第8話 使用人の信頼

 一度目の世界では、馬小屋にいた馬達もメニーがお世話をしていた。パーティーがある時は御者を雇って、馬達を動かしていた。

 メニーは屋敷に残って、屋敷の仕事を。


 動物達の面倒に、掃除、洗濯、料理、全部メニーがやっていた。一日が過酷な労働。それでもメニーは明るさを忘れなかった。希望に満ちた目で、いつもそれを行っていた。


 しかし、二度目の世界では、馬係のデヴィッドが希望に満ちることなく、目を絶望色に染めていた。


「やばい」


 ふくよかな体を丸まらせて、頭を抱えた。


「まじでやばい」


 デヴィッドが真っ青になって、うずくまる。


「もう死のう」

「え!?」


 メニーが窓を覗き込んだ。


「デヴィッド、どうしたの?」

「ああ…、メニーお嬢ちゃま…。テリーお嬢ちゃま…。こんにちは…」


 小屋の窓からメニーとあたしの顔を見て、デヴィッドが挨拶をしてくる。メニーが眉をへこませた。


「お姉ちゃん、デヴィッドがすごい顔してる!」

「メニー、心配ないわよ。きっと変なものでも拾って食べたんだわ」

「それならまだ良かったですって…」


 デヴィッドが深いため息をつく。


「いやあ、こいつは面倒なことになっちまった…」

「さっきからどうしたの?」


 あたしが訊けば、デヴィッドがあたしとメニーをじっと見下ろした。


「……お二人とも、秘密は守れますか?」

「秘密?」


 デヴィッドが窓を避けて、指を差す。馬小屋の中をメニーと二人で覗く。中には、並ばれた四頭の馬の部屋がある。


(ん?)


 三頭しかいない。


(あれ?)


 あたしとメニーが瞬きすると、デヴィッドが頭を掻いた。


「ああ、やっちまった。ロイの仕業か? いや、犯人捜しをしている暇じゃないな…」


(なるほど)


 屋敷の土地以内にいればいいけど、外に出てたら確かに責任に問われるわね。


(ま、一頭くらいいなくなったっていいわよ。また買えばいいんだから)


「大変ね。デヴィッド。頑張って。じゃあね」

「デヴィッド、私達、お庭の方探してみるね!」

「は?」


 メニーの言葉に、あたしの口がぽかんと開けられる。聞いたデヴィッドは、逆に目を輝かせた。


「おおおお! 手伝っていただけるのですかい!?」

「うん! 探してみるよ!」

「助かりますぜ!」


(え? 何言ってるの? あたしはこれから植物ちゃんの様子を見に行って…)


「お姉ちゃん! お庭に行こう!」

「え」


 メニーに腕を掴まれる。


「早く! 馬が逃げちゃうかもしれない!」

「え」

「メニーお嬢ちゃま、これを!」


 デヴィッドが窓から投げる。メニーが空ぶった。あたしがキャッチした。大きめのニンジンがあたしの手に掴まれる。


「そいつはあいつの大好物の大きめニンジン! 見つけた時には頼みましたぜ!」

「分かった! ありがとう! デヴィッド!」


 メニーがあたしの腕を引っ張る。


「お姉ちゃん! 早く!」

「……えー……」



 罪滅ぼし活動ミッション、馬を見つける。



(いないわよ。庭になんか。どうせ近くにいて、戻ってきたらいる感じになるわよ。絶対)


 あたしはそう思いながら、今日も今日とて、メニーに引きずられていった。また面倒くさいトラブルバスターズの時間が始まる。



(*'ω'*)



 ベックス家の屋敷の周りには三つの庭がある。

 一つは中庭。二つ目は裏庭。三つ目は外庭。皆、外なのだが、外庭は野原が永遠と続くような作りをしている。ここではシートを敷いて紅茶を飲んだり、お弁当を食べたり、歩いてお散歩したり、それこそ屋敷の動物たちはここに放して、自由にさせる。ここはそういう庭。


