第四話 ボクと学販衣料
「ミエルちゃん、おはよう」
「よぉ、ミエル、今日もよろしくな」
店内に響き渡るのは重低音がやたらとブーストされたアップビートのBGM、カクテル照明の点滅とミラーボールが織りなす光の演出に目が眩みそうになりながらボクが向かう先、いつものボックスシートにあの人たちはいた。
あれ?
今日は社長とキバヤンさんと……もう一人いる。
ひょっとしたら接待かな?
よし、がんばってサービスしないとだね。
「社長、おはようございます!」
「いいねぇ、ミエルちゃん。体操着のボクっ
そう、ボクの名前はミエル、これはお店での名前。叔母さん……じゃなかった、ママさんがつけてくれたんだけど、フランス語で蜂蜜って意味なんだ。
そしてここはコスプレパブ……なんだけど、ちょっと前までランジェリーパブだった名残なのかなぁ、店の女の子たちのほとんどはランジェリーっぽいコスチュームを着けてる。
だけどボクが着ているのは体操着。
てか、ボクだけが体操着。
さすがにブルマではないけれど厚手の白いクルーネックシャツに紺色のショートパンツ、足にはハイソックスと上履き、そしてご丁寧なことにシャツの胸にはボクの名前が書かれたゼッケンまで付いてるんだ。
ママさんもちょっと悪ノリが過ぎると思うよ。だって、こんなゼッケンのおかげでこのコスチュームはボク専用になってしまってるんだから。
それにしても金髪ボブヘアーに体操着でボクっ
「ミエル、おまえさあ、そんなのばっかじゃくって、たまには違ったもんを着てみろよ。いろいろあんだろ、バニーとかメイドとかよ」
「キバヤンさん、おはようです。でもでも、これはママさんの趣味で」
「ったく、しょうがねぇなぁ……あ、そうだそうだ、紹介するよ。この人は
「彼はね、今ちょっとした事情があってうちでバイトしていてね。これからもちょくちょく遊びにくるからよろしくね。ほら
そう言って二人は新顔さんを紹介してくれた。
そうか接待ではなかったんだ、ちょっとホッとしたかな。
ところでこちらの社長さんはここ新宿界隈ではちょっと知られた便利屋さん、キバヤンさんは社長のパートナーみたいな人で秋葉さんって言うんだけど、「キバヤンと呼べ」って言うもんだからボクもそう呼んでる。
とにかくこの二人は大きな仕事が片付くといつもお店に来てボクを指名してくれる、ボクにとっては大事なお客様だ。
そして今日二人が連れてきたこの人は?
「は、初めまして、
それにしても新顔さん、声が小さいなぁ。耳を近づけないと聞こえないよ。
よし、せっかくだからサービスしちゃおう。
ボクはごあいさつもそこそこに
「初めまして、ボクはミエルって言います。よろしく」
ボクは胸のゼッケンを指さしながら微笑みかける。すると
そんなに見つめられると緊張しちゃうよ。とにかくおしゃべりのきっかけを作らなくちゃ。
「
「次、英語のネクストの次、それにお馬さんの馬で『つぐま』です」
そんな
技術系ってことはおもしろい話がいろいろ聞けそう。だってボクはAI技術を学びたくて大学を目指してるんだから、きっと話が合うと思う。
よし、いいお客さんになってもらえるよう、がんばらないと。
「ボクもジバゴさんって呼んでもいい?」
「う、うん」
ジバゴさん、またまた蚊の鳴くような声でそう答えた。
それからボクはジバゴさんに寄り添うようにしながら水割りを作ったりおしゃべりしてたんだけど、それにしてもジバゴさんったらボクを見過ぎ。社長とキバヤンさんがうまく話をつないでくれるんだけど、気が付くとボクをガン見してる。それも胸とか肩とかばかり。
体操着がそんなにめずらしいのかなぁ。
そのときボクはそう思ってたんだけど、それからしばらくしてジバゴさん本人の口からその理由を教えてもらうことになるんだ。
――*――
その日ジバゴさんは一人でお店にやって来た。
やったね、ボクを指名してくれたよ。
「おはようございま――す、ジバゴさん!」
「お、おはよう」
