第21話開き直り、時には大切だよね。

「はい、では今日の歴史は聖光歴731年から行くわよぉ。はいっ、分かる人は居ますか?」


 クリッシー先生が優しい口調で授業を進める。あの問題児の三人は歴史の授業を取っていない。だからこの教室に居るのは下級貴族か平民ということになる。

 今日も初日同様、良い女が居ないか物色する。


「はい、英雄譚に載ってました。勇者様が魔王を倒したのですよね?」


 え? 何それ……もうちょっと詳しく。そこの小さな金髪天然パーマの可愛いお嬢さん。いいね、キミ。アニメならヒロインやれるよ。

 夏場にワンピースを着崩してぽっちが見えちゃいそうになる感じのヒロインに是非ともなって欲しい。


「ええ、よく勉強していますねアナスタシアさん。その通りです。魔王軍の侵攻が701年から始まり30年。悪辣な手口による計略を用いて激しい侵攻を繰り返された王国と帝国の連合は神に頼らざる得なくなりました。そこで行われたのが勇者召還です」


 はぁ!? 手がかりあったぁぁ!

 おい、普通に授業でやってるよ。と言うか魔王なんてゲームに居なくね?

 魔人族は居るからそこの王が魔王になるのかも知れんが、魔人が悪事を働いたクエストなんて無かったぞ?

 寧ろ世界を揺るがす大型ボスとともに戦ったくらいだし。

 話半分で聞いて置いたほうが良さそうだな。といいつつも続きが気になる。


「召還がされたのは、730年、僅か一年と少しで魔王討伐までされてしまう程の強さを持っていたそうです。その後、王女様と結婚し、勇者様が国王陛下となられました。ですので、王家は勇者様の血族とも呼べる崇高な血筋と言う事になります」


 それは、どうなのだろうか。

 まあ、政治ではそう言うのも必要だよね。その為に引き込んだのだろうし。

 利用してポイじゃなかっただけマシだな。


「それが今から丁度300年前となります。魔素学者の話だとそろそろ迷宮に溜まった魔素が地上に溢れて良くない事が起こりそうだという説もあります。先生はそれが魔王復活なのでは無いかとちょっと思っているのですが、皆さんはどう考えますか」


 いやいや、何で楽しそうなの? 馬鹿なの?

 それがガチだとすると多分、大型ボスが出て来ると思うんですけど……

 お、今度は緑色の髪をした知的な美少女が立ち上がった。


 その子は、明るい緑色で緩く巻かれていて、ローツインテールというツインテールの中では落ち着いた印象を持つ下のほうで結んだ髪を、肩から前に垂らしている。

 ミラと同じく少し背は小さめで150cmあるかないか。

 胸もお尻も小ぶりだが、服の上からでもキッチリと女性らしさを匂わせていた。

 その線が細い体とキリッとした顔つきが知的さを感じさせる。

 にも拘らず若さが見せるあどけなさが今だけの美を強調していた。

 いいぞ、穣ちゃん。もっとだ。もっと見せろ!


「それは、デマだと聞いています。冒険者の皆さんが日々、迷宮の魔物を討伐してくださっているのです。私はそんな事は起こらないと考えます」


 彼女の真剣な声色に、クリッシー先生は少し表情を引き締めつつも、優しい声で語り始めた。


「エレオノーラさんはCランクパーティー『か弱き乙女』の大ファンですものね。

 少し、軽く話してしまいましたが、魔素計測器での数値が上がって行ってる事は事実です。

 何せ、この300年で迷宮最高到達階層は41階層ですからね。

 冒険者の方々は日々命を賭けて研鑽を積んでいる事も重々承知です。

 ですが、それより下は溜まり続けている事でしょう。

 どこで溢れるのかは定かではありませんが、溜まり続けているという事実を知っておく必要があると先生は考えます」


 ぐぬっ、と悔しそうに席に着くエレオノーラちゃん。

 女の子が赤い顔で悔しそうにするのって何故かそそるよね。

 そんな事を考えつつも真剣な表情で耳を傾ける。


「冒険者をしているランスロット君はどう思いますか?」


 指名かよ! てか何の話だっけ。

 何が出てきそうかの予想? アバウトすぎて答えに困るわ!


