28-2 天空軍団の切り札動く! 最後に笑うは将軍トループ?

「これがハドロイド……まさか本当に」

「たとえ手段がどうあろうとも、結果は評価しなければならないな」


 円卓の場にてレーブンは納得しがたい様子で歯を食いしばり、悔しさが見え隠れしている。ハインツが彼女に好まぬ同僚だろうと認めるべき功績だと杭を刺す。


「レスリストのハドロイド・クレスローを貴様が討ち取ったとは……」

「あらあらー、ガレリオ様も討ち取ったはずなのにどうしてそんなに驚くのかしら―」

「――イーテストの残骸からは跡形もない状態で見つけることができませんでしたから」

「あー、そういえばそうねー。セインちゃん、地球の空気にさらされて少しおバカさんになっちゃったかしら?」


 七大将軍を震撼させる功績とは、セインがクレスローの亡骸を持ち込んできた為。ハドロイドを討ち取ってみせるとの豪語が現実となった時、ガレリオもなぜか彼女を少し畏怖する姿勢を見せる。セインはその理由を勘ぐろうとするとシーラから事情を説明されれば、一応建前は理解したようなそぶりを見せる。


「ハードウェーザーを倒す事って簡単なのに、なんでこうも手こずったのかしら?」

「僕たちも卑怯な手を使ったからね。でもそういう手も僕たちじゃないと思いつかないかな?」

「セイン、貴様は一体どのように部下を……」

「パラオード様とディータ様の手柄がレーブンにはわからないのかな!」


 セインに同伴するパラオードとディータは他の将軍たちが不甲斐ないと詰る。この二人が実際にレスリストを討ち取ったからと別に、まだ幼い子供故か自分たちが傲慢で不遜な言動をする事への疑問を持たない。レーブンが真っ先に苦言を呈するも、トループが超常軍団に媚び諂いながら否定して檻、


「バグロイヤーはセイン様ら超常軍団がいれば成り立つんだよ! 勿論ガレリオ様やシーラ様もそりゃ必要ですけど!!」

「トループ? セインちゃんはそんなこと全然考えててないんだけど」

「へっ……?」

「……馬鹿め」


 早速トループがセインの太鼓持ちになろうとした矢先、彼女自身七大将軍の筆頭になろうとする考えはないに等しいと明かす。あっけにとられるトループへ、グナートがひそかに呆れると共に、


「まさか戯言と思っていたが……俺の元から降りるとか馬鹿にしているのか!!」

「違うわよー、セインちゃん馬鹿にしてるとか、どうかじゃなくてー、この星にかわいいお人形さんがいないってわかったからなの?ねぇー♪」

「……そのかわいいお人形とやらが、それほど大事か!?」

「――ガレリオ、熱くならないで」


 ガレリオが自分に服従をよしとしない姿勢なのかと、セインへと怒鳴り散らす。当の本人はいつもながらの少し間の抜けたような様子で自分のポリシーを語る。

 最もそのポリシーが七大将軍としてかくあるべきかで疑問符がつくものだが、彼女になめられていると当たり散らすガレリオへシーラが少し眉を顰める。


『皆さん、ここはセインさんを尊重しましょう。今後のバグロイヤーに、セイン君の力が必要ですからね』

「……天羽院様!」

「何故貴方が……いや」

『私も皇帝陛下と少し縁がありますからね……その皇帝陛下からの託を伝えただけですよ』


 このタイミングに、場を仲裁するよう天羽院からの通信が下る。尊大なガレリオが少し驚愕しつつものの、彼に思わず敬意を表する。この二人の関係へグナートが少し疑問を呈しようとした所、彼は飄々と自分がメッセンジャーに過ぎないと惚けていた。


