NAデア×超野コラボ

 真っ白くなっていく世界。

 昔、まだ文明が広く残っていたころ、

 未来に向けて技術開発に出資した猪崎寛治、

 その付き人であった男、超野正弘は、

 己の肉体を改造し、

 終末の世界になっても生きていた。

 そして、

 NAデア・ガールズの萌えポイントを紹介する強面のおじさんになっていた。

「オイ! ホントのNAガールズ紹介してやるからな、

 オラ、エーッ?」

 映像配信で今回の相方は、

 片目の赤くなった女性、吉村恵美。

 レースクイーンのような恰好。

 超野と比べると小柄だ。

 隣の、体が黒いメカだらけの超野を見て、

「こんにちは、今日は聞きたいことが沢山あります。

 サイボーグの方はやっぱりその、背が高いですね」

「あぁ。生身の頃の肉体サイズを維持して、

 別に最初からだけどな。

 俺もあるけど、そのぉ、

 吉村さんは、

 SA粒子に触れたことがあるんだってな」

 その粒子に触れることは多くの場合、死を意味する。

「はい……。近づき過ぎてしまって。

 攻撃を受けたとき一瞬、

 アーマーが不調になったんですが、

 ほとんど何にもなくて、大丈夫でした」

「そうかい。

 俺も思いっきり触っちまったことがあるぜ。

 右手だったけど、すぐ切り離したから助かったけどな。ガッデム!

 S・NA装備が完成すれば、サイボーグはガールズたちに協力できる」

「今でも補修キットと救命装置は頼りにしてます」

「それは俺が用意したやつも入ってるかもな。

 必要なことが出来るようになっといてよかった」

「はい。超野さんは、失礼かもしれませんけど、

 お生まれは何百年も前ですよね」

「おう、その時から生き残ってたから」

「その時から……クロウラはいたんでしょうか?」

「全然いなかった。

 核戦争はあったけど、

 全然持ちこたえてたよ。

 その時は核で焦土になったのは、

 アメリカと日本だった……。

 何が強き寛容の国だ、何が礼儀とおもてなしの国だ、嘘つくな、

 って諸外国から、核と激しいビーム兵器テロでバキバキにされた。

 俺は渡米したこともある日本人だったんで一気に寂しく不便になったよ。

 だが技術力は高まっていたし、

 どこの国の何人とかもあんまり気にしない人も増えていた。

 巨大船は、もうその時から、その時の指導者からも、

 あった方がいいだろっていう事になってた。

 そのころまでイドムドスっていうのがあったんだけど、

 今どうなってるかは分からねぇよ。

 ジョンフラムは何も言わねぇ。すぐ泣くしな。

 アイツが喋れば少しは分かるはずなんだけど。

 生身で生き残ったコールドスリープ組だけじゃねえ、

 その時はコネのある奴だけがなれたナノマシン組と、

 俺らはサイボーグ組って事で。だから先行投資と言うか……。

 クロウラがやって来て、平和維持なんとか防衛の、

 正規軍も終わって、どこも荒れ果てちまったけど、

 まぁ、こうなるとは思ってもみなかったわけよ。

 時代が全然変わってしまった。

 悩んだ。しかし生きなきゃもったいないだろ!

 生きようとしたんだ。俺以外にも延命、機能の更新をして……」

「色々あったのですね」

「昔の話だから」

「どうして、私たち、

 NAデア部隊を応援してくれるんでしょうか?」

「そりゃ、あれだな。

 大船団を守っているNAガールズの皆と、

 そのファンを励ますためだ」

「ファンを?」

「そうだ、NAガールズのファンが白い目で見られることがあるらしくてよ、

 そりゃおかしいんじゃねーかって事を今は船団の皆に知ってもらいたい」

「ありがたいことですが……」

「ファンだって普段は真面目にやってるわけよ」

「私もファンの方に励まされることがあります」

 と頷く。

「俺もその形を壊したくないと心から思うね」

「ここでNAガールズの映像みたいです。

 あ、私……」

「吉村さんだ」

 2人の間にあって、

 戦うガールズたちを映していたモニターは、


 VTRに切り替わる、

 真っ白い砂漠を進む部隊、

 吉村は抜刀しつつ低く構え、

 同時にクロウラが飛び込んでくる。

 そのまま、クロウラの腹がドッと捌かれる。

 踏ん張るだけで相手が斬れている。

 死んだクロウラは物的な質が変化し、

 SA粒子を散布しなくなる。


「うおお、これは分かってたのかな」

「はい……。カンが無いと負けてしまうので」

「他の人も出来る?」

「いえ、あんまり。

 皆と別の準備をしてしまうので、

 分かってもらうまで時間がかかりました。

 だから私はニックネームが邪道なんです」

「なるほどな。技がある。そこにストーリーがある。

 俺もヒールだから分かるんだよ。

 でも昔はカンとか刀は邪道じゃなかったんだよな」

「ほんとですか? うれしい。

 私はコンダクターに刀のビデオを見せてもらったら、

 すーっと入ってきて……。

 あの、……」

「それで出来るようになったの」

「はい。昔といえば、

 巨大船エンジンの出資にもかかわる人物ですし、

 猪崎寛治さんのお話を聞かせてもらえますか?

