたツノがありました。
「うう、ルナ! そこにいたらダメだよ!」
思い出がいっしゅんよみがえっては消えて行きます。それがなんどもなんどもくり返されて、しかもそのどれもがあまりにすごい量のなのでリーンの頭からいたみが消えることはありません。ずきずきとすごいいたみがリーンをおそいます。頭が割れてしまいそうで、とても辛いのですがリーンはこれから良くないことがおこることをよみがえった思い出から知ります。リーンはりょう手で頭をおさえながら、ルナを見ました。
リーンの呼びかけにルナがふり返ります。ガイルによりそわれた苦しそうなリーンのすがたに気づいたルナはいそいでリーンの所へ行こうとしますが、リーンとガイルはひっしになってルナへと何かを知らせようとしていました。それを見たルナはふしぎに思い足を止めます。
リーンとガイルは何を見たのでしょうか。それはルナの後ろで動き出したドラゴンの化石でした。
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