第50話豚の丸焼き寸前の状態で移動してたとき、通りすがりの魔物たちが私を蔑むような目で見てきた。ワタシ、SMプレイ好きのアブノーマルではございませヌ



「来たな……」


なんかアメリカの横に長い国会議事堂みたいなとこに入っていったら、廊下で陛下が腕を組み壁にもたれて出迎えた。


……来たなって?


「え? 来るの知ってたのか?」


「魔力感知投影で、こっちに向かってるのが見えた」


「え? 陛下盗撮してたの? イヤン陛下のエッチ!ロリコ──⁉︎」


ぐわし!


「うブッ⁉︎」


身動きが取れないままイヤンイヤンと腰をくねらせて、ロリコンと言いかけたところで顔面をぐちゃってされた。


ギリギリと頬の肉が歯に食い込んだ。




絶対切れた絶対口ん中切れた!


うおぉおぉぉぉーーーー‼︎


滅茶苦茶痛えぇえぇぇ!





"大変申し訳ございませんでした"

と謝罪したいとこ。


魚の口みたいにしか唇がピスピス動くだけで、発声には至らなかった。


顔を覆った陛下の指の間からチラリと陛下の顔が見えた。




ヒィッ!




随分とご立腹なご様子でいらっしゃった。


瞳が赤黒く輝いていらっしゃる。


会話でなくとも謝罪の方法はある。


とりあえず、芋虫のように身体を折り曲げて頭を下げた。


謝罪を受け入れてくれたようで、ようやく手を離してくれた。






ここで一句。


魔王には  冗談とやら  通じない


ワタシが今学んだことの心の俳句。




「魔力感知投影は、魔大陸の結界に何かが触れたときや魔力保有者に対してのみ発動できるものだ。つまり、魔力のないおまえではなく、魔力のあるリーナに対して発動し行動を見ていたのだ」


「え、じゃあ陛下……」


「陛下は私を……」


「あらやだぁ陛下、やっぱりムッツ───」



ぐわし!



「おまえ達、死にたいのか?」


今度は、アレスがムッツリと言おうとして、顔面をメキメキと締め上げた。



「「ヒィッ!」」




リーナと私は、陛下にガン飛ばしをくらい、身体を震わせたのだった。






陛下に冗談は通じないが、その他はそうでもなさそうだ。


むしろノリが良い。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る