 先に牛たちを放してのんびり欠伸をしていた使用人のボブが、歩いて来たあたし達を見て、にこりと微笑む。


「ご機嫌よう。テリーお嬢様、メニーお嬢様」

「ごきげんよう。ボブ」

「ごきげんよう。ボブ!」


 あたしとメニーが挨拶を返して、野原にくつろぐボブを見下ろした。


「ボブ、馬を見なかった?」

「馬?」

「こっちに歩いていったんだけど、見なかった?」


 馬がいなくなったことは言わず、あたしとメニーが口を揃えて訊くと、ボブが首を振った。


「いや、俺は見てませんね。何しろ、さっきまで昼寝をしていたもんで」

「そう」

「お姉ちゃん、もしかしたら奥の方にいるかも」

「何ですか? デヴィッド、やらかしましたか?」


 ボブがにやりとすると、メニーが首を振った。


「ち、違うよ。何もやらかしてないよ!」

「馬がいなくなったんだって」

「お姉ちゃん、それ言っちゃ駄目だよ! 秘密って言われたのに!」

「はっはっはっはっ!」


 ボブが笑い、庭の奥に指を差す。


「もしかしたら向こうに行ったのかもしれませんね。最近、ロイが向こう側に連れて行っているのを見たことがあるんで」

「お姉ちゃん、行ってみようよ」

「ええ」

「ボブ、ありがとう!」


 メニーがお礼を言うと、ボブが人差し指で鼻を擦った。


「私も見かけたら、馬小屋に届けておきますよ。もちろん、秘密でね」

「お願いね。ボブ!」


 メニーがそう言って、またあたしの手を引っ張って歩き出す。


「お姉ちゃん、秘密なんだから言っちゃ駄目だよ」

「はいはい」


 あたし達は庭を探す。野原を歩いて、揺れる木々を見て、馬がいないか探すが、ここにはいないようだ。


「お姉ちゃん、いないみたい」

「そうね」


 冬に近い風が吹く。


「ああ、寒い。メニー、戻りましょう」

「もうちょっと見ようよ」


(ああ…面倒くさい…)


 あたしとメニーが歩いていると、屋敷の方向から屋根のない馬車が走ってきた。


「あ、見て、お姉ちゃん。デヴィッドだ」

「ほら見なさい。多分、見つかったのよ」


 デヴィッドがあたし達の前で馬車を止めた。


「お嬢ちゃま方、これに乗って一緒に探しましょうや。門は閉じてるんで、多分どこかにいるはずですぜ」

「馬を馬車で捜索だって! ふふ! なんか楽しくなってきた!」


(何も楽しくないわよ…)


 しかし口車を合わせる。


「本当ね! なんかわくわくするわね!」


 本音を隠して、メニーに合わせてニコニコ笑って、あたしも馬車に乗る。この馬車嫌いなのよね。屋根がないから風に当たるのよ。髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃう。


「行きますぜ。お二人とも!」

「はーい!」

「…はぁーい」


 メニーとあたしの返事を聞いて、捜索馬車が動き出す。メニーが右を見た。


「お姉ちゃんは左見て、私、こっちね」

「はいはい」


 左を眺める。ああ、今日もお庭はいい景色。


「ところで、お二人とも、勉強の方はいいんですかい?」

「今日は午前中だけだから」

「うん」

「そうかい。そいつは良かった。ゆっくり探してもらえるぜ」


 馬車が揺れる。あたしとメニーは自分たちの方向を見て探す。デヴィッドがまた声をかけてきた。


「で、新しい先生はどうですかい?」

「あのね」


 メニーが野原を見つめながら答える。


「すごくいい先生なの。前の先生も優しかったけど、クロシェ先生も、すごく優しいんだよ」

「俺達の間でも、ずいぶんと噂になってますよ。お若くて、とても美人で、それでも勉強部屋から出られる時のお嬢ちゃま方の顔を真っ青にさせてしまうほどの力の持ち主。一体何者なんだ、ってね」

