第3話 立山の隠れ家
立山の家は10億円の資産があったと信じるにはたるが質素なものだった。低いフェンスに広大な芝生の庭、そしてその中央に建つのは普通の一戸建てだが窓は小さくおしゃれな作りだ。芝生の庭はパットゴルフ場も兼ねている。玄関からはかなり歩かないと家にはたどり着けない。
「それにしても、こんなに土地が勿体無くないか?」
ほとんどの土地は芝生が生えているだけだった。ところどころに支柱が立っており、抜かりなく防犯カメラが設置されている。
「セキュリティーのためには安いものさ。見晴らしが良すぎて、身を隠すことは俺からも通行人からも無理ときている。」
なるほどな。と僕は感心する。まさか公衆の面前で空き巣をするなんてことはできない。これならもし殺されたとしても、犯人は間違いなく逮捕されるだろう。
玄関につくと立山は鍵を開ける動作をすることもなく、そのままノブに手をかけ、
「じゃぁ入ろうか」
と一言いい扉を開けた。
「おいおい、物騒だな、鍵もかけないのか??」
僕は勘違いしたが実はこの家は後でわかるが声紋による生体認証でセキュリティーをかためているのだ。立山が後で僕の声紋もセキュリティシステムに登録してくれた時に僕はその事を知る。
「鍵は開けなくていいけど、ちゃんとかかっているさ、抜かりないよ」
応接間はそれほど広くないがスッキリしていて過ごしやすい。白を基調にしたシンプルなインテリアの構成になっている。
「さて、ここなら誰に聞かれる心配も要らない。櫻井?なんでお前はタイムマシンのことを知ったんだ。そして誰がお前の命を狙っているんだ?一週間後、俺はわからないことだらけで大変だったんだぞ。10億円のことなら気にしなくていい。その金はお前の命を守るためだけでなく、俺が謎を知って自分の身を確実に守るためにも必要な経費だと思っているよ。」
自分のための必要経費とは、なるほど、立山らしいフォローだ。いい友達を持ったな僕は。
「話は長くなるが……。手短に言おう。タイムマシンは、押し売りされた。僕の命を狙っているのはタイムマシンの存在を知られたからだと思っている。なんとなくの想像に過ぎないんだが。誰が命を狙っているかわからないが。タイムマシンは1年前には存在していた。そんなところだ。」
これだけの説明でわかったら天才だな、と思いつつ最小限の説明をする。
なぜ、最小限なのかって?それはそれより急ぐことがあるからだ。
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