第5話「第2の部屋 解決編」

「えぇ―どうもぉ、田出するおですぅ。たいへん難解な問題でした」

 するおは頭に手を当てながら、非情にゆったりした口調で話し始めた。


「何よ、その変なしゃべり方。わかったなら早く教えてよもう」


「ラビリンスくん、君がすべていけないんです。君のせいで、へんな誤解をしてしまったんです。スイスとか、まさにミスリードだったんですねぇ、ラビリンス君、んーー、あなたが犯人ですぅ」


「は?いったい、あんた何言ってんの? 別れるよマジで」


「……あーぁごめんなさいごめんなさい、まじめにやります。うーんとね、まず国の名前から考えるのが、ミスリードで、さっきの部屋にあったものの中から考える問題だったんだよ」


「えっ、どういうことそんなんずるくない?」

こころなしか、ラビリンスの口調が荒くなってるような気がするおはしていたが、怒られたくないので黙ることにした。

「まあ、くるくるの中って言ってるからね。俺たちがくるくるしてたもの。つまりさっき出てきた、窓、ドア、穴、ナス、砂、梨、島だね」


「窓、ドア、穴、ナス、砂、梨、島……それが何なの?わかんないけど」


「ちょっと全部、英語にしてみてよ」


「umm……、window,door,hole,eggplant,sand,pear,kousaku,shima OK?」


「そんな流ちょうな英語で話さなくても、カタカナ英語でいいんだけど。まあ英語でも同じか。あと、なんで島耕作だけ人名なん?アイランドでいいよ」


「で何なの?」


「この中で、文字の始まりと終わりが同じものって何かな?」


「うーーん、windowだけね。」


「だから、そんなハーフ外人みたいな話し方しなくていいって……、ごめんハーフだったねそういえば。で、始まりも終わりもないんだよ。ウインドウの始まりと終わりをなくしてみよう!」


「indo…‥‥あぁ、インドね!」


「そう、答えはインドってことだよ。しかもインドと言えば0を考えた国だよ。まさに始まりと終わりを同じにした国といっても過言じゃないね」


「えぇ、だって私みたいなネイティブは、インドなんて呼ばないからわからないに決まってるじゃない!ずるいわ」


君はネイティブではないし、向こうの人もindoって使うし……とするおは思ったけどあえて突っ込まなかった。


「まぁまあ、ということで、インドに向かおう。インドなら日本から他の国を通らずに海沿いからタッチできるから、助かったね。答えがバチカン市国だったらどうしようかと思ったよ」

 床の世界地図マップはかなり大きく、日本の大きさがちょうど、人間サイズの大きさである。

 バチカンでなくても、内陸国だったら、他の国に触れずにそこにたどり着くのは難しかった。


 二人は慎重に他の国を踏まないように海の上を歩き、インドに向かった。

 このままインドに向かって歩きそこを踏めば、きっと出口が現れるとするおはそう考えていた。

 ところがその途中……


「ハイ到着!今回も正解ねー、スルオ君すごーい」

 なぜか、笑顔満面でラビリンスが島国を踏んでしまったのだ。


「な、何をやってるんだ、そこは、インドじゃない」


「えっ、だってインドって書いてあるよ?」


「そこはインドネシアだ――!」


ラビリンスははやまってインドネシアを踏んでしまった。しかもそこはインドネシアですらなく東ティモールであった。


どこからともなく声が聞こえる。


【残念です、不正解です。二人には地獄に落ちてもらいます】


すると、インドネシア周辺のマップに穴があき、二人は一瞬のうちに呑み込まれてしまった。


「そ、そんなぁーーー」

「Im sorry!」


果たして二人は無事なのだろうか?






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