医師である義道遼が勤める病院に、無二の親友である八神雷男が救急搬送されてくる。
世界的人気ロッカーとなった彼は交通事故により意識がなく、また身体の損傷も激しいため緊急オペが施されることとなった。
本作はそこから、義道と雷男がともに過ごした少年時代、青年時代を回想しながらつねに彼らの傍らにあった音楽と絆の物語を描いていきます。
どれほど言葉を尽くしても、この作品が放つ静謐な熱気と一言一句にいたる洗練さを伝えることはできません。
彼らの人生を彩る文章は、読者をたとえ一歩とて置き去りにしないよう、作者の努力により選び抜かれています。
あの頃の友のかけがえのなさは、長い時を経た今なお色あせることなくここにあると、作者は訴えたいのかもしれません。
この作品は、絶対に読んで損はありません。
私ごときでは事足りないと感じられるかもしれませんが、必ず魅了されるとお約束します。
当直をしていた主人公の元に運ばれてきた急患は八神雷男だった。
ロックバンド・ケラノウスの超有名人。
そして、主人公の小学校以来の友人。
怪我を負った右腕は、もう、彼がギターを弾けなくなる可能性をも示唆していた。思い出は走馬灯のように、主人公の心の中を駆け巡る。
小学校時代、ロンドン帰りの雷男、浮いたその存在と運命の糸が絡まりだした瞬間。高校時代、音楽を通じて、雷男のアーティストとしての才能を痛いほど知った出来事。そして……
一話毎に過去と現在を行き来しながら、二人の関係性、切っても切れない二人の物語がしんみりと、そして、情熱的に流れ込んできます。
ブロマンスというタグの示すとおり、男同士のロマンティックな関係。
"Stairway to Heaven"
Led Zeppelin の名曲の名を関したタイトルまで、一話づつ、お酒を舌の上で転がすように味わっていただければ幸いです。