その二
ぽかぽかと体があたたかくなってきました。どうやら寒い日がおわったようです。
寒い日をむかえ、とうみんに入ると、あたたかい日はいつもすぐでした。目がさめると決まって腹ぺこ、虫から食べようかな? それともかじつ? 木の実もおいしそうなものを見つけていました。
リーンはどれにしようかまよいながら、まだ重たいまぶたをあけました。まばゆい光が目の中にとびこんできて、すぐにはようすが分かりません。
少しして、リーンの目が光りになれてくると、今いるここがいつもリーンがねている自分の巣ではないことが分かってきました。
「どこだろう」
ぼやける目をこすりながら、よこになっていたリーンは体をおこします。そしてまわりを見わたしました。
そこはリーンが巣にしている大樹の上ではありません。まわりを取り囲んでいるのも葉っぱでも枝でもなく、計ったようにまっすぐな木の板でした。ところどころ四角く切り抜かれていて、光がもれています。そしてリーンがねているのも、葉っぱと羽毛のねどこではありません。それよりもずっとやわらかくてあたたかな、まっ白な布でした。
その布のふかふかした感触や、さわり心地の良さにそこをてのひらでなでたりつかんだりしながらぼんやりしていたリーンでしたが、ふとせっかく集めた食べものがないことに気がついてびっくり。
「たいへんだ! 腹ぺこなのに」
けれどとうみんがおわったにしてはリーンのお腹は空いていません。
へんだな。リーンがふしぎに思っていると、板に囲まれたこのばしょの光がもれている四角とはちがうべつの四角がひらいて、そこからガイルがすがたを見せました。
「やっとおきたな! 外に出て見てみろよ」
ガイルが言うので、おはようとあいさつをしたあと、リーンはベッドからおりてガイルのあとについて行きます。
「わあ、すごい!」
そしてリーンが目の当たりにしたのは、とても大きな木々が立ち並んだ、ふしぎなばしょでした。とても明るくてあたたかいばしょ。リーンがその目をきらめかせながら歩みだし、木でできた手すりに寄りかかると身をのり出します。
明るいばかりの空には青い鳥たちが何羽もとんでいます。そしてリーンが住む大樹よりもずっと大きな木には、木でできたふしぎな形の四角いものが、木に生えるきのこのようにたくさんくっついていました。リーンもガイルも知りませんが、それは家と呼ばれるものでした。
ここはどこなの? リーンがガイルにたずねます。
「きのこ森のふかくをもっと進んだところだぜ! もういっかいたんけんに来て見つけたんだ」
すごいすごいとはしゃぐリーンでしたが、ふしぎなことに、なんとなくですがこのばしょを知っているような、なつかしい気持ちがしていました。
「ぼくたち、ここであそんだことあるかな?」
ガイルに聞きますが、あるわけないとリーンは笑われてしまいました。けれどどうやら実はガイルもリーンと同じ気持ちだったのです。
おかしいね。二人は笑いあいながら、このばしょをたんけんすることにしました。
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