「ええと、魔素を抜く事が出来れば、何も出てこないのでそれに一票。それと建設的な考察をするのであれば、現在出来る対策を話し合うほうが良いと私は考えます。ですので、冒険者が深い階層へ行ける様に支援するのはどうでしょうか」


「なるほど。それは素敵ですね。ですが、今の所、魔素を抜く方法は魔物を倒す以外に確立されておりません。そこに目をつけての研究は数百年なされているんですけどね」


 おっ、知的な彼女が嬉しそうにこちらを見ている。これは仲良くなるチャンスか? 是非行こうじゃないか。早く昼休みカモン。


「勇者召還ってやつをまたやればいいんじゃないっすか?」


 少し間が抜けていそうだが愛嬌のある少年がそう問いかけた。確かに解決策としては確立が高い案だろうが、いきなり呼び出された身になれよ。

 ってこの国の人間はそんな事わからんか。

 俺もゲームの召還獣が人型だろうがなんだろうが、いきなり呼び出されて可哀相なんて考えた事ないもんな。


「ハル君の言った事が出来れば一番なのでしょうが、それは今の状態だと厳しいでしょうね。聖女様がお生まれになって下さらないと神様とのお話が出来ませんし、勇者召還の術式は複雑すぎて人には扱えないのですよ」


 うほっ、それがマジなら犯人は神様って事じゃん。

 あー、あの動画で呼び出されたと仮定するなら確かにこっちの人には無理だわ。

 だってネットだよ? こっちに無いし。そんなん弄った上に異世界とばすなんて神様くらいしか出来なそうだわ。


「え? じゃあ、同じ事が起こったらやばいじゃないっすか」

「そうですよ。ですからエレオノーラさんやランスロット君は真剣に考えて意見をくれたのです。先生も歴史学者として何か協力出来ないかと日々考えては居ます。皆さんもせめて冒険者の方々には出来るだけ協力する様、お願いしますね」


 そうまとめたところで鐘が鳴った。お昼だお昼。


「ランス、何食べる?」

 と、すっかり緊張が抜けたミラに問いかけられた。

 そこで、先ほど良い笑顔を向けてくれた緑髪の彼女が頭を過ぎる。


「あー、そうだな。ちょっと他のやつも誘ってみないか?」


 ありゃ、渋い顔になった。けど、ここは強行しよう。

 ミラの表情をスルーしつつ、少し前の席の彼女に話しかけた。


「あのう、エレオノーラさん、良かったらお昼一緒しませんか?」

「ええ、私も話したいと思っていたの。冒険者活動の事聞かせて欲しいわ」


 おお、良い感じじゃん。ミラには悪いがある程度仲良くなるまではこっちを優先させて貰おう。

 そう思っていると同じく先生との談話に参加していた彼が話しに混ざってきた。


「あー、いいっすねぇ。俺にも聞かせてほしいっす。卒業したら俺も冒険者になるんで」


 マジかよ。えーとエレオノーラさんの反応は……お任せしますって感じか。

 仕方ねぇ、これで断ったら下心バレバレだし感じ悪いからな。

 彼からも、純粋に仲良くしたいという意思が伝わってくるしな。


「えっと、ハルだっけ? 俺はランスでいいから。よろしくな」


 子供の相手はお手の物だぜ。きっとこのくらいの気安さでいいはず。


「おー、その気楽なノリいいっすねぇ。こっちこそよろしくっす。正直この学校の人たち固いんで俺も話し方こんなになっちゃったっすよ」


 いや、何で釣られてそうなる。と思いつつも話は進んだ。

 じゃあ行きましょう。と彼女に先導されて食堂へと向かう。ミラがちょっと元気なさそうなので小声で『話さなくても構わない。ダメならダメでも良いからな』と頭を撫でておく。

 問題はなさそうなのでそのまま昼食を始めた。のだが……


「それでねぇ! 決め台詞が凄いかっこよかったのぉ~。「お誘いは慎重にね? ごめんなさい、私たち『か弱き乙女』だから」って! くぅぅぅ。今思い出すだけでも胸が熱くなるわ」


