第21話

ゆかとの距離がだんだん近くなるにつれ

俺はゆかに対して

他の奴とは違う感情を思い描くようになった。


ドン臭くて、鈍そうな女。

そう思っていた

隣の席の女。


毎日が俺の楽しみになっていた。

これがばあちゃんが言ってた

好きって感情なのか?


そんなことを思いながらも今日もゆかをからかう俺がいる。


「ゆか、お前太った?」


寒空の下、ベランダ越しに話す俺たち。


「レディーにたいして失礼!」


「え?女だっけ?」


なんて、冗談を言い放つと

一瞬ゆかの表情が曇るのが見えた。


「なっ!」


さすがに意地悪しすぎたか?


「嘘嘘、ゆかは可愛いよ。」


なんてがらでもない言葉を言ってしまう俺がいた。


ゆかは顔を真っ赤にさせながら

お風呂に行くといい背を向けた。


「ゆか」


自分の気持ちが抑えきれず

漏れる言葉。


我に返り、誤魔化すように


「今日の下着は黒?」


なんて。

ゆかは怒って

勢いよく窓とカーテンをしめた。

俺、本当デリカシー無さすぎじゃね。

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