あたたかな日
その一
それからリーンとルナ、ガイルはふしぎなばしょで過ごしていました。今はあたたかい日。まっ白な寒い日がおわり、たくさんの命が目をさます日です。
「見てルナ! 出てきたよ!」
そしてリーンたちにも少しだけ変化がありました。お腹いっぱい、あるだけ食べてしまうのではなく、このふしぎなばしょにいるごちそうたちがいなくならないように育ててみようと言うのでした。
どうしてそんなことをするのかな? ルナが聞いてみると、どうやらリーンとガイルはふしぎなばしょでねむるとゆめを見るのだそうです。
そのゆめの中では知らないドラゴンたちがふしぎなばしょでニワトリや牛といったどうぶつや、こくもつを育てていたというのです。
リーンとガイルはそれをしてみようと言い、今もリーンはルナをさそい、けい舎の中でニワトリが産んだたまごを見ていました。そろそろふ化しそうなたまごがあったので、中からニワトリが出てくるのをまっているのです。するとたまごがゆれ、ひびが入り、中から金色の毛が見えかくれしはじめました。
あたらしい命のたん生にはしゃぐリーンでしたが、そのとなりのルナはこれがいまいちたのしそうではありません。ルナにとってはたまごのままの方がおいしくて好きなのです。どうしてごちそうを目の前にしてリーンやガイルがこんなことするのか、ルナには分かりませんでした。
そうしていると、こんどはガイルがけい舎にやってきました。その手には大きな入れ物が抱きしめられていて、中には牛から取ったお乳が入っています。
取れたての内にみんなでのもうというので、これにはルナもよろこんでさんせいしました。もちろんリーンもです。
三人は風車小屋のいっかいをきれいに片づけて、ふしぎなばしょの外れであるこのばしょ、ガンダーのうじょうであそんでいるとき、そのへやで休けいをしています。
ガンダーのうじょうというのも、ガイルがゆめの中で知った名前でした。リーンもそのあとすぐにゆめでそのことを知ります。知らないのはルナだけでした。
ほし肉やドライフルーツを食べ、牛乳を飲みながら、ガイルが言いました。
「今日はこれからこのばしょの一番おくに行ってみようぜ!」
このばしょが大好きな二人はもちろんさんせいします。
けれどこのたんけんが、まさかあんなたいへんなことになるなんて、今はだれも知りません。ルナだけが、へんなもやもやをむねのうちがわに感じるだけでした。
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