第35話「復しゅうのバグポセイドン」

35-1 ゲノムから来たビル艦隊

『……アタリストがビル艦隊の護衛を成し遂げる確率は77.5%ですが』

『それも、ロディはんがヘマせぇへんかった時の話や! しっかりたのみまっせ!!』

『……ロクマストが粗相を起こす確率は計算しますと……』

『き、貴殿らは余がやらかすか計算して楽しいか!?』


 ――水中戦に重点を置くロクマストだが、彼はいま宇宙の海という未曽有の領域に足を踏み入れていた。彼らの後方には、シーグリーンで塗りつぶされた五隻の艦が降下しつつあり、護衛として回っていたアタリストからは口を酸っぱくミスが命とりだと釘を刺される。特にフレイアの口ぶりにロディが少しいらだっていたものの、


『気ぃ悪くしたらすんまへん! ほんまやったらワイも一緒に出なあかんのやけど』

『あー、シンヤさんのせいじゃないですよ。コイツの面倒見るのは慣れてますから』

『そういってくれるとワイも気が楽ですわ。アイラも後輩の難儀を見るの初めてやさかい』

『後輩……確かに間違ってはないのだがな』


 アイラ達に代わるように、シンヤからなだめるよう通信が入った。アグリカが彼が気に病むことはないと温かくフォローしていたのも、車椅子での移動を余儀なくされているが故、娘の前線へと同伴することが困難でもあった為。一命をとりとめただけでも奇跡に近い状況でもあったが、


『……シンヤさんが無事で何よりですが、アタリストの制御に回れない場合になりますと』

『んな、野暮な事計算せぇへんくてもえぇで!』


 シンヤが前線へ同伴できない足枷は、アタリストにとってオールレンジ兵器の使用に制約を生じさせていたともいえる。フレイアが彼の抜けた穴が、戦力的にどれほどの影響を及ぼすか計算しようとした所、アイラがすかさず待ったをかける。


『オトンがいなくても大丈夫なよう、手を加えたんや! そうやろ!!』

『……ウィンドルダーの持続時間は短いです。見極めて使う必要があります』


 アイラが触れる通り、手を加えたアタリストはウィンドルダーを保持していた。四方のアームにフィンファイヤーを連結させながら、風車のように基部を回転させるに伴って、円状のバリアーを疑似的に展開させており、バグアームズの攻撃を受け止める楯、守りの要にもなりうる力でもあった。


『せやから、ロディはんがしっかりしてくれへんと不安やけどな……』


 ただフレイアの言う通り、展開時間が短い懸念点がある。このウィンドルダーを駆使する事態を極力防ぐためにも、ロクマストがバグアームズをどれだけ迎撃に回れるかが問われていた。ロクマストは両手首を折り曲げて、リーンフォース・レールガンを展開させてバグアームズとの砲撃戦を繰り広げていたものの、


『まともに当たらないではないか……こんなはずでは』

『そりゃ、シミュレーターと実戦は違うからよ。それに中に人がいないんだしよ』

『こうもアンドリューさんは言っていたではないか、機械ごときに人間は負けぬと』

『直ぐそうなってくれたら、機械がお役御免だろなぁ……』


 バグアームズの群れを相手に、レールガンが思うように直撃しない。これも彼らが武装軍団の兵器として無人機でもあり、宇宙での実戦が初めてのロディより操縦精度が上回っていた為でもある。アンドリューが触れたとおり、機械に人間のマネはできないと彼が豪語するものの――言い訳にしか聞こえないとアグリカは少し冷めたような笑いを浮かべており、


『まぁ、撃ち合いがキツいとかなら封じたらどうだよ?』

『そ、それも今やろうとしていた! リーンフォース・フンドーでな!!』


 アグリカの案をしぶしぶ受け入れ、ロクマストの両肩から10本ものワイヤーが一斉に射出されていく。フンドーの先端に設けられた鏃が、バグアームズの装甲へとめり込んだ瞬間、その馬力で2機を引きずり込んでいく。体をひねりながら尾に設けられたリーンフォース・クラッシュを勢いよく1機へと叩きつける。


