第5話 奇妙なセールスレディー

 僕は記憶を辿る。それは今から1年前のこと。

ピンポンとインターホンが鳴る。

そして言う。この車を引きとっていただけませんか?お代はいりません。

と。


「おい、無料じゃ押し売りにならないだろ。」と茶々を入れる立山。

最終的には1億円払えに変わるのさ。と答える僕。


気持ち悪いだろ無料で車を引き取るなんて、だから断ったのさ。すると。


それなら20万円ほどでいかがでしょう?ときた。

無駄なものは買わない主義なんでね。と答える僕。


そこを人助けと思って引きとってくださいよ?と懇願するセールスレディー

気持ちわるいだろ?だからまた断った。


すると彼女は泣き出すんだ。車屋はガラクタだと言って引き取らないし、廃車にするにも気持ち悪くてする気が起きないと。この車は呪われているのだ。と彼女は言う。


あまりにも泣くものでな事情を聞いてしまったんだ。すると。


なんと言うことか、彼女の彼氏が死んだそうなんだ。その車に乗ったまま。理由は不明だ。死因を調べてもわからないと言う。奇妙な話だ。


そこで警察が捜査したところな。なんと前の持ち主も死んでいたそうだ。

その遺族がその彼女の彼に売ったと言うことだ。


なんとも奇妙奇天烈で気持ちわるい話だろ。

だから……。


「断ったわけだ。頑として。」

頷く僕。


しかし、彼女自分が死ぬと思っているわけだ、そこでそんなことを言うなら死んでやると言うんだよ。僕を殺して自分も死ぬと。死ぬ覚悟の人間ほど恐ろしいものはなくてな。


「最終的には1億円もついでに脅されたわけだ。」立山が正解を言う。


「そう言うことだな。まぁ、死ぬよりは1億払う方がましだろ?その車、説明書付きなんだ気持ちわるいことにね。金塊を乗せて走るとタイムマシンは作動します。1億円相当の金塊であれば1日過去に戻ります。ときたものだ。全く不気味としか言いようがない。」


所有者が次々と謎の死を遂げる金塊が動力で動くタイムマシン。でも、それがまさか動作するなんて誰が思うのだろうか?でも、それは確かに動作したはずなのだ。なぜって、それは立山が僕より先にタイムマシンのことを話した段階で確証がある。


「ところで持ち主で死ななかった人間はいるんだろうな?」立山は別の疑問を口にする。

「そうだな……。一応調べてみたんだが、このリストを見てくれ。」

立山がそのリストを見ると、生存者もいることがわかる。


「絶対殺されるわけではないようだな。どう言うことだろうか?」

謎は深まるばかりであった。




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