「あれは美人の仮面をつけた野獣よ」

「だね」

「はっはっはっはっ!」


 デヴィッドが膝を叩いて笑い出す。


「テリーお嬢ちゃまにそこまで言わせるなんてたまげたもんだ。こりゃ、アメリアヌお嬢ちゃまが帰ってきた時が楽しみですね」

「アメリはすぐに根を上げて逃げ出すんじゃない?」

「でも、アメリお姉様、前の先生の時はちゃんと勉強してたよ」

「メニー、ちゃんと見てた? アメリのノート。落書きだらけだったじゃない」

「時々だよ」

「いつもよ」

「宿題もちゃんとやってた」

「あのサボり魔が、クロシェ先生の量についてこられるかしらね?」

「ああ」


 デヴィッドが思い出したように声をあげた。


「どうやら、あの先生は宿題をたくさん出すそうですね」

「野獣の如くね」

「うん。山ほどね」


 あたしもメニーも頷く。デヴィッドが感心したように相槌を打った。


「お二人にそう言わせるなんて、お若いのにすごい方なんですねえ。奥様も、よく見つけてきたもんだ」

「デヴィッド、クロシェ先生と話したことある?」


 メニーが訊くと、デヴィッドが頷いた。


「ありますよ。とても気さくで明るい方ですぜ。それに美人だ。話してるだけで、鼻の下が伸びてしまいますよ」


 ぐるりと馬車が回る。野原を走る。


「どうですかい。テリーお嬢ちゃまは気になる殿方とか、いらっしゃらないんですか?」

「あたしまだ11歳よ。そんな人いない」

「メニーお嬢ちゃまは?」

「ドロシー!」

「はっはっはっ。そりゃそうだな。でもね、お嬢ちゃま方、今のうちに目を鍛えておかないと、変な男に捕まりますよ。顔だけ良くてもね、悪い奴はこの世の中うじゃうじゃいらっしゃいますからね。俺みたいに優しい男は早々いないですよ」

「デヴィッドは痩せればいいのよ」


 あたしが言うと、デヴィッドが顔をしかめた。


「テリーお嬢ちゃま、俺がこの体にするのに、どれだけの時間を費やしたとお思いですか? なめないでいただきたいものですぜ!」

「あんたは丸いだけじゃない」

「デヴィッド、肥満は体調不良になりやすいんだって」

「大丈夫ですって。人生は一度きり。俺はね、美味しいもの食べてる時が一番の至福なんですよ。ドリーのご飯はいつだって美味しい。さて、今夜のご飯は何ですかね?」


(…確かに皆は細いのに、デヴィッドは太い。まん丸に太い。最近、また体重が増えてどうのこうのって言ってたわね)


「ねえ、デヴィッド」


 馬車が揺れる中、声をかける。


「デヴィッドは、この屋敷でのお仕事、どう思ってる?」

「何ですかい。急に?」

「何となく」

「そうですかい」


 デヴィッドが馬達を動かしながら、微笑む。


「俺ぁ、満足してますよ。お給料もいただいて、可愛い馬たちの世話もさせてもらえて、ええ、大満足です」

「…本当に?」

「俺は田舎育ちの田舎暮らしでしたから、雇ってもらえただけラッキーでさ。本当に何もないところでしてね、弟は修道院に入りましたもんで、俺が実家に仕送りやら何やらやってるんでさ」


 メニーが一瞬デヴィッドをちらっと見た。


「デヴィッド、弟さんがいるの?」

「ええ。いますよ。修道士を目指して頑張ってるみたいです」


 今度はあたしがデヴィッドに声をかける。


「デヴィッドが、一人で実家にお金を送ってるの?」

「はい」

「自分の分は? あるの?」

「俺は特に困ってませんね。というか、困ってる奴っていらっしゃるんですかい?」

「え?」

「このお屋敷で働いてて、給料のことで困ってる奴らは見たことありませんで。俺は」


(ああ。そうか。デヴィッドは昔からこの屋敷で働いてるし、ママのお気に入りだもの。だからお給料で困ってないんだわ)


 だって、サリアが言ってたもん。皆が細いのは、お給料が少ないせいだって。


(きらきら流れる歌の先…)