『動きを封じれば、流石に当たりは……』


 強烈な質量による攻撃を見舞われるとともに、バグアームズの制御へ遅れが生じ、レールガンの直撃とともに砕けて散った。自分のペースへと戦いの流れが変わろうとしているのだと、ロディが少し気を良くして、もう1機へレールガンを展開するが、


『うわぁ!』

『あんな所から!? まさかと思いますが……』


 ところが、もう1機へとレールガンがさく裂しようとした途端、別のバグアームズがアリエス・ソーをフンドーへと投げつけていった。回転しながら光輪がフンドーを引きちぎっていくとともに、捉えたバグアームズはレールガンの軌道を微かに逸れ――クリーム色の機体へ命中する結果となった。ちょうど別方面でバグロイドを相手に回していたようだが、


『あかんやろ! テディはんとアンディはん巻き込んだら!!』

『よ、余は好きで狙った訳では……』

『んな事当たり前だろ! 二人とも無事かー!?』

『い、いえ直撃ではないようですから!』

『僕たちは何とか大丈夫……ですけど』


 少し慌てたように、アタリストのオリオン・ライフルがバグアームズへ直撃させ、少し強引ながらリーンフォース・クラッシュで仕留め損ねた相手目掛けてたたきつける。好きで味方を巻き込んだわけではないと、自分の過失を正当化させようとするロディをよそに、アグリカがウーラストへと安否を確かめようと通信を送る。インド代表の双子が揃って大事ではないとアピールしていたものの、


『な、何で攻撃してきたのぉぉぉ! 助けてぇ殺されるぅぅ!!』

『マイさん、落ち着いて、まずは落ち着いて!』

『流れ弾に当たっただけですから! 実戦ではよくある事ですから‼』

『ふぇぇぇぇぇ! お、お母さん助けてぇぇぇぇ‼』

『……』


 レールガンが被弾した事を、マイは味方に狙われているのだと誤解して錯乱状態へ陥っていた。必死に二人が彼女をなだめている様子に、流石のアグリカも少し唖然として口を開けており、


『す、すまん……余がもう少し狙いをつけれていたら』

『いえ、多分僕たちでもあり得ますから‼』

『そう気をやまないでください! 僕たちも今手一杯ですから‼』

『た、確かに貴殿らも必死ではあるな……』


 ロディもまた、阿鼻叫喚するマイの様子から流石に自分の非を詫びた。ウーラストもまた初の宇宙での実戦に挑んでいるものの、自分たち以上にハードルが高い様子であり、


『兄さん、何とか制御は回復したよ!』

『うぅぅ、こんなところで死にたくない、死にたくない!』

『このまま、クラッシュアームを振り回す、それから……マイさん、少し黙ってくれませんか!?』

「テディ君、宇宙に出たばかりなんだから、すぐ慣れろってのも……』

「バーロー! おめぇがビビったら、おめぇらが死ぬぞ!!」

『ふぇっ!?』


 アンディとテディの技量はロディと大差がないといえたものの、ハドロイドのマイが二人の足を引っ張っている様子でもある。宇宙での初の実戦だろうとも逃げ腰で喚き続ける彼女だが――彼女目掛けて荒々しい怒号が飛び、


『すみません、アンドリューさん!』

『僕たち二人で何とかしますので!!』

「おめぇらは3人だ! 2人で動かせると思うんじゃねぇ!!」


 テディとアンディの双子は、プレイヤーとして互角の腕を誇るだけでなく、強い絆による息の合う連携がアドバンテージでもあった。それぞれ操縦と制御に専念する事で、ウーラストは動けていた筈だが――古豪の猛者であるアンドリューからすれば、力不足に映ったようである。


