第9話 第三の部屋 解決編

 この部屋に入ってから数時間、ようやくするおは何かに気づいたようだ。


「そうか、なるほど確かにこれはパックマンだ」

 そういいながら、するおは空中を指でなぞっている。

 その指の方をラビィも見つめる。

「パックマンがわからない私には本当に全然わからないけど、それにしても今回はずいぶん時間かかったね?するおくん」

 皮肉たっぷりにラビリンスは言った。

 かれこれ数時間くらい解答が出ずに、立ち尽くしていた二人だった、するおは考えていたのでまだしも、ラビリンスは本当にただ退屈であった。


「うーん、完全にミスリードに引っかかってたんだよ。国土交通省とか、原敬とかさ、歴史に関連する何かかなあと思ったんだけど、まったく全然関係なかったよ。これ全然漢字が関係ないんだよなあ」


「焦らさないで、はやくおしえてよー」


「実はさパックマン知らなくてもいいんだよ、要はこのオブジェの口の中に入れるものが何かなんだから、口を考えればいいんだよ。口の中にあるものはなにか?」


「――あっ、わかったあ。口の中にあるのは、因、国、囚のどれかってことね。でもどれなのかな? まあ、でも人は入らないし、大じゃよくわからないから、玉しかないかな、でもなんかそんな適当でいいの?」


「もちろんよくはないんだけど、正解だね。当てずっぽうで正解になってしまうのは製作者側のミスといってもいいと思う。一応だけど、正確にはパックマンを考えることになるよ、実は↓から口のついた漢字をなぞっていけばいいってことだったんだよ」

 するおは、画面を指さして、漢字をなぞっていく。

 ラビィもそれを見る。

「あーぁ、言われてみればはっきりするね、確かにするおくんの指さす漢字にはすべて口って漢字が入ってるよ。なんで気づかなかったんだろう……気づけばこんなにはっきりしてるのにぃ、くやしいよぉ」

城外囚人

刑務内患牢天

真実衝激大地

内定動流海原

心拠債尊敬

因原領土交通省


ご覧の通り↓から始まって・のついた感じにはすべて口という感じが入っている。そしてそれをパックマンが玉を呑み込むがごとく、たどっていけば国にたどり着くのである。


「そして、パックマンが口の中に入れたのは、国の中の漢字、つまりは玉ということだね、さっそく部屋の中から玉を探しだして入れよう」

「なっとくぅ、オッケー」

 二人は、部屋中を探し回って玉、球状のものを探す。


 すると、積み木入れの中に入っていた木のボールと、その辺に転がっていたぼろぼろの野球ボール、同じく無造作に転がっていた新品のサッカーボールが見つかった。

 

 ラビィは積み木入れのなかの木製のボールを手にしながら、首をかしげる。

「うーん、どれかな? まあ、玉ならどれでもいいっか。さすがに玉のヒントなんてないしね」

「いや、これにも……」

 とするおがラビィの質問に答えようとした瞬間、

 答えを待たずして、ラビィは手に持っていた木製のボールをパックマンの口の中に放りこんでしまった。


「ラビィ、何をやってんだよぉっ――――!!」

 するおはそう叫ぶと、いそいでパックマンの口の中に手を突っ込んで木製ボールを回収しようとするも、時すでに遅く、ボールは口の中に吸い込まれた。

「え!わたし何かしちゃった?」

 慌てるするおを見て、逆にラビィは驚いてしまった。


 そしてパックマンから、音声がいやサウンドが聞こえてくる。


 てぃうてぃうてぃうてぃうーーーでぃでぃっ。


 それはパックマンがやられたときのサウンドだった


『不正解です、二人には再び地獄に落ちてもらいます』

 どこからともなく声が聞こえる。

 するとパックマンは大口をあげて、二人を吸い込みだした。

 二人の体は同時に、頭からパックマンに飲まれていく。


「うわーーっ、何よこれー、これじゃパックマンじゃなくてカービィ―じゃないぃーーっ!」

「そんなこと言ってる場合かー、今回の正解は、外にされてたいボールだったんだよー、そのくらいわかってくれラビィ!ラビィのバカー!」

 それはするおの心からの叫びであった。

 

 またしても二人はラビィのチョンボで次の地獄へと吸い込まれてしまったのだった。

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