白山神社
私はもう千回以上、参拝した、
白山神社という所がありまして、
この神社は広くはありませんが、
全国からの崇敬も厚く、
何処かの親分が来たとか役人が来たとか、
外国の王様がお忍びで訪れるというような、
人を引き付ける話は事欠かないところです。
この場所の本当の魅力とは何か、
それは鳥、獣であれば日光と日影が適切にあるということでしょうし、
人間であれば願いを言いに来たり、用意された椅子や建物の中で、
ゆっくりと休める所があるということです。
私はここで不思議な体験をしたことが、いくつかあります。
春になった頃、境内の十月桜が咲いておりましたので、
私は近くに行ってそれをよく観察しようとしたのです。
すると、周囲の雰囲気が明るく変わって風が起こり、
花弁がワーッと巻き上がり、なんだか桜から、
熱風というほどでもない、温風のようなものが、
私の体にずーっと掛かってきたのです。
実はその時、私はむしゃくしゃしており、
何か不思議なことを起こせるものなら起こしてくれ、
と、若干不敬な祈りをした後だったのです。
その風は桜の木からあるようで、しばらく止みませんでした。
分かった、ありがとう、もうええ、と思ったら止まりました。
だから不思議なことが起こったぞ、と感動を覚えましたが、
そういうことはそれ以来ありませんでした。
次に、セミの多い夏、参拝したときの事です。
その時には、私は不思議な力を身に着けたいと思い、
霊能力というものを調べておりました。
霊能力者といえば前には流行ったものです。
そういう仕事をしているある人は、
神社で祈りをささげようとしたある時、
セミがぴったりと鳴くのを止めて、
祈りが終わるとまた鳴き出したという事があったそうで、
これはその場所の神様が見守っている、という意味だそうです。
しかしそんな事が自分の身の回りで起こったという話は、
その時は全く聞いたことがありませんでした。
セミは相当うるさく鳴いておりました。
私は手水を済ませ、作法の二礼二拍手一礼をし手を合わせました。
すると、ぴったりとセミの鳴き声が止んだではありませんか。
不思議なことだなぁと、静かに心をささげておりましたが、
それを終えると、またセミが鳴き始めました。
こ、これは、あれのことだ、と私は喜びました。
こういった事が3度ほどありましたが、
場の全てのセミの鳴き声が私の体の動きと一致したので不思議なことです。
その時から神社の人が私になんだか優しくなったのを覚えております。
もう一つは秋ごろに参拝を終えて参道を歩いている時の事、
何にも触っていないのに首に何か感触がありました。
首に暖かいものが巻き付いてきたような感触でした。
普段は布きれや指先ででも首に触られたら嫌であるというほど、
その部分の感触が気になる私ですが、その時は全く気になりませんでした。
当時に住んでいた家までは距離がありました、家まで付くと、
首の温かさが、ふっと取れたのです。
家に着いたぞ、と労わられているようで、
家の中に入っても、しばらく首をかしげました。
春夏秋と話し、冬の話は不思議な話でもなんでもありませんが、
ある時、夜中に参拝して休憩するために境内の椅子に座っていると、
ガチャーンという音がしました。
見ると、子供たちが賽銭箱をぶちまけているのです。
そして、ここを全部壊してやったらどうなるか、と言っているのです。
私はその子供たちの近くまで行って言いました、
ここは君たちが壊すための所じゃない、
この建物にどういう思いがあるか分かるか、
と言いました。すると一人の子供が、
こいつ、やっちゃおう、と言いました。
馬鹿な子供です。物の意図を知らないのです。
しかし私はある種の自信があったので、
最初にかかってきた子どもを打撃するため静かにしていました。
適当に睨んでいると、他の子供が、
やめよう、帰ろう、
と言って子供たちは全員その子に付いていきました。
しかし私は嫌な予感がして家に帰りませんでした。
夜中なので眠かったですが境内の椅子に座っていました。
すると、朝方になって子供たちがまたやって来たのです。
何か奢ってやろうか、
と私は言いました。
うわっ、まだ居る、帰ろう、
と言って今度こそ去っていきました。朝方になれば神主が来ます。
思い起こしてみれば、何事もチョコチョコっとやったのではその分しか効かず、
集中してやってみれば思いの他、世界が広がり、新しいものに変わってきます。
別に何らかの物や、金銭的報酬が無くても構わないわけです。
そこに経験があれば、それが報酬になることもあるのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます