三人はいつもいっしょ

その一

 ふしぎなばしょの一番大きな木。そこにある一番大きな家に、リーンとガイル、そしてルナはやって来ました。


 左右に動く入り口をひらいて、家の中をガイルが先頭になって歩いて行きます。


 たくさんの入り口が行く手をはばみますが、ガイルはこわがることなく進みます。


 そんなガイルのたのもしい背中を見ながら、リーンとルナはついて行きました。


 いくつ目の入り口をあけたことでしょう、ついにさいごの一枚になったのか、ガイルが左右に動く入り口をいきおいよくあけはなつと、あらわれたのは大きな広間でした。


 おくに長くつづいているその広間には、左右にずらりと並べられたざぶとんがあり、一番おくには大きなかざりつけのされた、ひじかけのあるざぶとんがまん中にありました。


 見なれない光景に、ガイルもリーンもどきどきです。ゆいいつルナだけはほし肉を食べながら、やはりかん心はうすいようでした。


 ぱたぱたと走って奥まで行くガイルとリーン、ひじかけにあるざぶとんのところまで行くと、それに座ったりかざりをいじったり、ざぶとんをひっくり返したりしてみます。とくに何か見つかったりはしませんでした。


「何もないね」


「うーん、何かあると思ったんだけどなあ」


 リーンがきらきらのかざりをものほしそうに見つめながらざんねんそうに言いますが、ざぶとんに座ったガイルはなっとくしていないようす。うでぐみをして首をひねります。


 うーん、うーんとガイルがうなっている間、リーンとルナはざぶとんの後ろがわに立てかけられているきらきらしたかざりを持ってかえれないかなとあれやこれやいじっていました。


「あら、動いたわ!」


 すると、たいようの光のようになん本もとびだしたかざりのぼうをつかんで、ルナがそれを折ろうと力を加えた時でした、ぼうががちゃんと音を立てて下に下がったのです。


 なんだなんだと、リーンもガイルも、もちろんルナもおどろいている中、こんどはリーンがひめいを上げました。


 なんだなんだ? ガイルとルナが見守る中、リーンはおどろきのあまりと翼を広げてびあがりました。


「地面が動いたよ! 見て見て!」


 リーンが指さしたのはさっきまで自分がいた床でした。おどろくことにその床はつなぎ目にそって動いていて、なんと下につづくかいだんがそこからあらわれたのです。


「でかしたぞ、リーン!」


「ううん、きっとルナがぼうを動かしたからだよ」


「でかしたぞ、ルナ!」


「この穴はどこにつづいてるのかな?」


 ルナはぎもんを口にしましたが、今のガイルにはかんけいありません。行く道が見つかったのですから、もちろんたんけん再開です。

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