「セインちゃん、まだ他の場所には行ってないからね―、天羽院ちゃんよろしくね♪」

「……皇帝陛下の意向でも流石に」

『セインさんが実績を上げていることもありますよ。ガレリオ様もそれをわかっていますでしょう?』

「……はっ」


 功績を挙げた者へはそれ相応に報いなければならない――天羽院がセインの希望を尊重する理由として挙げる。その傍ら、成果をまだ上げていない他の将軍たちへは蔑むような視線も同時に送った。ガレリオへもどこか威圧するように天羽院の眼は鋭く光り、彼に圧倒されたまま承諾せざるを得なかった。


「皇帝陛下の意向なら、私も何も言わないが……」

「……セインが引き上げる事は私も認めます。貴方一人だけでしたら」

「あらー、どういうことかしらー?」


 セインの引き上げに対し、ハインツは表面上従いつつも疑念が見えかくれしていた。彼の心境を察すると共に、シーラは彼女一人だけの撤退で済む問題なら構わないと触れる。彼女の問いかけはガレリオの意思と関りがない事であり、セインも少し彼女に眼の色を変えて尋ねた時、


「……パラオードとディータの力が必要です。この二人が本当にレスリストを倒したのでしたら」

「ちょっと! 私たちの手柄にケチつける気なの!?」

「……侮辱されるような事でしたら謝ります。ですが超常軍団の貴方たちは必要不可欠な力です」

「……そこまで僕たちを褒めてくれるんだ。もう1機、2機落とせばどうなるんだろうね?」


 シーラはパラオードとディータに対して、二人の力が必要不可欠だと頭を下げる。大将軍の懐刀になりうる彼女から頼られる様子に、パラオードは少しほくそ笑みだすと、セインは逆に一瞬笑うことを止める。


「ねぇママ! もっとハードウェーザーを殺したらママもやっぱりうれしい?」

「――そうねー、どうしてもっていうならもうちょっとだけ見守ろうかしら?」


 ディータもパラオードに同調するよう、暴れ足りないのだとセインに頼みかける。すると彼女は血気盛んな二人をしょうがないと苦笑しつつ承諾した。これで一先ず丸く収まった様子だが、


「お、おいシーラ! お前は何のつもりで頭を……」

「……これもガレリオ様のためです。その為に私がいくらでも頭を下げます」


 七大将軍とは言えども格下の相手――シーラは頭を下げて説得した行為がガレリオからすれば自分ごとのようであった。プライドを傷つけられた彼が追及するものの、シーラは彼の心配は今、余計にすぎないと口にした。


「しょうがないからもう少しいてあげるわ~。でもセインちゃん、将軍とかに興味がないからあとお願い~」

「……はい?」


 シーラの誘いによるものか、セインはまだ引き上げる事に踏みとどまった。ただあくまで部下二人の意志によるものも大きいと、彼女自身将軍の職に興味はない。そのためとある小柄な人物に肩を叩く。天空将軍トループその人である。


「トループなんかに後が務まるのか!?」

「後も何も、みんなセインちゃんのこと鬱陶しいとか訳が分からないと危ないセインちゃんだって思ってるでしょ~?」


 このトループに後を託すセインの選択へ、レーブンがやはり納得がいかないと非難の声をあげる。これにセインは、早い話、他の将軍で自分が信頼における人物がトループしかいないとの事。彼がもはや腰巾着のようにセインを持ち上げてばかりいることもあるが、他の3人が少なからず自分に良い印象を持っていないことは当の本人も既に把握していた。実際図星だったからかレーブンがその場で黙るとともに、


「トループは、セインちゃんの事褒めてたから~頼りにしてるの~♪」

「そ、それはもう勿論ですよ! そりゃ僕が他の将軍と違う天空将軍ですから!!」

「何かもう勝った気分でいるけど」

「まぁ、好きにやらせたらいいんじゃない? 失敗したら僕たちが動けばいいんだしさ」


 セインがトループに期待していると声をかければ、彼が少しカチコチになりながら、高らかに自分が格の違いを見せつけてやると高らかに宣言する。ただパラオードとディータと、格下かつ年下二人が既に期待などしていないのもまた事実。部下として預かる筈となる二人のリアクションへ少し表情がゆがんだ様子から、当の本人は明らかに余裕など持っていない。


