第49話 頭に血が上ってマス。早く魔王のとこに着いてくれぇ! そしてワタシを降ろしてくれぇ!
「なぁ、どうしてもこの運び方じゃないとダメ?」
「まぁ、食料枠だからな。身分証無くても入れるだけマシと思ってくれ……」
私をコレ呼ばわりした鎧のお相撲さん──ラウルが居心地悪そうに言ってきた。
ラウルは案内役として、前を歩いてくれている。
因みに今私は、豚の丸焼きみたいに手足を棒に繋がれてリーナとアレスに担がれている。
景色が逆さまに見える。
おい!人権!じ・ん・け・ん!
ちょっとくらいは尊重してよ!
と、訴えたいのは山々だが、オーク村に入るにはこの方法しかなかったので妥協してこの状況に至る。
「そもそも人間が魔大陸にいること自体があり得ない。このオーク村に人間が解体された状態でたまに運び込まれることはあるが、生きた奴を中に入れたことなんてないんだ」
……解体か、やっぱ人間食うのか。
そうならないように仲良くしとこう。
作戦はこうだ。
ワタシを解体しようとする→思い返せばワタシとの楽しかった思い出→情が湧いてます→情が湧いてます→情が湧いてます→「俺はコイツをこ、殺せねぇよ!うわぁあぁあーーー!」→抱きしめ合う二人→ エンダアアアアアアアアアアア
うん、決まったァ!
これでいこう!
でも、今はやめとこ。
急に距離詰められても気持ち悪いだろうしね。
距離感、大事だよね!
今は普通に。
「よく解体してない奴いれたな」
「今回は例外だ。魔王様の侍女長は有名だしな。そのお方の願いとあらば聞かんわけにゃいかんさ」
「リーナ有名なの?」
「さぁ、噂など気にしたことがありませんし」
クァーッコイー!
噂など気にしたことがありません。
人生に一度は言ってみたいセリフだねぇ。
「しっかし、ここまで警戒心ない人間も珍しい。普通に話した人間は初めてだ」
「そうか? じゃあ今度からは解体する前に喋ったらどうだ?」
「ちょっとぉ、殺されるとわかっていて会話をしようとする人間なんていないわよ。いても貴方ぐらいよ?」
「……一度、お嬢様がどういう思考回路してるのか覗いてみたいです」
「なんか失礼じゃない⁉︎」
なんか珍獣扱いされてる気がするのはワタシの気のせいだと思いたい。
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