 考え始めると、デヴィッドがあたし達に喋り続ける。


「奥様には感謝しないといけませんな。俺みたいなのを拾ってくださって」


 デヴィッドが微笑む。


「そうそう。奥様の結婚式も、俺が馬車を動かしたんですよ」

「結婚式って…」


 メニーが訊くと、デヴィッドが頷いた。


「そうですよ。亡くなった旦那様との結婚式でさ。メニーお嬢ちゃま」

「ああ」


(ああ)


 そうだったわね。初めてメニーに会った日。


 ―――この人と再婚します。


 ママがあたしとアメリに写真を見せてきて、結婚式に初めて会ったのだ。


「やあ、君がアメリアヌ、君がテリーだね」


 初対面から、優しそうな男だった。


「こちらは、娘のメニーだ」


 初めて会った時、メニーがぺこりとお辞儀をしていた。アメリは興味なさそうだった。これから一緒に住むというのに、どうでもいいという顔をしていた。メニーはちらちらとアメリを見て、その青い目を、ゆっくりと、あたしに向けた瞬間、


 あたしは、どんな顔をしていたのだろうか。


「そっか。馬車の御者、デヴィッドだったっけ? 私、あの時緊張してて、あまり覚えてないの」


 メニーが言うと、デヴィッドが笑いながら頷く。


「アルバムに写真があるはずですよ。あの時もたくさん撮ってましたから」

「デヴィッドも写ってる?」

「写ってますぜ。かっこいいタキシード姿でびしっとね」


 馬が進む。馬車が揺れる。メニーが呟いた。


「なんか、懐かしいね。お姉ちゃん」

「…そうね」


 ここ一年程度のことなのに。


「懐かしく感じるわね」


 あの時は、まだ記憶を思い出してなかった。純粋なあたしのままだった。あたしは覚えてる。結婚式の日、教会の椅子にアメリが座って、あたしが座って、メニーが座っていた。三姉妹が初めてそろった瞬間だ。


(あたしはどんな顔をしていただろうか)


 思い出してしまった以上、過去には戻れない。


(あたしはどんな顔をしていたかしら)


 憎悪を思い出した以上、過去には戻れない。


(きらきら流れる歌の先には、何かがある)


 サリアの問題には、必ず答えがある。


(謎には答えがある)

(馬はどこだろう)

(歌の先には何があるのだろう)


 答えは必ずある。


(あたしはどんな顔をしたのだろう)


