第12話 幕間3

「成程、それが貴様の願いか」

「頼まれてくれるか?」

「いいだろう」


容易い事だ。

その程度でフリーザーと契約できるのならば、断る理由は何一つない。

特に用途があるわけではないが、使える手札は多いに越した事はないからな。

それに上手くいけば、フレイムをも手中にするチャンスでもある。

まあ、そこは奴次第ではあるが。


「では、頼んだぞ」


そう言うと、フリーザーの巨体は羽搏くことなくふわりと浮かび上がる。

当然魔法による飛行だ。フリーザーのような巨体を羽搏きで浮かす事など不可能。翼はあくまでも飛行時の舵取りの役目でしかない。


「言っておくが、貴様が俺を利用するだけ利用して約束を守らなかった場合、お前を殺す。勿論フレイムもな」

「我らドラゴンは決して約束を違えはしない。安心しろ」


そう言い残し、フリーザーは大空に去っていった。

足元に目をやると、フリーザーが吐き出した気絶状態の組織の奴らが転がっている。


「さて、いったん帰還するか。こいつ等を牢に放り込まなければならないからな」

「は、はい!お任せください!!」


しかし持続時間の伸びがこの所余り良くないな、やはりアルビダが子供の姿では駄目か。

となると、何か別に気を引く物を用意する必要があるな。

理想は奴の好みの女を配下に据える事だが、私の変化に不信感を抱く者では不味い。


どうした物かと思案に暮れていると、せっせと働くポエリが目に映る。

気絶している連中を縛るポエリを見て、もう少し女らしければと、つい溜息が出てしまう。


「自分の為に必死に頑張ってる子を見て、溜息は無いんじゃないの?」

「わかっているさ、只のない物ねだりだ」


アルビダの言う通りだ。

普通の人間なら私の変化に付いてこれず、不信感からきっと上に報告している事だろう。

だが彼女は私を信じて付いて来てくれているのだ。彼女には感謝しなければならない。


いや、くだらん感傷だな。いずれ切り捨てる者に感謝する意味などないか…

消えてなくなる日まで、精々役に立って貰うとしよう。

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