「……ハードウェーザーが手ごわい事に変わりはない。私でもそう簡単に倒せる保証はないからな」

「それって、私たちより弱いからなんじゃない?」

「貴様! ハインツに何てことを!!」

「いや、もしかしたらその場合もありうるかもしれないな……」


 実際にハードウェーザーとの戦いは厳しいものであるとハインツは語る。彼自身今までの戦いで決定打をあたるまでには至っていない現状を触れるものの、ディータは彼が単に弱いだけだと小馬鹿にしたような態度をとる。これにレーブンが自分のように感情を爆発させていたものの、当の本人はいたって冷静なままであり、


「……なら僕も君たちと違うことを見せつけてあげるよ。楽しみにしてたらいいよ!」


 ディータ同様トループの答えも同じ、自分ならそのようなヘマをしないのだと言い放つ。そんな彼の足取りは妙に早く、自分が仕切るように軍議は解散だと言い放ち個室へと少し速足で駆ければ、


「おめでとうございますトループ様ぁーっ! 超常軍団まで従えるとは流石私達の天空将軍で……!!」

「何をのんきなこと言ってるんだよ! あんなこと言ったら僕はどうすればいいんだよ!!」

「どうすれば……って、えーっ!? それはむしろ困る事じゃないですか!!」


 天空軍団のNo.2シラーケはトループの思わぬ出世に歓声を上げたが――即座に彼へ殴り飛ばされた。トループは明らかに動揺を隠せないままだった。セインからお零れをもらうように実質七大将軍の最高権力を手にしたが、その自分の身に不相応な力を手に入れてしまったことへの恐ろしさは一応把握してはいた。

 ただトループは天空将軍である。他の将軍より優位でありたいと功名心や自己顕示欲が強い結果、彼の自制心は虚栄心を前にあっけなく砕かれた。部下の前でその不安をぶちまけるものの、そもそも、大役を引き受けてハードウェーザーを倒すとまで大口を叩いた彼自身に問題がある。


「ったく、天空将軍のあんたがこうもビビッてどうするんだよ」

「マ、マクロード―っ! 貴様はトループ様に雇われているのを忘れたかーっ!?」


 シラーケとトループがコントのようなやり取りを繰り広げているのと別に、一人腕を組んで壁にもたれていた彼“マクロード”が口を開く。天を突き破ろうとする頭髪に、ジャージのようなラフな衣裳を着こなした彼は不敵な笑みを見せており、


「確かゼルガと戦ったことがあるってなら、何かいい知恵もあるのだろうね? 僕にそんな口をきくんだしね!」

「ったく素直じゃねぇけどよ……疑ってるなら本当に見せればいいんだろ?」

「な、ななななーっ!! トループ様、とんだハッタリですよ、この雇われ野郎は!!」


 トループもマクロードへ上から目線で接していたものの、天空軍団の中で優れた腕と実績を持つ彼に頼らざるを得ないのが現状だった。遠回しに力を貸せとの頼みに少し呆れつつも、彼は戦う事に関しては乗り気である。シラーケが地団駄を踏みながら、この不届き者に心を許してはならないと振れるものの受け流しており、


「まぁそんなに言うなら期待してるよ。君がハードウェーザーを討ち取れば僕は従うよ」

「その約束、本当かどうかだけど……まぁ、部下として務めは果たしますよっと」


 内心プライドを傷つけられていると、マクロードへ許しがたい感情が芽生えつつあったものの、――さすがに狭量なトループであっても背に腹を変えられない状況でもあった。それゆえ、ここは彼の策を受け入れることにした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「うぅ……」

