第3話 不安

「あの、早瀬さん」

「何?」

「他のスタッフの方は?」

「おいおい紹介するよ」

「期間は?」

「夏休み一杯」

「宿題出来てない」

「教えてあげる」

「どこで寝るの?」

「宿泊施設がある」

何とか、逃げ出す方法を考えたが、諦めた。

早瀬さんが、一枚上手だ・・・


「で、食事は?」

「私が作る」

「今何と?」

「私が作る」

聞いたことがある。早瀬さんの作る料理は芸術的だと・・・

あまりに芸術的で、何度か彼氏に逃げられたと・・・


女の子を料理人と見るのはよくないが、あまりに芸術的だと、さすがに問題・・・


「大丈夫だよ。うちの子たちは、喜んで食べてくれてるから」

「うちの子たちというのは?」

「犬」

「だよね・・・」

犬が食えるのなら、我慢出来るかもしれない・・・

飼い主からの、苦情は出ていないようだし・・・


「で、僕は何をするの?」

「まずは、うちの子たちの名前を覚えてね」

「コリーとか、ビーグルとか・・・」

「種類じゃなくて、固有名詞」

「ポチとか、ラッシーとか?」

「そう」

犬の世話をする以上、名前は覚えなくてはいけないだろう・・・


「じゃあ、早速紹介するから、ついてきて」

早瀬さんに案内されてついていった・・・


当たり前だが、たくさんの犬がいた・・・



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