第7話「数学地獄 解説編」
「わかったって、マジかい?ラビィ、とても頼りないけど」
「うん……私には2進法とかわからないけど、これって12個ずつ数字書いてあるじゃない、だから12個のものを考えたの。12っていえば、カレンダーでしょ。そうやって考えたら答えわかっちゃった、0が30日までしかない月で、1が31日までしかない月、8は2月ってことだよね」
ラビリンスの思わぬ発言に、するおはどうせバカなことを言うんだろうと期待していた自分を殴りたくなった。
同時にこの謎が一気に氷解した。
「すごいよラビィ、もうそれがわかれば解けたもも同然だ」
するおは、親指をあげて、ぐーっというポーズをラビリンスに示した。
「でもね、だからと言って、4桁の数字になると思えないのよ。10月ってことはわかるけど……」
するおはガクっとなった。
なぜそこまでわかって続きが出てこないんだろうか。
「あ、わかったぁ……! 10月ってことはオクトーバー、オクトってことは、
【0910】じゃないかしら? オクトって読めるでしょ!」
「て、天才だ!」
目の前にいる天才の回答に、思わずするおは称賛してしまう。間違いなく自分には出てこない発想。
うすうす、ラビィは馬鹿なんじゃないかと気づいてはいたが、通り過ぎて、天才、いや神の領域に達しようとしていた。
これでもし、ほんとうに回答が0910.10だったらするおはこの問題の製作者を許さないであろう。
「いやいや、ラビィ、それだったらこのうるう年を示した8889の並びが意味なくなってしまうだろう」
「うるう年?」
「いやいやなんで、うるう年知らないんだって、4年に1回、2月が29日まであるでしょ?」
「それは知ってるけど、それがわかったからって、①の場所が何年かなんて特定できなくない?」
「それができるんだよ、うるう年は100年に1回、うるう年じゃなくなるんだよ。なんでそうしてるかを説明すると、ややこしくなるから割愛するけど、100年目は8889の並びが8888ってなるんだ。もういちどみてみよう?」
そういって、するおは再び①のある個所を指さした。
010110101191
010110101181
010110101181
010110101181
010110101191
010110101181
010110101181
010110101181
010110101191
010110101181
010110101181
010110101181
010110①01191
010110101181
010110101181
010110101181
010110101191
010110101181
「でもそれだけじゃ、全然……。それに、①のところの周辺って8888の並びがないじゃない?」
「それがポイントなんだよ、うるう年は400年に一度通常のうるう年扱いになるんだよ。だから400年周期のところは普通に9888となる。
この9の箇所は本来100年周期のところで8888のはずなんだけど、普通に9888ってなってるから、これは要するに400の倍数の年ってことなのさ」
ここ一番のどや顔でするおは説明をした。
どうだおれは賢いだろうといわんばかりである、内心では高校生でうるう年をここまで知ってる奴は自分しかいるまいとさえ思っていた。
「ごめん、するおくん、ちょっと何を言ってるかわからない」
どや顔をよそにラビィは少し引き気味に返答する。
「そ、そんなぁ……まあだからとにかく、この数字の1番上の段は、400の倍数だと推定される。入力スペースが4桁なので、1200,1600、2000のどれかだろう。まあ、2400、2800ってことも考えられるけど、ここから下に17段しかないことから考えても、2000年じゃないかな。一番下が2017年。ということで①の場所は、上から数えて2011年にあたる。答えは、2011年10月。
2011.10だ!」
するおは勢いよく、数字パネルに2011.10と打ち込んだ。
するとキューンっという音をたてて、周りに01が羅列されてる壁がバグったかのように目まぐるしく変化していった。
0と1と8はちかちかとその場所を変え、キューンという音は続く。
「どうなの!?間違いなのかしら、するおくん?」
「あってるはずだ……」
そうはいいながらも、スルオの手は汗でびっしょりだ。
そしてやがて、正面の壁に1の数字だけが残され、そしてその1の数字によって
「correct」という文字が模られて示された。
どうやら、二人はこの数字地獄も無事に突破することができたらしい。
「さて、次は何が来る?」
「次なんて来なくていいわよ、早く帰りたい……」
(次は簡単です……たぶん早い者勝ち)
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