相変わらず小さな声なんだけど、このノリで間を持たせられるかなぁ、ちょっと不安。
そうだ、ジバゴさんお得意の技術系の話なんかしてみようかな。
ボクはセットで用意された焼酎の水割りを作りながらジバゴさんに昔やってた仕事の話を振ってみた。でも反応はイマイチ、そうだよね、楽しむためにお店に来てくれてるのに堅苦しい話を出されても困っちゃうよね。
そんなわけでその日はあまり会話も弾まなくて、それでもなんとか間をつなげたのはこの体操着のおかげかな。ジバゴさん、ずっとボクの顔じゃないところを見てたけどあの人なりに満足してくれたみたいだった。
結局ジバゴさん、延長することなく帰ってしまったんだけど、やっぱ話題は選ばないとだね。
今日はちょっと失敗、失敗。
それから一週間もしないうちにジバゴさん、またまたお一人様でやって来た。
もちろん、指名はボク。
「ジバゴさん……あの……この前はごめんなさい」
「い、いや、僕の方こそミエルくんに気を遣わせちゃって」
ボクの方こそお客様を気遣うべきなのに、ジバゴさんにこんなことを言わせちゃうなんて。だからその日ボクはずっとジバゴさんに寄り添ってあげたんだ。そうしたらジバゴさん、だいぶ打ち解けてくれたみたいでいろんなことを話してくれたんだ。
「僕は体操着姿のミエルくんが好きなんだ……いや、その、いやらしい意味ではなくて……」
告白でもしてるみたいに必死になって話してくれるジバゴさんを見てたらなんとかしてあげたくなって、ボクはもっともっとピッタリと密着して少しだけ腕を絡めたんだ。
ジバゴさんの肘がボクの脇腹に当たる。
そうしたらジバゴさん、体操着の感触を味わってるのかな、やたらと腕をもぞもぞさせながらぽつりぽつりと自分語りを始めた。
ああ、店のBGM、もう少し落としてくれないかなぁ……。
それはジバゴさんが小学六年生のときのことだった。
その年の体育祭でムカデ競争をやることになって、学年で一番背が高くて人気者のヨシオ君とクラスの男子に人気の
先頭にヨシオ君、続いて
ジバゴさんはショルダーバッグの奥から「宝物」って呼んでるすっごく古いガラケーを取り出すとそこに保存されてる写真をボクに見せてくれた。
小さな画面の中で体操着の三人が笑ってる。
背の高いヨシオくんに肩を寄せてVサインしている小柄な
そっか、ジバゴさんって、小学生のときはちょっと太めだったんだ。
「とにかく楽しかったんだ。後にも先にも女の子に触れるなんてあのときだけだったしね。今でも覚えてるよ、あの
ジバゴさんは小さなため息をつくとボクの目を見て話を続けた。
「だからあの日、社長とキバヤンくんに連れられてここに来たときに初めて見た君の姿が目に焼き付いてね。あの頃の記憶がフラッシュバックしちゃったんだ」
そっか、やっぱジバゴさんってボクではなくて体操着に魅力を感じてたのか。
それってちょっと残念かも。
「あ、いや、ごめん、その、ミエルくんはとても魅力的だよ。学生時代の僕に君みたいな彼女がいたら人生もっと変わってたかも知れないし……いや、そうじゃなくて、何言ってんだ僕……とにかく、君はとてもかわいいし、いくら体操着でも君じゃなかったら、僕は……」
あっ、ジバゴさんいっぱいいっぱいかも。助け舟を出してあげなきゃ。
「ジバゴさん、ボク、とってもうれしいよ。さ、乾杯しよ」
それからのジバゴさんはとてもリラックスしたみたいで、技術者だった頃の話やプログラミング言語の話題なんかも話してくれた。
ジバゴさんったらすごく嬉しそうに「ミエルくんが理系女子だったなんて意外だな」なんて言ってくれるし、だからその日はボクもとても楽しかったんだ。
「さて、そろそろ帰らなくちゃ。ごめんねミエルくん、恥ずかしながら今の僕ではとても君の売り上げに貢献できそうになくて」
「そんなことない。ボクだっていつも指名してもらってうれしいし」
