第5話 初めてのヘルプ

「流星くん、6番テーブルのヘルプ、お願いできる?」

「いいっすよ」

「頑張ってね」

 吉祥天に励まされ、俺は6番テーブルへと足を運んだ。


「京極……体験入店の流星っす! ウラノさんのヘルプに来たっす!」

「元気だね〜。さ、座って」

 ウラノさんは少し左にずれ、ソファーをぽんぽんと叩いた。

「失礼します!」

 頭を下げ、ソファーに座る。

「流星くん、だっけ? さっき本名言っちゃってたよ!」

 ウラノさんの向かいの女の人が言った。

「それは忘れてくださいっす……」

 穴があったら入りたい気分だ。

「冗談だよ。この業界、慣れるまで大変だけど、頑張ってね!」

「あざっす!」

「流星くん、お姫様相手に『あざっす』はダメだよ」

「あ、すいません! ありがとうございます!」

「初々しくって、かわいい」

 女の人はクスッと笑った。

「それはそうと、ウラノさん、ほんっと完璧だよね〜。女の子の扱いを心得てるっていうか?」

 もう1人の女の人が言った。

「そうっすね、俺もウラノさんみたいなホストになりたいっす!」

「あはは、嬉しいな」

 ウラノさんは笑った。

 そこで、吉祥天から「流星く〜ん、1番テーブルのヘルプお願〜い」と声がかかり、俺は6番テーブルを離れた。

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