第47話あの魔物って、ここでは何色? やっぱ緑が定番だよな!
「ところでリーナ」
「はい、なんでしょう?」
「今、魔王って何処にいんの?」
「オーク村にいらっしゃいます。今日は視察ですね」
「へぇ~、オークの村か。オークって何色?緑?」
「……茶色ですよ。というか一体、何食べたら緑になるんですか?」
緑じゃないの⁉︎
リーナ、そんな「あり得ないでしょ」みたいな目をコッチに向けないでくれ!
いま私、すごいカルチャーショック受けてんだから!
でも、私はもう11歳で大人の階段を登りつつあるからね。
取り乱さず大人な対応してみせるさ。
「さぁ?」
「さぁって、見たことあるんじゃないんですか?」
「本は緑で描いてあったんだよ」
どうだ、これがクールな大人対応というやつだ。
結構サマになってるねワタシ。
と、思うと同時に心の内ではふんぞりかえって威張る私がいる。
心までは大人になれなかったようだ。
「……その本、もう読まない方がよろしいかと、間違ってるので。正しい情報が記載された本をまたお渡ししますね」
「別にいいよ。本のことならアレスに聞くし」
「……お嬢様? 先程、アレス様に何と言われたかお忘れですか?」
「明日以降に殺されるらしいな。じゃあ、今日なら大丈夫なんじゃないか?」
「……さすが、危険な魔大陸で呑気に大の字で寝ていただけのことはありますね」
「いや、好きでそこで寝てたわけじゃないから。できればもっと安全な土地で寝たかったから。私そこまで神経図太くないよ」
「またまたぁ~」
後方から茶々を入れてくる殺人未遂犯、マジでイラッとする。
「ちょっと、否定しないでくれるかな⁉︎」
私にだって危機感とやらは持ち合わせてるからね⁉︎
「てか、このままオーク村行って大丈夫? 私食べられたりしない?」
「……今、それ心配します? ガルシアも人間食べますよ?」
「アレはアレで、コレはコレだ」
アレは大丈夫なヤツだ。
だって、アイツのメンタル豆腐だからな。
リーナも思う所があったのか、
「あぁ、それもそうですね」
と言った。
***
一方その頃のガルシアは、城の警備をしていた。
「ブェワオクッション!」
「おいおい、大丈夫かよガルシア。風邪か?」
「風邪じゃねーな。誰かが俺のウワサしてるんだ」
「モテもしないやつが、何言ってんだか……」
やれやれと呆れまぎれに掌を上に向けて首を横に振る同僚。
「うるせーよ!ブェワオクッション!」
ガルシアは、遠吠えを交えながらのクシャミを披露していた。
***
「あっ、見えてきましたよ。あれがオーク村です」
「どれどれ、おぉっ!」
な、何アレ?
オーク村ってより、オーク都市じゃね?
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