第16話 単純作業
「こっちだな」
「え!?道が分かるんですか?」
「当たり前だ!俺は勇者だぞ!」
広大な溶岩地帯を抜け洞窟を進んでいくと、複数に分かれた分岐路に差し掛かる。
普通ならおろおろするところだが、魔力を感知して、俺は即座に進むべき道を見つけ出す。
「よし、いくぞ」
「本当に大丈夫なんですか?」
疑り深い奴だ。
仕方がないので説明してやる事にする。
「この先から大きな魔力が感じるんだよ。フリーザーが契約して迄わざわざ頼んだ物だ、相当な魔力を宿してるに決まってるだろうからな」
「なるほど、納得しました」
少年が納得したようなので、魔力が示す道をずんずん行く。
途中何か所か分岐があったが、その度に魔力感知で進むべき道を探り進む。
そしてついに辿り着く!!
モンスターハウスへ!!!!
あれ?おっかしいなぁ?
「どうやら、感知してた魔力はこいつらの物だったわけね」
「ははは、こいつは一本取られたぜ」
目の前には、全身が炎に包まれた巨人数十匹が所狭しと居並んでいる。
確かファイヤージャイアントだったかな?
通常のジャイアントは物理攻撃しかしてこないのだが、こいつらは魔法も使ってくる厄介なモンスターだ。
まあ普通の人間にとっては、だが。
ファイヤージャイアント達が此方に気づき魔法を唱えようとするが、それよりも早く俺の魔法が炸裂する。
「
俺の手から放たれる極限の冷気がファイヤージャイアント達を包み込み、奴らが身に纏う炎ごと、一瞬で氷の彫像へと生まれ変わらせる。
しかし困ったな。
小さな魔力の反応がやけに多いと思ったら、ファイヤージャイアントが原因だったわけか。
これでは魔力による探索は断念せざる得ない。仮に他に大きな反応があっても、またモンスターハウスの可能性が高いからだ。
完全に手掛かりが断たれてしまう。
「虱潰しに探すか……もしくはフリーザーの依頼を無視するか」
正直めんどくさいし、もうどうでもいいやって気がしてきた。
虱潰しなんて地味な作業は勇者のする事じゃないだろう。
「虱潰しに探しましょう!」
少年が元気よく答えてくる。
まあ少年の答えは判り切っていた。
「個人的には炎と氷の竜の恋話ってのには少々興味があるけど、まああんたが辞めたいんなら止めはしないよ。もっともその場合、フリーザーを敵に回す可能性もあるけどね」
恋話か。そんなのに興味を持つとは、何だかんだ言ってアルビダも乙女チックな所があるもんだ。
恋話で思い出したが、そういや俺もフレイムにどうしても聞きたい事があった事を思い出す。
「んじゃま、虱潰しに探すか」
その後、焔の花を見つけ出すのに、結局3時間ほど洞窟内を探索する羽目になる。
なんで夢の中でこんな単純作業せにゃならんのだ……
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