ボクはお会計の間もずっとジバゴさんと腕を組んだまま、そして最後はボーイさんに見守られながらお見送りする。こうしてその晩もジバゴさんは延長することなく帰っていった。
それからもジバゴさんは数日に一度くらいのペースでやって来てボクを指名してくれた。初めてのときこそ社長やキバヤンさんと一緒だったけど、あの日からこっち、ジバゴさんはいつも一人でやって来る。
確か社長さんはバイトって言ってた。ボクはだんだんジバゴさんのことが心配になって来た。こんなペースでお店に来てるってこと、社長は知ってるんだろうか。
そしてボクは思い切って相談してみることにした。こういうときに頼りになるのはキバヤンさんだ。
そう、ボクにとってあの人はお客さんでもありお兄さんでもあるんだ。
――*――
ここは叔母さん……じゃなかった、ママさんが経営している別のお店、英国風パブ、ボクが働いてるもう一つのお店です。
この店でのボクはメイドさん。
シャルロットって名前で、銀髪ツインテールのウィッグを着けてるんだ。ママさんが言うにはビクトリア風の演出なんだってさ。
だけどボクは相変わらずボクのまま。メイドがボクなんておかしいって言ってみたけど、ママさんは「そのミスマッチ感がいいのよ」と言って譲らなかった。
でもさすがママさん、その読みは大正解で、常連さん、特に二丁目のオネエさんたちからは「シャロちゃん」なんて呼ばれて結構な人気なんだ。
「ようミエル、じゃなかった、ここではシャルロットだっけか」
待ち合わせの時間ピッタリにキバヤンさんは現れた。
今日はきれいな女の人も一緒だ。そうか、この人か、前に社長さんが言ってた外国人の彼女さんって。
それにしてもきれいだなぁ。ボクの銀髪はニセモノだけど、この人の真っ白なストレートヘアは地毛だよね。褐色系の肌にとてもよく似合っていて、あっちのお店だったらあっという間にナンバーワンだ。
「シャロ、とりあえずオレはビター、こいつにはコーヒーだ」
ボクは1パイントのビールと熱いブレンドコーヒーを二人にサーブした。
「で、相談ってのはもしかしてジバゴ先輩のことか?」
さすがキバヤンさんはお見通しだ。ボクは小さく頷くと彼の隣に立って声を潜めて耳打ちした。
「ボクは心配で。だってジバゴさんってバイトなんですよね。ボクを指名してくれるのはとてもうれしいんだけど、でも……」
「シャロ、いや、ミエルよ、おまえいいヤツだよなぁ」
そう言ってキバヤンさんはボクの頭を撫でてくれたんだけど、この髪ってウィッグなんだけどなぁ。
「実は社長も気にしてんだ。あの人、給料のほとんどをミエルに貢いでるんじゃねぇか、って」
「貢いでるなんて、そんなこと。ジバゴさん、指名してくれるけど延長はしないんです。それで申し訳なさそうに帰るんですよ。だからボクもグラスなんてもらわないでいつもお話しだけで終わるようにしてるんです」
「なるほどね。それでも月に何度もじゃ、財布が心配だよな」
「ボク、それが心苦しくって」
「やっぱおまえ、いいヤツだよ」
そしてキバヤンさんはボクの頭をまたもやクシャクシャと撫でまくったんだ。お願いだからほどほどにして。この髪はウィッグなんだから。
「で、ミエルはどうしてぇんだよ。てかさ、ジバゴ先輩っておまえにとって唯一の指名客だろ。そりゃ
「仕方ないです。それにボクはこれでも受験生なんです。だからヘルプくらいがちょうどいいんです」
「なら話は早いな。いくら
「でもボクには他にお客さんなんていないし、どうしたら……」
「だ――か――ら、簡単なことさ。ミエルはミエルなりの武器を使えばいいってことだよ」
キバヤンさんはそう言うと、きれいな彼女さんと顔を見合わせながら悪戯っぽく笑う。そしてボクが着ているメイド服の袖をつまんで引き寄せるとそっと耳打ちして続けた。
まさか、そんな作戦……あっ、でも、それもありかも。それでジバゴさんが自分から身を引いてくれればいいんだ。
ボクの武器かぁ、なるほどね。
でもキバヤンさん、どうしてそのことを?
