第42話 信頼とは積み重ねである

「で?ここは結局何処なんだ?」


既にこの質問は3度目だ。

何で俺が同じ質問を3度もせにゃならんのだ?


「ここは神聖樹の中です」

「神聖樹?でっかいカブトムシでも取りに来たのか?」

「ええ、そうです。じゃ、いきましょっか」


何だと……

質問に答えたふうスルーだと?

やるじゃないか。


日々の鍛錬により花開く無限の可能性。

そんな少年の成長に心躍り、思わず顔がにやける。


答えてやらねばならぬ。

少年のその熱き心意気に!


「カブトムシ取りか!いいな!」


俺はこれでもかというぐらい嬉しそうに声を張り上げる。

何事にもふりと言うのは大事だ。


「少年知ってるか!カブトムシってのは、木に甘い蜜とかを塗っておくと群がって来るんだぞ!つまりこの木を蜜塗れにすればとり放題だ」

「え?ちょ!?待ってください!」


何やら不穏な空気を感じ取ったのか、少年が止めようとするがもう遅い。

さっと後方へ飛び退き、俺は魔法を詠唱する。


以前、女の子を蜜塗れにしたらエロイなと開発しておいた新魔法!

ようはそれの凄い版だ!


詠唱を続けていた俺はひらりと身を躱す。

間合いを開けたにもかかわらず奴が俺の背後に音もなく回り込み、必殺の蹴りを放ってきたからだ。

学習能力ほぼ0の俺でも、流石に2度もくそ痛い目に遭わされれば流石に学習するぜ!


ち!と舌打ちしつつ、アルビダは更なる追撃を俺にかけてくる。

不意打ちでなくとも、呪文の詠唱を止めるぐらいなら出来ると判断したのだろう。

それは考えが甘いとしか言いようがない。


俺は奴の飛び回し蹴りを素早く身をかがめて回避。

そして奴の無防備なけつに向けて奥義を放つ。


「砕けろ!奥義裂肛激震突!」


説明しよう!奥義裂肛激震突とは両手の人差し指を(略

まあようは浣腸だ。


「ヒグッ」


変な声を上げながらアルビダが地に崩れ去り。尻を押さえながらピクピクと痙攣しだす。


ちょっとやりすぎたかな?

まあ後で回復魔法かけておけばいっか。

ついでに飴玉でもやっときゃ文句は言って来ないだろう。


注※良い子はマネしちゃだめだよ(^_-)-☆


そしてついに俺の詠唱は完了した!


完!










「すいませんすいませんすいませんすいません」

「何をそんなにぺこぺこ謝ってるんだ?少年は?」

「馬鹿なこと言ってないで勇者様もちゃんと謝ってください!」


そういって少年は、再びぺこぺこと謝りだす。

この神聖樹にすむエルフ達に。


狂ったように頭を上げ下げする少年を眺めながら、少年は大変だなーと、ぼんやり考える。

このまま少年の間抜けな姿を眺めてい様かとも思ったが、余りにも必死な姿に絆されてつい優しくしてしまう。


少年の肩に手をやり、少年の動きを制して優しく声をかける。


「うざいからもうやめろ」

「な!貴方という人は!」

「誤解してる様だから言っておくが、俺は謝らなきゃならん事など一切してないぞ」

「ふざけないでください!」


少年は今まで俺の何を見てきたのだろうか?

俺を一切信じない少年を見て悲しくなる。


思い返せば少年との付き合いももう結構な長さだ。

あんな事やこんな事。

いろいろな事があったなぁ……


過去を振り返り懐かしみ、そして一つの結論に達する。


ああ、そりゃ信用するわけがないと。

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