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敵がそうして簡単に消滅してしまったことに、最初は何の違和感も抱かなかった。【ナレッジ】ですら違和を感じなかったというのだから仕方あるまい。「知識」を名乗るだけの情報量を兼ね備えているとはいえ、敵に関しての情報は鬼のように少なかった。むしろ僕が調査員の一人となって、敵の情報を、戦いながら集めているのが現状だった。そんな中、ようやく二人目三人目と、仲間が増え、集団が生まれ、派閥が生じた。【ナレッジ】自身はあまりそのことをよしとはしなかったものの、敵は確実に倒していたので、何も文句は言わなかった。ソロプレーよりもチームプレー。効率重視という観点、さらに第一目的が「敵を倒す事」である以上、僕自身も何も言えなかった。そして能力者以外には見えない敵だが、被害自体は誰の眼にも映った。例えば山奥の研究所が半壊したというニュース。あれは爆発事故として報道されたが、それが彼らの襲撃だというのは言うまでもない。

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