『マイさん、ウーラストの制御に回れますか!?』

『ふ、ふえっ!? シミュレーターではやってたけど、その……』

『ごめんなさい! シーカーの方も動かす必要がありますから‼!』

『ふぇぇぇ……助かりますように、助かりますように』

「バーロー! 勝たなきゃだろ、そこはよぉ!!」


 かくしてマイがアンディに代わって制御へと回る事になるが、彼女として実戦を彼へ任せていただけに経験不足に直面したような、コメントしがたい表情を浮かべていた。最もそこで逃げたらアンドリューにどう怒鳴られるかわからないと、無事を祈って引き受けるものの――その姿勢に猶更彼が怒号を飛ばしたのは言うまでもない。


「慣れてねぇなら、今から慣れろ! 俺が嫌でもそうさせてやらぁ!!」

『い、嫌ですから! そうされたら困りますよ!!』

『いや、マイさん何を言ってるんですか!?』

『僕たちも慣れていないのは同じですから! 落ち着きましょう!!』


 アンドリューのスパルタじみた檄に対し、マイが素で拒むリアクションを取っていたものの、現実ウーラストは目の前のバグアームズへと畳みかけていく。

クラッシュアームとバイスアームといった重量級のコブラームを両手にしながら、砲撃戦を繰り広げるバグアームズの懐へと入り込もうと試みる。飛び交う弾丸をアイブレッサーで迎撃して力ずくで道を開こうとしていただけでなく――相手の動きが徐々に鈍りつつあり、


『これがブレイザー・ウェーブ……』

『玲也さんが、ネクストが使ってた力を借りることになりますが』

「今はそれで構わねぇ! コブラームを一つ一つ使いこなすためにもよ!!」


 ウーラストにはオロチ・シーカーではなく、カイト・シーカーが代わりに装着されていた。その為ブレイザー・ウェーブでバグアームズの動きを封じ、アサルト・キャノンを併用しながら懐へと潜り込む。パワーをウリとした白兵戦に重点を置いた攻めへウーラストが徹していたのも、アンドリューの指導によるもので、


『確かに7つの腕が僕たちの武器ですけど……』

『ちゃんと使えないと、宝の持ち腐れですからね!!』

『そ、それなら、私の制御の方も……』

「おめぇはバカか!? 勝手にハードル低くすんじゃねぇ!!」


 あえて本体へ装着した左右の2つへコブラームを絞る――ウーラストが備える汎用性をフルに発揮するために必要な術であると、アンドリューの教えを素直に双子は受け止めていた。一方のマイは便乗するように基礎が大事である建前で、他人へ押し付けようとしていた姿勢へ更にアンドリューがキレたことも言うまでもなく、


『ふぇぇ……羽鳥さんも、リンちゃんもってこんな危な……アンドリューさんの元で』

「確かにマイちゃんは知らなくても無理ないかもですが」

「アンドリューさんに扱かれたおかげで、今の俺がいる……まだ優しいほうだぞ」

『ふぇっ!? これで優しいってそんな』

「バーロー! 優しいも何も叩き込まねぇとおめぇら死ぬぞ!!」


 アンドリューの度重なる怒号へ、マイが思わず弱音を吐いてしまっていたものの――リンは少し苦し紛れに、困惑したような笑みを浮かべ、玲也は少し感慨深く彼に扱かれた過去を語る。そして檄を飛ばす本人が言う通り、死んでしまえば元も子もないであり、


「ったく、慣れてねぇ、慣れてねぇっていうけどな……俺も必死なんだよ」

「シーカーもそれでウーラストに渡して」

「そういうこった。オロチ・シーカーとかは頼むぞ、玲也」

「はい……って、アンドリューさん本当初めてですよね?」


 アンドリューがコントローラーを手にしながら、自分も慣れていないと愚痴をこぼす――玲也からはその愚痴も実際本当なのかと少し驚いていた訳だが、そもそもジックレードルを振るうネクストはアンドリューによって今操縦されていた。

 シーカーまで制御する事は流石に慣れていないと、彼は現時点での限界を触れながらも実際の操縦はとてもそのハンデを想起させないものであった。。アサルト・ブレスターで牽制しながら、バグアームズへジックレードルを振り下ろす。咄嗟の白兵戦へ持ち込まれてバグアームズもまたソードガンによる刃で迎え撃つものの、