――*――
今夜はちょっと特別な日、キバヤンさんと打ち合わせた作戦決行の日だ。ボクのメイクはいつも薄目でナチュラルなんだけど、今日はもっともっと薄く、そう、ファンデにちょっと足したくらいのすっぴん風、ボクっ娘がほんとのボクになったみたい。
「あ、今日のミエルちゃんってカワイイ」
「へぇ、なんかいつもよりもいいジャン」
お店の女の子たちも口々にそう言ってくれる。ほんとに居心地がいい店なんだ。
あっ、キバヤンさんが来た。ジバゴさんもいっしょだ。
キバヤンさんはボクに目くばせして奥のボックス席をリクエストする。ボクは一旦バックに引っ込んでからセットのトレイを手にして指定の席に向かう。もちろんコスチュームも着替えてね。
「おはようございます! 今日はお二人なんですね」
「よお、ミエル……って、あれ、おまえ今日はちょっと違ってねぇか?」
「えへへ、キバヤンさん、わかります?」
「ああ、なんか違う。メイクかなぁ、ねえ、ジバゴ先輩、どうっすか」
「ブ、ブルマ……」
そう、今日のボクは同じ体操着でもいつものショートパンツではなくてブルマなんだ。初めて着てみたんだけど、それにしてもこれって勇気がいるね。
「つぁ――ミエル、おまえ、ついに越えちゃいけねぇ一線を越えちまったかぁ!」
キバヤンさんはやたらと大げさに振る舞う。でもこれも作戦のうちなんだ。そしてボクは注意深くジバゴさんを観察してた。
なんだかジバゴさん、思いつめたような顔になってる。大丈夫かなぁ。
いつものようにボクはジバゴさんの隣、だけどやっぱ今日の様子が気になる。なんか黙り込んじゃってるし。
「さ、ジバゴさん、乾杯しよ」
ボクはジバゴさんに焼酎の水割りを手渡す。
するとジバゴさん、グラスじゃなくてボクの手を掴んで引き寄せようするんだ。
「ミ、ミエルくん」
「ジバゴさん、どうしたの。さ、グラス持って、乾杯!」
「そんなことはいいんだ、どうでもいいんだ。ミエルくん、僕は、いや、僕と、今日、僕と、その、アフターして欲しい」
いつもは小さな声のジバゴさんなんだけど今日は違う。そうか、思いつめてたのはこういうことだったのか。
「で、でもジバゴさん、それより、さ、かんぱ……」
「はぐらかさないでくれ、僕は本気なんだ。お金だって……」
「ジバゴ先輩! ミエルが困ってるじゃねぇっすか。とにかくミエルの気持ちを考えてやってくれよ」
想定外の出来事だけど、さすがキバヤンさん、ナイスフォローです。でもジバゴさんも今日はなかなか引かない。
「ミエルくん、僕は、僕は」
「ジバゴ先輩、店で大声はルール違反っすよ」
「ジバゴさん、落ち着いて、ね、ほら手をおろして」
するとジバゴさん、ボクの肩を掴んでますます声を荒げた。ボクはジバゴさんも心配だったけど、グラスが倒れやしないかって気が気じゃなかったよ。
「ミエルくんだってそのつもりだったんじゃないのか。だからブルマなんだろ」
違う、違うよ。これはそんな意味じゃなくて……ああ、ジバゴさんの手に力が入ってる、ちょっと痛いかも。
ボクはとにかくその手を振りほどこうとしたんだ。傍で見ていたキバヤンさんも彼を止めようと立ち上がる。
そのときだった、力が入り過ぎたジバゴさんの手が滑ってボクの肩から滑り落ちたんだ。そしてその手はすぐ下にある胸のふくらみの上に。
でもそこにあったのはまるで肩透かしのような感触だった。
ボクは思わず声を上げてしまったんだ。
「やめろよ、いい加減にしろ!」
しまった、今のって完全に男の子の声だったよね、男の娘じゃなくて。
思わずその場で固まるジバゴさんとキバヤンさん。周囲のボックス席の何人かもこっちを気にしてる。
まずい、このままだと黒服さんが来ちゃう。そうなればジバゴさん出入り禁止だ。なんとかしないと。
ボクはその場を取り繕うように引きつった笑顔、それはきっとほんとに引きつってたかもだけど、そんな顔をしながらボクの凹んだ胸にあるジバゴさんの手をやさしく握ってエスコートしたんだ。
どこに、って?
