第6話
「爪に気をつけてください。」
ミチルは注意する点を伝えながら、鷹位の大きさに変化した。
カニは脚が長く、胴体は50センチ位だろうか。
自分の知っているタカアシガニに似てる。
侑はナタを手に持ち、攻撃を躊躇していた。
恐い訳ではなく、何処を攻撃して良いか分からないのだ。
「侑様、このサイズなら真っ二つで良いですよ。」
侑はナタでカニを真っ二つにした。
腰が痛くなりそうだし、効率良くないな。
侑は手を広げ、掌位の円盤をイメージした。
カニを見つめ、魔法を発動した。
…ウィンドカッター
掌から繰り出された風の円盤はカニを横に真っ二つ。
「侑様、縦に真っ二つでお願いします。」
ミチルは笑っている。
「分かってるよ!」
侑はちょっとむくれた。
今度は人差し指をカニに向けて魔法を発動した。
…ウォーターニードル
カニに穴が空いた。
「出汁が取れなくなりますよ。」
ミチルの笑い声と同時に頭痛が侑を襲う。
「痛。」
ミチルは侑の肩に乗り、レベルアップしたの?
原因は分かってるけど、ちょっと心配している。
「大丈夫だよ、治まった。」
カニが大分取れたので、そろそろ帰ろうとテーブルクロスを片付けていると砂地が盛り上がり巨大なカニが出現した。
胴体だけでも俺よりデカイな。脚の長さから、近寄るのは無理っぽいな…
「侑様はちょっと下がってください。」
「さっきの水魔法を私の羽根の目印を撃ち抜くイメージして待機していて下さい。」
「合図しますからね。」
ミチルは侑に指示を出し、サイズを変えることなく巨大なカニに向かいカニの関節に羽根を撃ち込む。
「侑様、羽根を撃ち抜いて下さい。」
侑は複数の目印を予測していたので、五本ずつを何回か発動し全ての羽根を撃ち抜いた。
カニの脚は全て外れ、胴体だけが転がった。
「侑様、ナタで目と目の間を叩き割って下さい。」
ナタを振り下ろし、指示通りの位置を叩き割るとカニは泡を吹いて動かなくなった。
「痛。」
レベルアップの痛み、どうにかならないかな…
カバンに巨大なカニも入れ屋敷に戻る。
ドアの前には一人の女性が立っていた。
「ティーターン様の使徒メイと申します。」
「バトラの妻にして、Tの母親に御座います。」
「Tがお世話になりました。」
「外で待たせてしまい、申し訳ありません。
侑と申します、青い鳥はミチルといいます。Tには此方こそお世話になりました。」
侑はドアを開けて、メイを招き入れた。
「本日は食材をお持ちしました。
もし、調理が苦手でしたら私が調理しますがいかが致しましょう?」
メイはカバンの中から食材を出し、キッチンに運んだ。
「昨日、調理のスキルを覚えましたので心配はご無用です。」
侑は丁寧に断った。
「調理よりもお願い事が有るのですが。」
「何なりとお申し付け下さい。」
「手が空いたときで構いませんので、バトラさんに来ていただきたいのです。
書斎の本の入れ替えと、用意して頂きたい物が少々あるのです。」
「分かりました、夕刻にでも伺うように伝えましょう。」
会話が途切れるのを見計らって、ミチルが切り出す。
「メイ様、調味料なのですが醤油と味噌、あと胡椒が欲しいのですが手に入りますか?」
メイは鳥が喋った事に驚きを隠せない。
「主人から綺麗な青い鳥が居たとは聞いておりましたが、お話も出来るとは伺っておりませんでした。」
「醤油と味噌は東の島国の調味料ですね、時間はかかると思いますが用意致します。」
「胡椒は主人に持たせますね。」
「宜しくお願い致します。」
ミチルは綺麗と言われた事と、調味料が手に入るのが嬉しそうだ。
「バトラが夕刻には伺うとおもいますので、宜しくお願い致します。」
「それでは失礼致します。」
メイを玄関まで見送り、キッチンに戻る。
「カニどうしようか?」
侑はミチルに何が食べたいか聞いてみる。
「天ぷらとフリッター、カニ飯とカニ汁あとカニカマ」
「カニ三昧は分かったけど、カニカマはカニじゃ無いよ。」
「知ってる、ボケただけ。」
ミチルはボケたのに、まともに答えてくる侑を恥ずかしくて見れなかった。
「じゃ、夕飯はカニ三昧で。」
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