「生憎ビームは弾くからなぁ……!」


 ジックレードルそのものには、ビームをはじくようにコーティングがなされている。その為ソードガンの刃を押しきって装甲へと刃をめり込ませる。さらに空いた左手で電次元サンダーを叩きつけることで、豪快にバグアームズを弾き飛ばして粉砕してみせた。


「アンドリューさん、まるで自分のハードウェーザーのように」

『もう! 玲也様も褒めないでくださること!?』

「エクスちゃん……出たい気持ちはわかりますけど」

『当然でしてよ! お父様がせっかく出られてますのに……』


 アンドリューがネクストを軽々と駆使する様子へ、玲也が感嘆としていたもののエクスは面白くないように不満を零していた。それもビル艦隊が地球へと降下する場で護衛に回れない。娘がこうして戦っている様子を父に見せつけることができない為であり、


『わりぃな、おめぇのマルチブル・コントロールの為もあっからよ』

「それで動かせるのネクストだけだ、実際に試すためにもアンドリューさんなら」

『それはそうだけど、イーテストがあるんじゃ』

「そりゃなぁ、まぁ……おめぇらの方がスペックが上だからよ」


 マルチブル・コントロールによるハードウェーザー運用を想定し、アンドリューがサブプレイヤーとして玲也の代わりを務めていた――彼が言うように今後の戦局を想定して必要な事ではあったが、ニアからの質問に対しては、妙に歯切れが悪く、


「スペック……アンドリューさんなら気にもかけない筈だが」

「玲也! 手を休めんじゃねぇ!!」


 玲也がアンドリューらしからぬ物言いに首を傾げた所、ネクストがアサルト・ウィッパーでアリエス・ソーを弾き飛ばし、逆にバグアームズの胸元へと突かせていた。この隙を突くようにと催促されたとき、咄嗟にオロチ・シーカーのキャノンアームが火を噴いていた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「……とまぁ、アイラは決まってたとしても。おめぇらから選べとなったらな。そうだな……」


 オール・フォートレスへと帰還して早々、アラート・ルームでアンドリューが品定めをするようにロディと、アンディ、テディの双子の二方をじろじろと眺めていた。ただマイが自分の鋭い視線から目をそらそうとして、偶然目が合った時が決定打であり、


「アタリストとウーラストだな。オールに置いとくのはな」

「え、えーと。アタリストがアイラちゃんので、ウーラストは……」

「何を当たり前のことを言っているのですか?」

「アイラさんと僕たちが異動って話ですね」

「……」


 ゼルガの留守を守るだけでなく、太陽系近辺のバグロイヤーを駆逐するため、オールへとハードウェーザーを異動させる――アンドリューには必要性があると認識していた。その為ポルトガル、インド代表が抜擢された事が決まり、


「う、うんそれはわかってるよ。私たちとアイラちゃん達の二人で」

「違うだろー? アンドリューがリーダーなんだし」

「俺を入れて3チームだな。これ以上人を割けねぇからよ」

「そ、そんなこと……羽鳥さん、リンちゃんも一緒の方が」


 マイとしてアンドリューの元で扱かれることを危惧していたのだろう。二人の間の緩衝剤、防波堤として玲也たちに頼るような視線を向けていたものの、


「私たちにいてほしい気持ちはわかりますけど……」

「俺はドラグーンを纏めないといけない。ラルさんに留守を任せているが」

「玲也も忙しいんだから! あんただけが辛いんじゃないのよ!?」

「ふぇぇ……ニアちゃんも怒らないでよ……」


 玲也がそもそもドラグーンから基本動けない立場である、誰かに頼ろうとする彼女の姿勢へ少し辟易したように、ニアが叱ればマイはますます委縮しており、


「しかし、余が選ばれないのはだな……」

「そこで張り合わなくてもいいだろー、ロクマストは海の中が向いてるしー」

「まぁ、そういうこった、ウーラストは何でもこなせるがウリだからよ」


 ロディとして少し不満もあったのか、アンドリューに抜擢されなかった理由を尋ねる。アグリカが宥めに回ったのに乗じて、ハードウェーザーの性能からしてウーラストが適任だと説く。アタリストが確定していたのも、宇宙での戦闘において適任である事にも絡めていた他、


