その二

 とんで行けるほど見つけたつうろは広くありません。よこに並ぶこともできないので、ガイルが先頭になってリーン、ルナとつづいて歩いておりて行きます。


 つうろはとてもくらかったのですが、ドラゴンである三人にはあまりかんけいがありません。ドラゴンの目はくらくてもよく見えるのです。


 段々になっているさか道を、どれくらいおりていったことでしょう。いいかげんにガイルも歩くのにあきてきたころでした、三人の目の前に石でできたかべが、いいえ、かべではありません。それは押したり引いたりすることで開けることのできるとびらです。とびらがあらわれたのでした。


 そのとびらには何かもようがきざまれていましたが、リーンたちにそれが何なのかは分かりません。


「行き止まりなの?」


「まって! 風が来ているわ。つづきがあるんじゃないかしら」


 ガイルの肩からひょっこり顔を出したリーンがとびらをかべだと思って言いました。ですが風におでこから伸びたツノをくすぐられたルナがそのことを言うと、なにやらやる気を見せ始めたガイルが二人に少し下がるようにと言います。


 ガイルのしようとしていることが分かったリーンとルナは、ルナがリーンのことを引っぱる形でガイルからはなれました。


「よぉーし! ガイルさまのじゃまをするやつは何だってぜーんぶぶっとばしてやるぜ!」


 いき込んだガイルは大きく息をすいました。そしてぷっくりとほっぺたをふくらませたガイルが思い切りすいこんだ息をとびらに向けて吹きかけると、なんとガイルの息はまっ赤なほのおとなってとびらをおそいました。ガイルのとくいわざです。


 ただ少しいきおいがあまってしまったようで、大きなほのおはせまいつうろを逆流してあやうくリーンのまっ白な羽毛をもやしてしまうところでした。なんとかルナが自分の翼でリーンを守ったので、リーンの翼の大切なまっ白羽毛はこげずに済んだようです。


「あぶないよお、ガイル」


「あらら、ごめんな、リーン。だいじょうぶか?」


「うん! ルナが助けてくれたよ!」


 ありがとう! 元気良いリーンのお礼を受けとったルナはとてもうれしそう。けれどはいりょの足りなかったガイルのことはきっちりしかります。


 もう一度ごめんよとあやまるガイルをルナもゆるしてあげれば、三人はすっかり元の仲よしです。そしてとびらもガイルのほのおが開けてくれました。


 気を取りなおしたガイルはこぶしをつきあげてさけびます。


「よし! 行くぞ!」

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