第20話

時間が経つのは早く

気がつけば夕日が沈んでいた。

春とはいえまだ夜は冷え込む。俺はゆか別れを告げ、屋上を後にした。


家に帰れば明かりがともっていた。

ゴソゴソと何かをしている母親。


「何よ、そんな目で見るんじゃないわよ」


「は?別に普通だけど」


「やめて、あの人みたいなこと言わないで。汚らわしい。悪魔」


そう言って母親は家を飛び出していく。

どうせ新しい男だろう。

どいつもこいつも。


イライラがこみ上げてくる。


気分転換にベランダに出ると

目の前にはゆかがいた。


「かっこよかったな」


ボソリと呟くゆか。

目の前にいる俺には気が付かないようで。


「矢田め、、負けてたまるか!」


なんて言うもんで


「あー俺も負けないからな。ゆか」


するといつから底に!?と言わんばかりに

驚いているゆかが間抜けで思わず笑ってしまう。


「家、隣みたいだな」


どんどん顔が赤くなるゆか。


「終わった、、とゆうかいつから!?」


「かっこよかったのくだりから?」


やっぱりゆかは面白いやつだ。

さっきまでのイライラが一瞬で消えた。


「べ、別に矢田くんの笑顔がかっこよかったなとかじゃないから!アニメのキャラクターだから!!」


必死に否定するお前があまりにも可愛すぎて

つい、いじめたくなる俺がいた。


「ふーん、まぁ、俺に惚れるなよ?ゆかちゃん」


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