寒い日

その一

 寒い日は決まってまっ白なつめたい雪がこのドラゴニック・グランガルドにはふります。


 寒い日は虫やかじつが少なくなるので、寒くなる前にたくさん食べておくか、長もちする食べものをたくさん集めておかなくてはなりません。


 リーンはそこそこお腹をみたし、寒い日の間の食べものをルナとガイルといっしょに集めていました。なのでリーンの巣には寒さにつよい虫や長もちのかじつ、木の実などがたくさんありました。


 それだけではありません。リーンは友だちの小鳥たちや自分の翼の羽毛を使って巣をあたたかくなるようにしていました。


 大きなあくびをして、あたたかな日になるまでねむろうとリーンが自分を自分の翼でつつんで目をとじたときでした。


「とうみんするのはまだはやいぞ、リーン!」


 やって来たのはガイルでした。


 リーンが顔を上げると、雪よけの葉っぱをどかしてガイルが巣の中におりてきました。葉っぱの上にあった雪や、今もふっている雪が巣の上におちて、寒い風も入ってくるので、リーンは体をちぢこませます。


「もうねむいよ」


 すっかりとうみんするつもりでいたリーン、いくらガイルのさそいとはいえねむけにはかないません。


 なのであたたかくなったらあそぼうとガイルに言ったリーンはひらいた目をまたとじようとします。


 けれどガイルもあきらめません。ダメだとリーンに言うと、リーンの手をつかんでひっぱりあげました。


 ほとんどねているのも同じなリーンはいやがることなくむにゃむにゃと寝言をつぶやきながらガイルにひっぱられて空にとんで行きました。


 どうやらガイルはリーンをどこかに連れて行きたいようです。どこに行くのでしょう。リーンはまだねていました。

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