第48話 発展というのは、実に皮肉なものだ。
タララランラララランララ~♪
あの有名なビフォア◯フターのメロディを脳内に流してみる。
なんということでしょう。
目の前に見えるのは、雑居ビルや高層マンションという文明の賜物ではありませんか。
……。
……………。
「うおい! 木造建築はどうした⁉︎ 発展しすぎだよ⁉︎ 村ドコいった⁉︎」
見たかった。
オークの木造建築……見たかった。
不器用に作られたオークの家が見たかった……。
ワタシ、第二弾のカルチャーショックキテます。
両手で後頭部を押さえて、ミュージカルの出演者のごとく全身でショックを表現した。
「お嬢様!暴れないで下さい、落としますよ!」
……『落ちますよ』じゃなくて『落としますよ』って言った?
き、気のせいだったと思いたい。
「はい、すみません」
恐怖を表に出さず素直に謝罪できるワタシ偉い。
そして、
オーク村? の前に着いて、リーナの背中から下ろしてもらった。
門という立派なものはなくて、警備みたいな奴が十人くらい立っている。
鎧で覆われていて、顔はわからないが体格は結構大きい。
お相撲さんの魔物バージョンってこんな感じかな?と思う。
オーク村だからオークが警備してんだろうな。
リーナとアレスは警備隊にカードを見せていた。
警備隊の一人が私に歩み寄り、鎧の頭を近づけてきた。
「身分証は?」
「ないよ?」
「……おまえ、ニンゲン?」
「うん」
「何でこんなとこいんの?」
「魔王に会いにきた」
「勇者?」
「いいや? 世界一か弱い女の子よウフ!」
とぶりっ子しながら上目遣いできゃるんとして答えた。
違うな、いまは世界一ぶりっ子上手い女の子だ。
「何コレ?」
と、鎧のお相撲さんが私を上から指差してリーナたちの方を見た。
おい、コレ呼ばわりすんなし。
「あぁ、連れよ」
「お嬢様、世界一か弱い女の子はそこまで神経図太くないです……」
「失礼なやっちゃなぁ、おいっ!」
本来、身分証がないと村には入れないらしいが、ワタシは「食料枠」で通れた。
人権無視かよ! 訴えてやる!
いつかな?
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