第50話 終わり

「まあ、そうでしたか。興味深いですわね」

「良ければ今度、遊びにいらしてください。本しかない、つまらない場所かもしれませんけど」

「ありがとうございます。是非」


 そこで私は考える。そういえば、この世界の文字はどうなっているのだろう、と。

 この世界を知るという意味では、図書館に顔を出すのも良いかもしれない。が、文字を読めないとなれば話は別だ。言葉は分かるのだから、文字もわかるのだろうか。なんだか混乱してしまいそうだ。


「では、一声かけたかっただけなので……失礼します」


 頼りなさげな背中に一礼する。

 辺りを見回すと、パーティも解散の方向に向かっているらしい、人影が少しずつ出口へ吸い込まれている。此処までは何とか順調だ。


「わ、私たちも帰りましょうか……流石に少し疲れたわ」

「お疲れ様、お姉ちゃん。格好良かったよ」

「貴方達がいなかったら危なかったわ。倒れてしまっていたかも……」


 健在であることを示す為に来たのに、倒れてしまっては本末転倒だ。

 足を踏み出すと、ふら、と眩暈がした。先程のアルコールのせいだろうか。この世界のロベリタの身体はアルコールに慣れていない、そういうことなのだろう。少し、飲み過ぎてしまったかもしれない。

 ふらついていると、セシルが手を差し出してきた。少し考えたが、今は素直に甘えることにする。手を取ると、ドレスグローブ越しに暖かい体温が伝わってきた。

 アランが不満そうな顔をしているが、此処は我慢してもらおう。そのまま、パーティ会場を後にすることにした。しかし――


 出口を出て、人気もまばらな場所に出た、その時だった。

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