第11話「壁地獄 突破編」

「全然簡単だったね、今回は」


そういって、胸元から生徒手帳を取り出した(デートできてるはずなのに律儀なする男)は、メモ欄に先ほどの漢字の表を書き出した。


露呈古城外囚人

刑務閣内患牢天

真実兄衝激大地

内定員動流海原

心拠占国債尊敬

因原領土交通省


「よ、よく覚えてるわね、するおくん……」

 すらすらと漢字を書き出していくことに、ラビィは驚きというか少しひいていた。


「え、このくらいは結構覚えられない?」

「ぜ、ぜったい無理だって、ただでさえ暗記苦手なのに……」

 いったいじゃあ、ラビィは何が得意なのだろうかとする男は思ったがもちろん口にはしなかった。

「まあ、で今回のケースはとりあえずここに注目しよう」


外囚人

患牢天

激大地

流海原


の部分だけをするおは□で囲んだ。

するとはっとした顔でラビリンスは口を開く。

「あっ、さすがも私でも最初の部屋が牢を指してることはわかったかも!」


「そうだよ、らびぃ!そして、ラビィがさっき開けた場所には水が大量にあったんだろ? それはきっと海を指してるんだ」


「あ、そうか。じゃあいま私たちがいる部屋は」


「大の部屋だろうね。そしてさっき僕は右側、この表で見るなら、大の左側に手をつ込んだ時に電流のような衝撃が走った」

 そういいながらするおは、大の隣の「激」を指さす。


「ああ、だから衝撃が走ったのね。じゃあ、危ない漢字が書かれてる部屋はやばいってことかしら……」


「たぶんね」


「それで、それはわかってるけど結局どうしたらいいの?どこに行けばわからないんだけど」

 ポカーンとふしぎな顔をするラビリンス、しかしそれを見て困惑するのはするおだった。


「いやいや、なんでわからないのラビィ。思い切り『外』って書いてあるじゃないか」

 それをきいて大げさに驚いてラビィは指を「外」にさす。


「ほんとだぁ! じゃあそこに行けばいいのね。じゃあ最短距離はさっきの部屋に向かって、左の壁を壊して、上に向かえばいいんだ」


 ラビィ案は以下のとおりである。


外 囚人

患←牢天

  ↑

激 大地

流 海原



「まあ、そうなんだけど……。『患』が怖いんだよなあ。病原菌とかちりばめられてるとかありそうで、だから安全策なら、右から行くべきかなあ」


これが、するお案である。


外←囚←人

    ↑

患 牢→天

  ↑

激 大地

流 海原


「それは、それで、囚が怖くないかしら? 天も何が来るかわからないし……」


「それはそうだけど、ほら『囚』の部屋はここから鉄格子越しで見えてるし、なにもなさそうなのわかってるだろ。まあ、天と人なら問題ないんじゃないか?」


「そうね、患よりはましな気がするね。じゃあ、右から進みましょう。

 Here we go!」

 そういって、ラビィは右手を右の壁の方に向けて指をさす。

 さらには何やら助走の態勢をとろうとしていた。

 あわてて、するおはその行動を止めようとする。


「落ち着け、体当たりする必要なんてないんだ!普通に押せばいけるんだぁ……」

 しかしその言葉は遅く、すでにラビィは右の壁に突っ込んでいってしまったのであった。

「……oops…… 」





 その後何とか二人は、無事に『外』にたどり着くことができた。


「まさか、天の部屋が、天ぷら食べ放題の部屋だとは思わなかったね……」


「……うん、胃がもたれそうで、つらみ……」

 お腹を押さえるラビリンスだったが無理もない、彼女はなぜかキス天を10個と食べたのである。


「それにしても、ここは一体……」

 

 『外』にたどり着いたするおたち、そして確かに部屋から脱出することは出来たのだが、そこに広がる空間にはうって変わって何もなかったのである。


 そこにはひたすら何もない白い空間が広がっていた。

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