第15話 戦姫はメンヘラ気味

 



 ドラゴン達が反乱を起こしている最中、ランデル王国ではまだ生きているドラゴンの国葬準備が行われていた。



 ーランデル王国ー



 私の名前はビジュー、女兵士長をしている。

 ある男を戦争で死なせてしまった…ドラゴン殿を…あの時止めていればこんなことにはならなかっただろう。


 その日から国民は一週間黒い服でいることを義務付けた。そして私は毎日教会で、ドラゴン殿が天国に行けることを願っている。



 父からガルーニャ連邦の政変を聞き、新たな王と軍長がランデル王国に来るらしい。



 私も国王の娘という立場から出席はしなければならないが終わったらすぐに教会に戻るつもりだ。



 そう今も私は、教会で祈りを……




「おい。ビジュー、王様がもう来いってさ」

 レッドさんが私を呼びに来た。



 レッドさんは強い。ドラゴンさんが、死んでも全く動じていないのだから。

 現に、今もパンを食べながら話している。




「わかった。向かおう」

 死んだ目で応える。あの日から私の目は死んでいる…私のせいだ。



 宮殿に入り正装に着替えて玉座にある部屋に入って、お父様の横についてガルーニャ連邦の王を待った。



 〈ガチャ〉

 扉が開いて、相手が入ってきたようだ。

 私は顔を下に向けているから相手の顔は分からないが…ドラゴン殿を殺した敵は絶対に許さない。



 彼女の顔は、怒りと憎しみに満ちている。




「おぉ、これはどうなっておるのか…」

 お父様が隣で驚いているようだ。一体どんな奴が王になったんだ。




 そう思って私は、ゆっくりと顔を上げた。






「久しぶりだな。ビジュー」

 そこには、王の正装をしたドラゴン殿がいた。




 あれ?私は夢でも見ているのだろうか…

 いや、夢でもいい。そう思いながら、私はドラゴン殿に抱きついた。



「私が悪いの、私が悪いの、私が悪いの、今も教会で毎日10時間以上祈りを捧げてるの」



 引きつった笑顔で言いながらドラゴン殿の服に涙をなすりつけた。




「いや…祈りすぎじゃない?」

 ドラゴンの顔は引きつっていた。



 ――――――――――なんか、怖いんだが




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