「俺のイーテストもこないだまでそうだったからよ……ウーラストを使い物にする為にもよ」

「確かに貴方のイーテストに近いが……その」

「まぁ、俺がちゃんと使い物にしますから……まぁ、嫌でもなぁ」

「ま、まさかだけど、さっきの事根に持ってて……」


 メガージとして、おそらくマイに務まるかどうかの懸念があったものの、彼を納得させるよう自分が扱いてみせると断言した。当の本人からすれば眼差しでリンへ助けを求めようとするも、友人だろうとも彼女に頼られても答えようがなく、ニアはプレイヤーの二人を見るようにと視線を向けるよう促し、


「お願いします、僕たちがまだ新米ですから」

「少しでも早く、一人前になりたいと思います! アンドリューさん!!」

「ふ、ふたりとも……目がキラキラしてるのね」


 肝心のアンディとテディが揃って、アンドリューの元で鍛えられる事を望んでいる姿勢ではある。この至極に対して自分真逆の姿勢でとらえているようなものであり、


「おー、双子はすごいやる気だぞー、アンドリュー?」

「玲也もそうだったけどよ、おめぇらがその気なら教え甲斐もあらぁ」

「ありがとうございます! 精一杯頑張りますから」

「マイさんも一緒に頑張りましょう!!」

「……ふぇぇぇ」


 既に双子の士気が高い様子をアンドリュー達は快く思っていたものの、マイからすれば少なからず不安が付きまとう事ではある。彼女が再度リンたちへ助けを求めようと目で合図しようとすれば、既に彼らは自分の方を向いておらず、


「正直、大丈夫かなって前々から思うんだけどね、あたしは……」

「テディとアンディがいるからまだ……アンドリューさんの元なら伸びる」

「それはそうと、早く私たちも戻りましてよ!」


 インド代表の今後に対し、ニアと玲也が述べていたもののエクスとして、早くドラグーンへ戻るようにと催促する。既にビル艦隊が大気圏突入を成し遂げた後でもあり、


「確かにエクスのお父さんへ顔を合わせないとな」

「玲也さんはリーダーですから、その点でも挨拶はしたほうが良いですね」

「そういう事だ……ただ相手が相手だから少し緊張もするが」

「もう玲也様ったら! お父様に緊張されますなんてその……」

「……エクスちゃん、もしかして別の事を考えてるような」


 ビル・ファルコ――エクスの実父にして救援艦隊を率いる人物に対し、電装マシン戦隊は共同戦線を取る事もあり、エスニックとの面会が予定されていた。おそらくドラグーン・フォートレスで行われることから、ハードウェーザーを束ねるリーダーとして自分たちが同席する必要もあると、玲也は既にみなしていた。

 ただ、パートナーの親へと初めて顔を合わせる事へ玲也は多少緊張しているようで、少しウブな面も見せていると、エクスはどこか嬉し気でもあった。リンが少し突っ込みつつも、実の父との再会で胸が高まる思いで満たされることは当然だとも捉えていたが、


「ったく、親に会えるからってあんなに張り切っちゃってさ……」

「ニアちゃん……でもずっとここにいる訳にもいかないし」

「わかってるわよ! 玲也がいないと戦えないんだし!」


 エクスとビルの再会に対して、やはりニアは快く思っていなかった。ただ自分たちが揃わなければ意味がないとリンから指摘され、渋々彼らに同伴しており、


「エクスの父さんか……こう緊張するのは、やはり……」


“地球を覆うエネルギー・フィールドが解除された今、七大将軍を打倒せんと電次元からの援軍、それもエクスの父が率いる救援艦隊の到着は、電装マシン戦隊総攻撃への機運を高めつつあったが……この物語は若き獅子・羽鳥玲也が父へ追いつき追い越すとの誓いを果たさんと、抗いつつも一途に突き進む闘いの記録である”

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