暑い日
その一
ドラゴニック・グランガルドは今は暑い日。
暑いので、とても日なたぼっこばかりしていられたものではありません。
けれどドラゴンの男の子リーンは、まっ白で柔らかな毛に包まれた翼をもっているので、かゆくならないためにも日なたぼっこをしなくてはなりません。
お腹を向けたり、背中を向けたり、横を向いたり。
どこかが熱くなると、べつの熱くないところを代わりにお日さまに向けて、熱くなったところを冷まします。
リーンの巣はお日さまの光がよく差してきて、暑くない日はぽかぽか気持ち良いのですが、暑い日はとっても暑くなってしまいます。
うーん、うーんと、暑さにうめき声を上げながら、リーンが背中をお日さまに向けた時でした。
「お~い、リーン! 外に出てあそぼうぜ!」
そんな元気な声が聞こえました。
ガキだいしょうのガイルがきたな。
リーンがあつあつの翼をどけて上を見あげると、空ではやっぱりガイルがリーンのことを呼んでいました。
赤いかみの毛とりっぱなツノがじまんのガイルは暑くてもさむくても外をかけ回っているげんきなドラゴンの男の子です。
どのドラゴンとも仲よしですが、とくにガイルはリーンのことがお気に入り。
いつもまずはじめにあそびにさそうのはリーンなほどです。
ガイルのげんきさにはリーンもちょっぴり困りぎみでしたが、でもリーンもそんなガイルが大好きでした。
「今いくよ」
待ちきれないといったようすのガイルにリーンはそう言って、ひたいに浮かんだ汗を手で拭くと、まっ白な翼をはばたかせてとび上がりました。
リーンははやく空をとぶのがにがてだったので、いつもガイルにせかされます。
そうして、ガイルのいるところまでとんでいったリーンは、ガイルにこんにちはとあいさつをして、なにをしてあそぶの? そうたずねました。
「今日はとっても暑いから、川で水あびだ!」
げんきなガイルのげんきな返事。リーンも暑かったので、ガイルのていあんにさんせいです。
「ルナも呼ぼう」
リーンがそう言うと、ガイルはめいあんだとよろこびました。
こんどはリーンとガイルのお友だちの、女の子のルナのところにふたりは向かいました。
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