第46話平行線。どっちかが止まらないと終わらないヤツ。わかってるけど、でも止まるのは結構勇気いるんだよな。

かれこれ30分くらい追いかけっこしている。


追いかけっこっていうか、逃げてんだけどね?


あ、今お城の外出てて、なんかずっと森ばっか見てる。



ちょっと飽きてきたな。





後方のアレスから殺気はさっきより感じない。


殺気だけに? なんつって。


冗談が言えるくらいには、余裕が戻ってきた。


真白ちゃんふっかーつ!イェイ!チェケラっ! と私は心の中でラッパーみたいにふざけていた。


「リーナ?」


「はい、何でしょう?」


「さっきより、リーナ減速してない?」


「してますね」


「え、やっぱり? ってことは、私に死んで欲しいのね、ヨヨヨ」


とお得意の嘘泣きをする。


「違いますよ! なんていうか、アレス様も興がさめたのか、一定の距離を保ったまま追いかけてきてる気がするんですけど」


後ろのアレスを見ると、なんか視線がグルグルしていて迷ってる? ような顔をしている。


殺すかを迷ってる?

興がさめて追いかけっこを止めるタイミングを迷ってる?




まぁ、一回聞いてみるか。




「おーい、アレス! 私を殺す予定はあるかー?」


私の質問にちょっと首を捻って悩んだ。


「今日は予定ないけど、明日以降はあるかもー!」


「そうかー! わかったー! このまま魔王んとこいくわー」


「わかったわー!」








このまま、三人で魔王んとこにいくことになった。




………。



………………んん?



うん?


アレ? 




あっれぇ? 私、今さらっと怖い会話してなかった?




って、マジかよ、明日以降私、アレスに殺されることになってんの?











「お嬢様……後でお医者様に頭を診て頂きましょうね」


リーナが何とも言えない顔をしてみてきた。



リーナ、きみは遂に私にまで毒を吐くようになったか。




「フッ、大丈夫だよリーナ。私は通常運転だ」







ってか何? このシュールな感じは。


私、殺人未遂犯と普通に会話して、一緒に魔王んとこに行くことになってるよ。






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