 緑髪の少女、エレオノーラは話してみると知的でも何でもなかった。


 いや、最初はイメージ通り、柔らかくも大人びた雰囲気をかもし出していたのだ。

 こちらの冒険譚は深くは話せないので適当に話してから話題を変えると、彼女が好きな冒険者パーティー『か弱き乙女』の話に移った。

 彼女は居酒屋で仕事をしているそうだが、大人しそうな外見からどうにも軽く見られる事が多いそうで、よく絡まれていたらしい。

 いつもの様に絡まれて、今日はちょっと危ないかもなんて思った所で、居合わせた女だけのパーティーに助けて貰ったのだそうだ。

 酔っ払いに圧勝した上にその決め台詞は確かにカッコいいのだろう。だが……


「凄い素敵よね、特にミレイ様よ! ちょっとあわてん坊な所も素敵なのぉ。店のテーブル破壊しちゃったの見て、あわあわしててね。ギャップが凄い可愛いのよ」


 ミレイちゃん達の事だった。

 確かに女だけだったし、Cランクだとも言ってたが。世の中狭いものだ。

 活動も王都だったからありえないほどの事じゃないが。


「彼女達となら一度ダンジョンで一緒に行動した事あるよ。ラーサさんやアーミラさんも知り合いだ。サシャさんとは話せなかったけどね」

「ほ、ホント!? しょ、紹介して!! 何でもするからっ何でもするからっ! あの時は気が動転してて、お礼を言うくらいしか出来なかったの」


 ん? 今、何でもするって……なんてな。

 はっはっは、知っているよ。その何でもするってエッチな事はダメなんだろ?

 それ何でもするって言わないからな!?


「連絡が取れたら聞いてみるよ。優しい人たちだったから、時間があればもしかしたら了承してくれるかも知れないし」

「やったぁぁ、ミラさんの彼氏優しいね。羨ましいなぁ」


 あ、れ……?

 そうか、そうだよ。俺、婚約者ですって紹介したよ!

 てことは、何? 婚約者居るけどエッチしようぜって前提でいくの?

 ……詰んだ。これはもう女の子物色とか無理。退学しよ。


「違う。婚約者は嘘。ランス優しいから守ってくれた」

「そ、そうなんだ? でも何か納得」


 おおおお! まさかのミラからの援護射撃。これが広まればワンチャンある。


「そうなんすかぁ。じゃあ、ミラさん今度一緒に遊び行かないっすか?」

「……無理、ランス以外の男、怖いから」

「うーん、複雑な関係の予感? まあ、友達なら関係ないし、ハルも元気だしなよ」


 あれ……? 嫉妬と不安と罪悪感と自己嫌悪が同時に襲ってくるんだけど……


 怖くなかったら行くのか?

 いや、ハーレムとか言ってる奴が何言ってるの?

 だけど、それでも好きだからって言って断ってくれよ。

 いやだから、自分がハーレムとか言うからこういう状況なんだろ?

 ゴブリンに襲われた女だからそんな心配必要ないとか思ってなかったか?

 は、ははは……惚れた女にそんな事思う俺って……

 ……屑過ぎて自分で笑うわ。

 それにあんな一言で気にするとかちっちゃ過ぎだろ。


 頭の中を衝動的な感情が駆け巡る。


「あれ、ランス、どうしたんすか? 顔色悪いっすけど……」


 あっ、えっと、なんだっけ。

 ああ、こいつがミラを誘ったのか。

 でも、関係が無いって言ったから誘ったんだし、ハルは悪くない。

 寧ろ悪いのは、こんな一言で一々嫉妬した俺だ。切り替えろ。


「いや、大丈夫。それよりハルは魔物と戦った事はあるのか?」


 何とか気持ちを落ち着かせて、彼と仲良く話すことで自分の心をごまかした。

 

 食器を戻して、四人で教室へと戻る。


 こんな風なのが続くなら、娼間でも行った方がマシなんじゃないか?

