その二

 ルナはもも色のかみの毛の、とんがった黒い二本ツノがとくちょうのかわいい女の子です。


 ルナの巣はむかし火山だったところにある、石で出来た巣です。


 寒い日はまだじめんの下でマグマがもえているのであたたかいのですが、暑い日はそれはもうとても暑くなるのです。


 暑さにつよいドラゴンであるルナでも、汗が止まらなくなるほどでした。


「ルナ、いっしょに川に水あびしに行こう」


 ルナの巣までやって来たリーンとガイルの二人は、空から巣で休んでいるルナをあそびにさそいます。


「水あび大好き! すぐ行くね」


 見あげると、リーンがルナに手をふっていました。


 ルナはすぐに黒いうろこにおおわれた翼をひろげ、二人のところまでとんで行きます。


 いつもの三人がそろいました。


「川まできょうそうだ!」


 ガイルがそういうと、えー、とはやくとぶのがにがてなリーンはいやそうな声を出します。


 けれどガイルがそれをきいたためしはありません。


 おいてくぞ! とげんきいっぱいのガイルが一番にとんで行きます。


 取りのこされたリーンとルナでしたが、ルナはリーンの手を取ると、いっしょに行こうと笑います。


 三人の中で一番はやくとべるルナにひっぱられて、リーンもはやくとびます。


 すぐにガイルの後ろすがたが見えてくると、びゅんとルナとリーンはガイルを追いこします。


 ずるいぞとおこるガイルでしたが、そうして川に着くと、おこっていたことも忘れてガイルは川の中でばしゃばしゃとはしゃぎました。


 およいだり、虫や魚をつかまえてよろこぶガイルをリーンが川のあさいところにつかりながら見ていると、となりにルナがやって来ました。


「お魚つかまえたよ、リーンも食べよう!」


 小さな魚を両手につかまえたルナは、一匹を食べながらもう一匹をリーンにさし出しました。


「ありがとう。ルナはやさしいね!」


 二人が魚を食べていると、一人であそぶのにあきたガイルがやって来て、リーンとルナに水をかけました。


「がおーっ、このきゅーせいしゅめ、はやくにげないとじゃりゅーが食べちゃうぞ~!」


 どうやらガイルはごっこあそびがしたいようです。


「かかってこい!」


 ルナが立ちあがり、ガイルに水をあびせ返します。リーンもいっしょになってガイルたちと水あそびを楽しみました。


 リーンとルナ、そしてガイルはこうしてつづく暑い日を楽しく乗り切るのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る