「おっ、目さめたかー。そんだけ寝たら腹減ってるだろ」

「その声は……」


 ――ドラグーンのメディカル・ルームにて玲也は目を醒ました。微かに鼻筋が動く事も、香ばしい匂いと共に湯気が立ち込めていた為、匂いの出元は器へ並々と盛られていた粥であり、その粥に杓子で掬うコバルトブルーの髪の彼女がいた。思わず目を合わせないように顔を背け、


「なんだなんだ、ニアやエクスじゃないからって連れないな~」

「連れないも何も、アグリカさんが来なくても」

「おい、そう連れない事言うなよ。あたしが作ってやったんだしさ、ほら食え」

「ほら食えって……急に言われましても食べませんよ、別に腹も……」


 見舞いに来た相手は、よりによって今の自分が苦手とする相手である。彼女がわざわざ粥を作って振舞う様子へも素直になれないものの――食という生理欲求は余りにも今正直だと言えた。


「おいおい、今食べないとあたしを馬鹿にしてるもんだぜ……」

「……!!」

「ったくよ、折角厨房借りたっていうのに、食べないなら……おっ」


 要らぬ所で意地を張ろうとする姿勢へと、アグリカがあきれ返ろうとした時だ。玲也はふと戻そうとした杓子を手にしてほおばる。一口食べれば自然と彼の食が進みだしていた。闇雲にほおばっていく彼の様子へ徐々に顔つきが綻んでいき、


「おーいいじゃん、いいじゃん。やっぱ美味しいんだろ?」

「それは……そうですが、アンドリューさんの事を……」

「あたしがそう見えたってか? そのアンドリューさんとか会った事もないのに……って、おい、どうしたんだよ急に」


 アグリカとしては接点がない筈のアンドリューと似た事を口にしていた――彼女の言葉に打たれて急に平らげていった様子だが、同時に体が小刻みに震えだして杓子を口へ映していく事をやめた玲也の変わりようへとアグリカが少し狼狽えるが、


「……俺、アンドリューさんの後を継ごうと必死にやってきたつもりです」

「確かにそうだったなぁ。それで無理してたように見えたけどさ」

「そうですよね……アトラスさんに酷い事を言って、それで……」

「あんたの思い込みだろ? あたしはそう思っちゃいないよ」


 アンドリューの後を継がんと、玲也は自ら積極的に動きドラグーンの面々をまとめ上げようとしていた。それでも思うように纏まらないだけでなく、アトラスを死へ至らせたのではと胸の内を明かしていった。彼が一人必死に背負い込んでおり、今熱を出してまともに戦えない事へと弱気を見せていたともいえた。けれども彼の弱気をアグリカはバッサリと切り捨て、


「お前は一人で戦ってんじゃないだろ? みんないるんだしよ?」

「……!」


 玲也の肩をポンポンと叩きながら、彼女は暖かく包み込むような母性を示す。目の前で笑いだす屈託のない彼女へ思わず顔を上げ、


「変な話かもしれないけど、あたしは嬉しいんだよ。かっこ悪い方が面白みがあってよ」

「か、かっこ悪い……いや、否定はしないのですが」

「あいつもそういう奴だから、あたしもフォローしがいがあるけどねぇ……」


 アグリカからすれば、玲也とロディに似通う点が見えているようであった。自分が彼らの至らない所をフォローしているかの様子だったものの、


「あたしだって、かっこ悪い所はそりゃあるからね。けどあたし一人じゃないんだから」

「俺はやはり一人で何もかも背負ってた……そうですね」

「まぁ、あたしは頼っても全然気にしないからさ。みんなその筈だぜ」

「一人じゃない、みんないる訳ですか」


 アグリカとして、自分自身が何もかも出来るわけではないと自覚しようとも悲観的になる事はなかった。時には誰かの力を頼る彼女なりの柔軟な考えは、今の玲也が持ち合わせていないものであった。今病に倒れている身ならば、彼女の言い分に一理あると静かに受け止め、