 いや、考えるのをやめよう。もやもやが酷くなる。

 だと言うのに、ハルもエレオノーラもテンションが高い。だから必死に隠した。

 ここで変な顔見せれば折角ミラも話に入れた相手と疎遠になってしまう。

 そう思って笑顔を貼り付けた瞬間だった。


「クソがっ! 誰にぶつかったと思ってんだこのクソガキ!」


 廊下の真ん中で、蹲った女の子を力の限りに踏みつける男がいた。

 あれは、イゴール・ディケンズ。侯爵家の次男坊だったか。

 ってあの子、金髪の天然パーマが似合うアナスタシアちゃんだ。

 はぁ、この苛々してる時にこんな光景見せやがって……


「ハル、エレオノーラ、悪いけど先に教室行ってて」

「いいっすけど、あれに首突っ込むのはマジで止めた方がいいっすよ?」

「うん。もう何度も見たけど、貴族ってああいうものでしょ。ぶつかった方が注意不足。魔物に突っ込んで行ったようなものよ。飽きれば立ち去るから……」

「ごめん。行っててくれる?」


 もう一度有無を言わさずに告げて、彼らが連れだと思われない距離に入った所で行動を開始した。

 こういうのは元々見ていられない性質なのだ。

 だから、屑過ぎた自分を良く見せたい訳じゃない。

 共感覚って奴だ。昔もこれに引っ張られて手を出して、苛めのターゲットが俺に移ったっけ。

 自分が虐げられた時を思い出す。元々辛そうなの見るのがキツイのに、いじめを受けてからもっとそう言うのを見るのが辛くなった。

 『サンクチュアリ』彼女の場所に敷く。さて、どうしようか。


「ミラ、正面から止めていいと思うか?」


 良い訳ないよな。知っているけど口に出ていた。

 俺とミラは入学からペアだし家も一緒だ。巻き込まれるだろう。

 それに俺が何かされてたら自ら入って来てしまいそうだ。

 やっぱりハルとエレオノーラが言っていたように、見ているべきだろうか。


「良くない。けどやるんでしょ? それともあれくらいなら見ていられる?」

「多分大丈夫。苛々するけど……」


 『サンクチュアリ』が切れるまでは痛みは一瞬で引く。辛いだろうが、痛みが残らないのは精神面でも肉体面でも凄く大きい。


「出来るなら我慢して欲しい。まだ、準備が足りない。彼女ならランスがケアをしてあげればすぐ心の傷も身体の傷も全て治る」

「それは買いかぶり過ぎだろ……ミラの事も癒せてない。それにハーレムなんて言っちゃってる男だぞ? 屑男だ」

「最近……ずっとそれ気にしてたの? 凄い勢いで癒されてるよ? そんなの無理だと思ってたのに自分で分かっちゃって混乱するくらいに。今は、死にたくなくなった。ランスが居てくれたから。私にとって最高の人になった」


 すぅっと、苛々が抜けていく。

 ああ、何で鬱モード入ってたんだろう。

 それにしても、最高の人かぁ……

 その一言で簡単に感情が反転するくらいには俺も依存しているらしい。

 じゃあ、これくらいさくっと解決すべきだよな。最高の男ならば。

 飽きもせずに蹴り続けている男の下へ歩く。


「もう、良いだろう? 制裁になっただろう?」

「誰だ貴様は、お前などが話しかけていい存在では無い。早々に消えろ。このガキみたくするぞ」

「じゃあ、俺が代わるよ。俺にやればいい。丁度いいだろ? 編入したばかりだ。見せしめが欲しいのだろう? 威圧して、凹ませて自尊心を満足させたいんだろう?」


 そうだ。こいつの攻撃なんて俺には効かないんだ。攻撃する必要はない。ミラだけを守ってやれば良い。ずっと一緒だ。何の問題もない。


「貴様、死にたいらしいな。良いだろう」

「んじゃ取り合えずちっと待ってろ」


 彼女、アナスタシアちゃんを抱えてひとっ飛びで視界外に移動。

 隠れているミラに預けて再度彼の元へ戻った。


「ほう、冒険者と言うのは嘘では無い様だな」

「何でそう思ったんだ?」

「ふん、教養もない貴様には分からないだろうな! ミミアラ、レレラルレルアラ、レアラ『ファイアーボルト』」


 うわぁ、相変わらず気持ち悪っ。何だよあの詠唱。中二病の方が断然いいわ。

 エイリアンが喋ってるみたいだし。

 一応『マジックシールド』張っておくか。 

 ってよわっ! 何この『ファイアーボルト』……

 遅いし、小さいし、これで良く魔法の形を保っていられるなと感じてしまうわ。

 『マジックシールド』使ったのが恥ずかしくなる。


「終り?」

「カスがっ! 舐めるなぁ!」


 パンチにキックに魔法。取り合えず全部食らってみたけど、あっちの方が痛そうだ。


「全部食らったし、気が済んだか?」

「本気で舐めているようだな?」

「舐めてないから全て避けずに食らっているんだが」

「覚えて居ろよ。必ず殺してやる。平民を痛めつけるのは我らの義務だからな」


 ミラに心を浄化して貰った後でよかった。下手したらキレて殺しちゃってたかも。頭きて一発顔でも殴ったら即死だろうからな。

 ……よく考えたら怖いな。


 それにしても痛めつけるのがって、凄い義務もあったもんだな。

 ってもしかして本気で言ってるんだろうか?

