第2話  覚悟

「あれ、杉村くんじゃない?どうしたの?」

その言葉に、ドキッとした・・・

ときめきの意味ではなく、戸惑いの意味で・・・


「あの・・・」

「何?杉村くん」

「どちらさまでしたっけ?」

その言葉に、女の子はこけた・・・

ていうか、あきれた表情をした・・・


「早瀬輝美、君のクラスメイトの早瀬輝美。思い出した」

「はい・・・思い出しました」

僕は人の名前を覚えるのが苦手だ・・・特に女の子は苦手だ・・

断っておくが、ホモではないので、念のため・・・


「で、杉村くん、どうしたの?」

「いや、鈴本からここのバイトを紹介されて・・・」

鈴本は、真一の姓だ・・・


「じゃあ、君が鈴本くんが紹介したバイトの子なのね」

「聞いてたの?」

「うん」

話が進みそうだ・・・


「じゃあ、早速仕事のお話をするから、こっちへ来て」

「うん」

そして、事務室に通された・・・


犬の鳴き声がする・・・当たり前だけど・・・


「じゃあ、杉村くん、君の仕事のないようだけどね」

「その前に、早瀬さん。」

「何?」

「君は、何かの資格もってるの?」

「何もないよ」

「ならどうして?」

確かに疑問だ・・・


「ここの名前みなかった」

「うん」

「早瀬ドックセンター」

「ということは?」

「私の家」

納得した。


「まずはこれを見て」

犬の仕事に関する、仕事を見せられた。

「結構たくさんあるんだね」

確かにたくさんあった・・・


トリマー、ブリーダー、販売士、トレーナー



「犬のトレーナーって、何をするかわかる?」

「うん。飼い主から預かって、訓練するんだよね」

「おおむね正解」

「で、僕に何をしろと」

「犬の世話」

「失礼します」

手を握られえた。


「待ちなさい。」

「えっ」

「もう、前金で払っているので、その分は働いて」

「もらってないけど」

「君のご両親に渡してる」

初めて聞いた・・・


「ところで・・・」

「何?」

「通いだよね?」

「逃げる恐れがあるので住み込み」

覚悟を決めた・・・

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