 お知り合いだったって」

「……」

「ちょっと興味あるんです」

「ええっ?

 今日はそういう話じゃなかっただろ。

 そうだなぁ。……。

 その時はずっと昔で、

 戦争も、巨大船群も、

 何にもなく大勢が平和に暮らしていた」

「サイボーグの方は?」

「居ない、ほとんどない頃。

 あれは、付き人になった時だ、

 誰の付き人になるか最初は決まってない、

 ある時に発表されるんだよ。

 猪崎さん相手は緊張するけど、

 出世コースといえばそうだったんだ、それが俺になった。

 猪崎さんは人の空気を大体読まない、自分の話しかしない。

 一般人にパフォーマンスでビンタする時だけ、調節してたけどな。

 ホテルの廊下でパンツ一丁で体を鍛え始めて汗だらけになって、

 すげえなって思ったけど、そこ、廊下だからな。廊下ですよって、

 言えなかったけど。他の人迷惑だよね、何かあったら俺も仕事が増えるわけだし。

 ギャグのセンスも、超野は超能力で頑張れとかで最高峰。

 結構しーんとした場所で急に難しいギャグやるから、

 笑いにくかったな~。こっちは緊張しながらだから。

 やっぱり空気を全然読まない」

「へえ~」

「そもそも大体、他の奴らもそうだった。

 これはまた別の時、誰かが、

 色々なことあったけど今の状況どう思うって、

 一人はそれをすぐ近くで聞いてたのに、

 俺、最近、武器を買ったんですよね~、趣味で、

 って全然違うこと言う」

「えぇ、そうなんですか」

「で、その武器の事は誰も聞かない。話が全然続かない。

 みんなで飯を食べたり鍛えたり……。

 でかい幼稚園だった。

 橋山もひどかった!

 猪崎さんのゴールドカードで勝手に服を買ったり。

 でも結局、俺らはそのカードで遊んじゃった……。

 アイツいつもその調子だったから俺もよく焦ったよ、

 猪崎さんも橋山許さねぇとか言ってたんじゃないのか、

 そんな怒ることねーのにさ。それで……」

「ええと、大丈夫だったんですか?」

「まぁ……。

 思い出っていうか」

 次にNAデア装備の解説があって、

 再びモニターの映像がガールズたちから、

 装備を映したものに変わる。

「では、私は立って、ご紹介します」

 エンジンは破壊されない限り永久に動作できることや、

 アーマーとブーツの関連性が骨格の役割をする、

 その方式はいくつかに別れているなど、

 当たり障りのない事が紹介された。

「そろそろ時間みたいだぜ。

 吉村恵美さんの萌えポイント!

 その可憐さとタフなハートォ!

 今日の衣装もイイぜぇ」とうなづく。

 吉村は腕を組んで、

「あはは……恥ずかしいです。

 それじゃ、そろそろお別れのご挨拶を……」

「よぉし、見てるか、おめぇら、

 ガールズに何か要望があったら言ってくれ!

 てめぇらのデスマッチ、受けてやるからな!

 でも下らねぇ要望しやがったら一台、用意してるからよ」

「な、何をですか?」

「ジープだよ。車。ジープとハンマー用意してるから。

 下らねぇ要望出したヤツの住居エリアまで行ってやる!

 バッキバキだよ。オッケー?

 いいですか? 良く見とけ、オラァッ!」

「だ、そうです。

 超野さんは本当は、

 とってもマナーの良い人です。

 みなさん、それじゃあ」

 巨大船を守護するNAデア・ガールズ。

 船の中には生活がある、(謎の)文化もある。

 巨大船の中で一般的に消費できるコンテンツ、

 その中でも時折起こるコラボは珍しい様子を現わす。

 浸食された世界、可憐なガールズと、守るべき住人たち。

 もちろんごく普通の生活を送る人も大勢いる。


(参考・『蝶野正洋×市川紗椰が異色対談 ガルパン応援大使就任』

『「ガルパン 戦車道大作戦!」,蝶野正洋コラボ第3弾』 他)

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