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戦いの放棄を止めることはできなかった。無理に戦わせたところで、士気なんてあったもんじゃない。【ナレッジ】はあくまでも志願制を貫いた。ただ、問題なのは、能力が消えないことだ。装着している【ナレッジ】と【パンドラ】を外しても、情報と武器を失うだけで、得た能力は消えないし、敵の可視も改善されない。事実、戦いが終わるまでこの問題は続いた。能力を失って、敵の可視が不可視になるまで戦わない選択をした人間たち。彼らはある意味で勇者だ。「戦いを放棄して平凡に暮らす」という判断は英断だったといえる。テスター達が次々と戦いを放棄し始めた、まさにその最中に、研究所への襲撃は起こった。そうしてようやく【ナレッジ】も本格的に起動。戦闘に参加する人間は驚異的に増えた。当然ながら彼らは、戦いにおいて「死ぬ」ことを知らなかったし、死んだ人間のことも、【ナレッジ】は明かさなかった。僕自身、それもまた英断だったと思っている。

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