「まぁ、頼ってばっかは良くないけどな。あんたと違ってあいつは……なぁ」

「あいつって……いえ、俺の方こそ独りよがりで……」


 玲也が誰かを頼ろうとも、仮に後ろ指をさされる事はないであろう――それも誰かを支え、救えるだけの腕があるが故である。自分のパートナーたるロディは、頼る事をしても誰かに頼られる事はないであろう現状へアグリカが苦々しい顔つきを見せた。先ほどまで図太く前を向いている彼女ながら、内心の葛藤を玲也は察した。それでも口に出すことはせず、それまでの自分の至らなさを詫びる事て彼女の心境を和らげようとしたものの、急に彼の身が後方へとよろけだし、


「あれ、今起きたばかりなのに……」

「……悪いな、お前を見直したばかりなのにな」


 粥を口にした後、急速な睡魔に襲われる形で玲也は眠りに就く羽目となる。微かに舌を出し小声でアグリカが謝る後、メディカル・ルームの周囲を見渡した後、


「ジョイさんにも悪い事したな。さて……」


 これもジョイが席を外している隙、アグリカが密かに睡眠薬を拝借して食事に盛った経緯があった。玲也が病床に伏している事もあれば懸命との事もあるが、彼女が扉を開いた瞬間だった。


「アグリカさん!? 何故貴方がここに!」

「いや、何故って言われてもあたしが見舞いにきちゃだめかよ?」

「なーんか怪しいですわね。玲也様を嫌ってる貴方ですから」

「おいおい、べつにあたしは嫌ってないぜ? いいがかりは止めろよな」


 メディカル・ルームへとエクスが訪れた――おそらくして、彼女もまた見舞いに訪れたのであろう。玲也シンパの筆頭かつ、強硬派の彼女を前にアグリカでさえ一瞬あちゃーと表情に現れかけていた。飄々と平静を装うが、


「玲也様を嫌ってない……何がありまして!?」

「別にいかがわしいことじゃないって。あいつ寝てるから起きてからにしろよなー」

「貴方の時は起きられてたのでして!? やはり二人であんなことや、こんなことを……」

「おいおい、一人で勝手に暴走するなよな。あたしもやることあるのに」


 アグリカとしては、ただでさえ騒がしいエクスが来たならば玲也がすんなり目を醒ましてしまう事を危惧せずにはいられなかった。ただ頑固というべきか、一途というべきかの彼女をその場から翻意させる事はアグリカでさえも手を焼く。少し困惑の色が顔に出てきた処、


「エクスちゃん! ここにいたのね!?」

「ジョイさん、アグリカさんが玲也さんを寝取られ……」

「私たちに話があるみたいですよ! 将軍直々にです!!」

「私たちにでして……ってアグリカさん、話はまだ終わって」


 ジョイとリンが駆けつけてきたものの、リンの様子から自分たち3人へ重要な話があるために、エクスを連れていくつもりであった。将軍からの話との事もあり、エクスが一瞬関心がそちらに行った事を突くようにして、アグリカは飛び出していった。慌てて呼び止めようとするエクスだったものの、リンに腕を引っ張られていた為、後を追うまでには至れなかった。


「ラッキーだぜ。流石にあいつの相手をしてたらな……」


 アグリカとしては有難い状況でもあった。自分の悪運の強さへ思わず感心しながら個室へと向かうものの、


「けど将軍からだと、あいつも呼ばれるんじゃないのか? もしばれたら流石にやばいかもなぁ……」


 玲也に睡眠薬を盛ったことが仮にばれれば、流石のアグリカの顔にも不安が走る――今度こそ独房では済まないのではとの気がしたからだ。それでも直ぐに首を横に振り、


「あたしは賭けたんだ。何もしないよりはましだってな……!!」


 それでも自分へそう言い聞かせて、アグリカが歩みを止める事はなかった。彼女が立ち上がった事はもはやパートナーの事だけではない、自分事だからと――。

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