 まさかな。売り言葉に買い言葉的なものだろう。

 家の教えとかだったら王都を出ることも検討しよう。


「えっと、その義務って貴族全体の考えなの?」

「当然だろうがっ! 今更何を言っても貴様は死刑だ。覚えていろ」


 うわぁ、顔真っ赤にして去ってったよ。これは油を注ぎすぎたか?

 まあ、オーガが倒せるレベルだと知れ渡るまでの辛抱だ。

 その前に、周りまで巻き込むほどに手を出されたらどうしようか。

 うーむ。相当きついの御見舞いして追い込んでやらないと繰り返すだろうから心を鬼にしてやろうか。

 相手が女じゃない時の俺を舐めるなよ。覚えていろ。

 ……あいつと同じ言葉を使ってしまった。何だか恥ずかしい。


「うっわぁ、ホントに助けちゃうんだね。ランスロット君て聖職者か何か?」

「俺も、ビビったっす。ミラさんが信用し切るのも頷けるっすね」


 ドアの隙間から様子を見ていた二人が近寄ってきた。君達、あいつが教室に入ったらどうするつもりだったの? とばっちり食うよ?


「俺は、痛そうにしてるのを見るのが苦手なんだよ。あと、女の子限定。エロいお礼を期待して助けているんだ。してくれた人は居ないんだけどさ……」

「嘘、私ちょっとはエッチな事させているはず……お尻触ったの許したり……」

「「ええぇぇ!?」」


 そ、そこ言っちゃう? でも、オープンの方が気楽かも。

 そうだ、下手に隠すからダメなんだ。開き直っていこう。


「あれくらいはエッチな事のうちに入りません。という事でアナスタシアさん。お友達からお願いします」


 そう話しかけてみたのだが、言葉を返してきたのはエレオノーラだった。


「あはは、さっきの話叶えてくれたら私もお尻くらいならいいよ?」

「ちょ、ミラのせいで俺がお尻マニアみたいじゃねーか。それに中途半端にするのばかりじゃ逆に辛いんだよ男は。お尻ばかり渡されても困る! どうせなら最後まで宜しく」


 おお、開き直れた。勢いってすげーな。

 てか、アナスタシアちゃんがついて来れなくて目を真っ赤にさせたまましぱしぱさせている。取り合えずこのロングでふわっふわな髪を触ってみたいので、撫でてみた。

 やっと、こちらに反応を見せてくれたが、酷く困惑しているようだ。


「わっ、わわっ、あの、ごめんなさいっ。私のせいでこんな事に……」


 にしても、ちっちゃいなぁ。140cmあるだろうか?

 だが、俺はチッパイ系も行けるぞ。寧ろご馳走だ。

 若い子で可愛ければ何でもいける。

 いや、13歳未満は無理だな。

 体が小さいのはいいんだけど、実年齢がそこまで低いと精神的に無理。

 おっと、早く言葉を返さないと可哀想だな。


「大丈夫、大丈夫。俺、こう見えてBランク冒険者だからさ。人つれて来ても負けないから。安心して自分の身を守ってて」

「「「ええ~~!?」」」


 あ、そんなに驚いちゃう? ああ、それはそうか。今は大人に見えないし、学生が一流アスリートだったみたいなもんだもんな。


「Bランクって、だ、だからミレイさんたち組んだ事があるんだ?」

「だね。エレオノーラさんが言っていた通りいい人たちだったよ」

「待ってくださいっす。こ、今度装備見せてほしいっすよ。どんなのつけてんすか? 俺防具とか武器とかめっちゃ好きなんすよ」

「それくらいなら勿論いいよ。借家だけど、今日の帰りにでも寄ってく?」


 と、話が進み、このまま全員でうちに寄って行く事が決まった。

 ミラもお尻触らせたと言った辺りから、少しだが人見知りが抜けてきたようにも見える。

 じゃあ、折角出来た友達だし、軽くパーティーでもしちゃおうか。

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