 答えは、必ずある。


「あれぇ? いないなぁ?」


 デヴィッドが眉をへこませた。


「こいつは困ったぜ。どうしたもんかな」

「デヴィッド、あれ何だろう?」


 メニーが指を差した。


「え?」


 デヴィッドが振り向く。野原に倒れる影が見える。


「あれ? あいつじゃないか?」


 紐で馬達を誘導し、走らせる。影に向かって馬車を走らせる。


「おーおー。横たわっちまってるぜ。そんなに野原が気持ちいいか」


 デヴィッドが馬を止めた。一人で下りる。


「テリーお嬢ちゃま、先ほどの人参を」

「はい」


 デヴィッドに渡す。デヴィッドが馬車の馬達を撫でた。


「ちょっと待っててくれよ。あいつを連れてくるからな」


 デヴィッドが重たい体を動かし、横たわる馬の方へ歩いていく。人参を持ちながらゆっくり歩いていき―――はっとした。


「なっ」


 デヴィッドが急いで走り出し、馬に跪いた。


「くそ! やられた!」


 メニーとあたしがきょとんとする。


「デヴィッド? どうかしたの?」


 あたしが訊くと、デヴィッドが頭を掻いて、急いで馬車に戻ってきた。


「屋敷に戻りましょう」

「え」

「でも、あの子は?」


 メニーが訊くと、デヴィッドが馬車を動かし始める。馬達が走り出す。


「野原に獣が潜んでいるのかもしれません。お二人とも、しばらく屋敷の中にいてください」

「どういうこと?」

「首を噛まれてました」


 その言葉で、空気が一気に冷たくなる。


「首を噛まれて、死んでいたんです」


 馬車と屋敷から、離れた、野原の奥で。


「馬はこちらで何とかするんで、とりあえず、お二人はお屋敷の中に」

「え、う、馬さんは?」

「メニーお嬢ちゃま、もう手遅れです」


 メニーが眉をへこませる。振り向く。横たわる馬から馬車がどんどん離れていく。メニーが倒れる馬をじっと見る。あたしはメニーの手を引っ張った。


「メニー」

「……」

「野原だもの。間違って動物も入り込んだりするわよ」

「…門が閉じられてるのに」

「穴でも掘ってきたんじゃない?」

「………」

「安全だって確認が出来るまで、しばらく屋敷で遊びましょう。ね」

「…うん」


 メニーが死んでいる馬を見つめる。馬車は急速に屋敷へ向かって走る。やがて、馬の影は見えなくなった。





(*'ω'*)




 デヴィッドがさっそくギルエドに報告し、あたし達は外出禁止になった。


「馬の体は残ってましたが、血を吸われていたようです」

「それは、ヒルか?」

「でも、噛み痕が…」


 廊下にいたあたし達を見てギルエドがデヴィッドの声を遮る。


「テリーお嬢様、メニーお嬢様、お部屋にお戻りください」

「獣を探すの?」

「お屋敷の中も危ないかもしれません」

「あ」


 明るい声が聞こえた。振り向くと、クロシェ先生が本を抱えて歩いていた。あたし達に手を振る。


「こんにちは。皆様お揃いで」

「ミス・クロシェ」


 ギルエドが早足でクロシェ先生に歩く。


「しばらく、お嬢様達をお願い出来ますか?」

「え?」

「問題が発生しました。外には出ないように」

「何かあったんですか?」

「野生の動物が外にいるかもしれないらしくて…」


 メニーが説明すると、クロシェ先生の顔つきが険しくなる。


「まあ…。それは心配ね」

「ですので、お嬢様達のことは、貴女が」

「わかりました。見ておきます」


 ギルエドとデヴィッドがクロシェ先生の横を通り過ぎ、使用人達に事情を知らせに行く。廊下に残されたあたしとメニーはクロシェ先生を見上げ、クロシェ先生は微笑んだ。


「じゃあ、安全が確認できるまで、テリーか、メニーのお部屋で遊びましょうか」

「遊ぶならメニーの部屋がいいです。玩具もたくさんあるし、本もある。ドロシーもそっちにいるし、メニーもその方がいいでしょう?」

「あ、そうだ。ドロシー大丈夫かな?」

「一大事だわ。ドロシーの様子を見に行きましょう」


 クロシェ先生がメニーに手を伸ばす。


「さ、一緒に」

「はい」


 メニーがクロシェ先生の手を握る。あたしはクロシェ先生の横について歩く。クロシェ先生があたしに訊いてくる。


「ねえ、動物が忍び込むなんて、よくあること?」

「時々あります。庭を森への道だと勘違いする動物が穴を掘って入ってくるんです」

「改善を求めないと駄目ね。このお屋敷は広いし、人も多く住んでいるんだから、安全性を重視しないと」


 三人で階段を上り、三階を目指す。


「それにしても、心配ね。今、安全が確認できても、しばらくは皆で固まって行動した方がいいかもしれないわね」


(どうせ狐かそこら辺の動物が、居眠りしてる馬に噛みついたんだわ。で、血が流れちゃったのよ)


「二人とも、何も怖くないわよ。何かあったから、私が二人を守るわ」


 クロシェ先生がにこりと、優しく微笑んだ。







(*'ω'*)




 日が沈む。

 暗くなる。

 星空が出てくる。

 まだ夕方なのに、日は早くに沈む。

 影がうろつく。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

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 赤い目は見回す。

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 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目が見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。

 青い動物を見つける。

 赤い目は見回す。


 赤い動物を見つける。


 影は、口角をあげた。一歩、赤に近づいた。




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