それはブルマのおかげで露わになったボクの太腿に。そしてそれをそのまま滑らせながらブルマの生地をなぞるようにして足の付け根に。
ジバゴさんの緊張する顔が見えた。大音量のBGMだったけど生唾を飲み込む音が聞こえた気がした。
そこでボクは真摯な顔でジバゴさんを見つめると、意を決してその手を核心の部分に重ねた。
ジバゴさんの指がピンと張りつめて固まる。呆気にとられたその顔で、わけがわからなくなった目も泳ぎまくってる。
ボクはその手を放すと自分の唇に人差し指を立ててナイショの仕草をした。そしてその指をジバゴさんの口に当てながらもう一度優しく微笑んてあげた。
するとジバゴさん、いつものように蚊の鳴くような声でぼそりとつぶやいた。
「理系女子、じゃ、なかったのか……」
結局その日は終始うなだれたままだったジバゴさん、お会計のときも慰めるようにしてキバヤンさんが肩を貸していた。こんなことがあったんだもん、今日のお勘定はキバヤンさんが持ってくれた。
そして帰り際、キバヤンさんはこちらを振り返ると悪戯っぽく笑いながらボクに向かってサムズアップの仕草をした。
ほんとにお世話になりました、今度はボクもお返しをしないとだね。そのときはキバヤンさんだけじゃなくてあのきれいな彼女さんにも。
――*――
街路樹で鳴くセミの声に混じって秋の虫の音も聞こえ始めた今日この頃、ミエルは月イチ、シャルロットは週イチのペースにしてもらって来るべき受験に向けて勉強を頑張ってる。
ジバゴさんとはあんなことがあったけど、それでもボクの出勤に合わせて指名しに来てくれてるんだ。
やっぱり体操着のボクが好きなんだって。でもそれってボクにとっては微妙な気分なんだけどね。体操着なら男の
そして今ではお店でコンピューターやAIの話なんかもできるようになって、お客さんと言うよりもお友だちみたいになってきてる。遅かれ早かれ外でも逢うようになるかも知れないけど、そのときのボクはどんな服を着るのがいいんだろう。またキバヤンさんに相談しなくちゃだね。
さて、勉強も一段落したことだしシャワーを浴びようかな。
そうそう、ここだけの話、お店で着ている体操着なんだけど、あのときのブルマ姿がお店の女の子たちに大ウケで、もっと着て着てってプレゼントされちゃったんだ。まったくどこで買って来たんだか。
ところがさすが体操着、実際に着てみると吸湿性も保温性も高いしで、要するに汗をかいても冷えすぎることもなくて、そう、パジャマにうってつけだってことが解ったんだ。地肌に感じる柔らかな感触も悪くないし、ブルマだってなにげにハイウエストだからお腹も冷えないし。おかげでこの夏の夜は快適、快眠で大活躍、ついにネットでもうワンセット買っちゃった。
そんなわけでボクも今ではすっかり体操着がお気に入りになってるんだ。
でもこんなこと、ママさんにもみんなにもナイショだよ。
第四話 ボクと学販衣料
―― 幕 ――
次回は
「第五話 ヒーローごっこ」
でお会いしましょう。
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